トランプ政権前、最後の米中首脳会談:習近平氏、台湾問題で強硬姿勢崩さず 「レッドライン」を改めて強調

2024年11月、バイデン大統領と習近平国家主席がペルーで会談(AP通信)
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ペルー・リマで16日(現地時間)、「米中首脳会談」がAPECサミットの際に実施。ホワイトハウスの発表によると、両者は二国間、地域、世界規模の課題について率直かつ建設的な議論を行い、バイデン氏は台湾周辺での不安定化を招く軍事行動の停止を要請。現状の一方的な変更に反対する米国の立場を再確認し、台湾海峡の平和と安定が世界の利益に合致すると述べた。

レッドラインへの言及

中国国営CCTVによると、習近平氏は任期終盤のバイデン氏に対し、過去4年間、米中関係は浮き沈みがありながらも、対話と協力を展開し、全体的な安定を実現したと評価。この4年間の経験から得られた教訓の一つとして「超えてはならない一線を避けるべき」と指摘した。

習近平氏は、米中両大国は矛盾や相違があって当然だが、相互の核心的利益を損なうことはできず、衝突や対立は避けるべきだと強調。一つの中国原則と米中三つの共同声明が二国間関係の政治的基礎であり、厳守すべきとした。台湾問題、民主人権、制度の道、発展の権利は中国側の4つのレッドライン(越えてはならない一線)であり、挑戦は許されないと述べ、これらが米中関係における最も重要な防護柵であり安全網だと説明した。

各論点での中国の主張

習近平氏はさらに、台湾問題、経済・技術、サイバーセキュリティ、南シナ海、ウクライナ危機、朝鮮半島などについて中国の立場を明確にした。

報道によると、習近平氏は「台湾独立」分裂活動と台湾海峡の平和安定は相容れないと強調。「米国が台湾海峡の平和を維持したいのであれば、賴清德氏と民進党当局の『台湾独立』の本質を見極め、台湾問題を慎重に扱い、『台湾独立』に明確に反対し、中国の平和統一を支持することが重要」と述べた。

経済・技術面では、各国には国家安全保障上の必要性があるとしながらも、安全保障の概念を拡大解釈して他国を抑圧する口実にすべきではないと主張。

サイバー攻撃については、「中国によるサイバー攻撃という主張には証拠も根拠もない。中国自身が国際的なサイバー攻撃の被害者であり、一貫してあらゆる形態のサイバー攻撃に反対し、取り締まっている」と反論した。

南シナ海問題に関して、習近平氏は中国の領土主権と海洋権益を断固として守る姿勢を示した。当事者間の対話と協議が南シナ海の争議を管理する最善の方法だとし、「米国は南沙諸島をめぐる二国間の争いに介入せず、挑発的な行動を支持・容認すべきではない」と述べた。

さらに、ウクライナ問題(ロシア・ウクライナ戦争)については、中国の立場と行動は一貫して公明正大で、調停と対話を促進し、平和のために努力してきたと強調。朝鮮半島については、戦争や混乱を許さず、中国の戦略的安全と核心的利益への脅威を座視しないとの立場を示した。

CCTVによると、バイデン氏は「米国は『新冷戦』を望まず、中国の体制変更を求めず、同盟関係強化による対中包囲を目指さず、『台湾独立』を支持せず、中国との衝突を望まず、台湾問題を対中競争に利用しない」と表明。米国は一つの中国政策を継続すると述べ、政権移行期に中国との対話を強化し、相互理解を深め、責任ある方法で意見の相違を管理する意向を示した。

両首脳の合意事項

報道によれば、両首脳は米中関係の指導原則について、相互尊重、平和共存、対話維持、衝突回避、国連憲章の遵守、共通利益分野での協力、二国間関係における競争要素の責任ある管理という7項目での合意を再確認。両国はこれらの原則に基づき、米中関係の安定を維持し、円滑な移行を実現することで一致した。

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