舞台裏》中国軍が「無人地獄」構築を加速! トランプ、高額保護費要求で台湾が窮地に

第15回中国珠海航空展が先日閉幕。注目すべき点はステルス戦闘機J-35Aだけでなく、解放軍が展示した大量の新型無人機が台湾軍にとってより深刻な懸念材料となっている。(資料写真、AP通信)
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第15回中国国際航空宇宙博覧会(珠海航空展)で、解放軍は2機目のステルス戦闘機J-35Aを正式公開。現役のJ-20に加え、ロシアから遠路参加したSu-57と合わせ、中露3機のステルス戦闘機が一堂に会し注目を集めた。しかし欧米諸国や台湾の軍事専門家にとって、今回の航空ショーで展示された陸海空各種の無人装備は、解放軍の無人戦闘分野における驚異的な進展を示しており、これこそが真剣に受け止めるべき課題となっている。

周知の通り、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争は、各国軍に無人機が戦闘の攻防や戦場情勢にもたらす革命的な影響を実証している。これは米軍が中国軍の台湾侵攻に効果的に対応するための斬新な構想を提示する契機となった。2024年6月、米インド太平洋軍のパパロ司令官は『ワシントン・ポスト』に、台湾海峡における「無人地獄(hellscape)」計画を明かした。数千の無人機・無人艦艇を配備して中国軍の武力統一を阻止し、解放軍を地獄のような状況に追い込み、米軍の集結と同盟国の台湾支援のための時間を確保する計画である。

第15屆中國國際航空航天博覽會(珠海航展)即將開幕,3日下午俄羅斯隱身戰機「蘇-57」抵達中國。(取自觀察者網)
ロシアのステルス戦闘機Su-57も中国の珠海航空ショーに参加したが、台湾および欧米の軍事専門家にとってより深刻な懸念は、中国軍の多様な無人装備にある。(資料写真、観察者網より)

「理想は壮大だが、現実は厳しい」 米台無人機協力は初期段階

米国は台湾海峡における強力な無人戦闘能力の構築に本気で取り組んでいることが分かっている。ここ数カ月、一方では台湾に千機以上のSwitchblade 300やALTIUS 600M-V攻撃型無人機(ローイタリング・ミュニション)を売却し、10月末には契約を迅速に締結、最短で2025年には納入開始の見込みとなっている。他方で米国の無人機・対無人機メーカーが相次いで台湾を訪れ、台湾の無人機業界との協力を模索し、「非レッドサプライチェーン」の創設を推進し、無人機関連作戦プラットフォームの設計・生産能力の向上を全力で進めている。

しかし台湾の軍事関係者は率直に「理想は壮大だが、現実は厳しい」と語る。台米の無人作戦プラットフォームに関する協力は現在も初期段階にあり、計画中の多数・低価格・高性能の無人機・無人艇の設計確定・量産実現には、最短でも数年を要する。特に工業生産能力の不足により、米国は現在ウクライナが緊急に必要とする155mm榴弾砲弾さえ供給できていない。台湾などの同盟国の支援があっても、電動モーター、バッテリーなど多くの無人機の重要部品が中国本土に掌握されている不利な条件下で、米軍が中国軍のために設計した台湾海峡の無人地獄は、予見可能な将来においてはまだ想像上の構想にとどまりそうだ。 (関連記事: 蔡英文、”習近平・トランプ政権・ウクライナ”について言及:国際社会はまずウクライナを支援すべき 関連記事をもっと読む

軍情人士坦言,台美無人機合作還只是起步階段,要進入量產還有得等,更遑論打造無人地獄。圖為彈簧刀300無人機。(資料照,陳昱凱攝)
軍事関係者曰く、台米の無人機協力はまだ初期段階で量産体制に入るまでにはまだ時間がかかり、無人地獄の構築はなおさら先だ。写真はSwitchblade 300無人機。(資料写真、陳昱凱撮影)

中国軍の無人機は造りたい放題 「地獄」に直面するのは台湾か

さらに懸念されるのは、米軍の台湾海峡無人地獄構想が、解放軍に先を越されて「雛形」が完成してしまったことだ。無人地獄を構成する各種必要な作戦プラットフォームは、今回閉幕した珠海航空ショーでも模型ではなく実機として展示された。空中作戦行動用の無人機には、彩虹7ステルス無人機、翼龍X対潜無人機、そして「異構蜂巢ミッションボックス」を搭載し、スウォーム無人機で敵目標を攻撃できる「九天」無人母機がある。海上作戦では垂直発射システムを備えた「虎鯨」大型無人艇、陸上戦場では過去に戦力展示を行った機器に加え、戦闘任務を分担執行できる新型「機器狼群」無人システムが加わった。