2024年アジア太平洋経済協力会議(APEC)がペルーの首都リマで開催される中、「日経アジア」は台北の関係者の話として、ペルーが中国に急接近し、2026年会議の中国開催を支持していると報じている。また、中国はペルーに対し、台湾のCPTPP加入申請の承認を保留するよう要求しており、さらに中国からの圧力により、リマ空港に設置されていた台湾の広告が1週間で撤去されたという。一方、街頭の電子広告については「圧力はあったが成功しなかった」とされている。
ペルーが中国の「台湾のAPEC参加への圧力」を支持
日経アジアは台北の関係者の話として、ペルーがAPEC年次総会に出席予定だった台湾の特使を歓迎しない姿勢を示し、賴清德政権が代替者を急遽探す事態となったと報じている。関係者によると、ホスト国のペルーは一方的に2026年APEC年次総会の中国開催を推薦しており、台湾の今後の円滑な参加に疑問が投げかけられている。
関係者の一人は、「ペルーはAPEC開催過程で台湾の参加に介入・圧力をかけ、招待状を発行しない形で、台湾が当初派遣を計画していた代表を歓迎せずボイコットした。その代表とは、公衆衛生の専門家として知られる前副総統の陳建仁氏である」と述べている。
ペルー台北商務事務所は日経アジアのコメント要請に即座には応じていない。ペルーと台湾は本件について公式なコメントを避けているが、北京とリマは、陳建仁氏が台湾の主権を擁護する民進党政権で行政院長や副総統を務めていたことに不快感を示している可能性がある。
中国の圧力でAPECの「台湾広告が撤去」
国家安全保障関係者は、APECのすべての決定はコンセンサスによるものだが、「圧力が存在することは否定できない」と述べている。関係者は、今年リマ空港に設置された台湾のライトボックス広告が中国の圧力により広告会社に撤去を余儀なくされたと明かした。広告は入国審査後の必須通路に設置されていたが、10月中旬の掲示から約1週間で撤去されたという。
一方、ペルー代表部がリマ市内の6カ所の主要交差点に設置した大型電子スクリーン広告については、「圧力はあったが成功しなかった」とされている。
代表部が制作した広告の主要スローガンは「Chip in with Taiwan for Global Prosperity」で、ICチップをモチーフに、大きな「TAIWAN」の文字に「AI」を強調して表示し、台湾の半導体、AI、デジタル貿易における強みを強調している。 (関連記事: 日本工商会、台湾のCPTPP加盟を支持 「五缺」問題の解決と両岸関係の安定化を要望 | 関連記事をもっと読む )
国家安全保障関係者は、台湾はこれまでどのような国際舞台でも、広告を出せば必ず圧力を受けてきたと率直に語っている。例えば、毎年の国連総会でニューヨークのタイムズスクエアに広告を出す際も多大な苦労があり、「海外での広告掲載自体が小さな戦いである」という。ただし、今回のAPEC年次総会では現在まで平等な待遇を受けており、閣僚や首脳代表の到着も順調に進んでいる。