トランプ氏の再選でTSMCに影響か 「無知なビジネスマン」と専門家警告!グローバル化崩壊の懸念も

ウィスコンシンで清掃作業員用の蛍光オレンジ色ベストを着用して選挙運動を行うトランプ氏。(AP通信)
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楊照氏は、トランプ氏は本質的にビジネスマンだが、一般的なビジネスマンが持つ賢明さとは異なると指摘した。トランプ氏は自身のビジネスでも損益があり、多くの失敗の記録がある。賢明なビジネスマンではないだけでなく、さらに悪いことに、無知なビジネスマンであり、その無知さに気付かず、自信に満ちた態度で極めて無知な発言をするという。

楊照氏はさらに、なぜTSMCのADRが米大統領選期間中に不安定になっているのか分析した。トランプ氏がインタビューで特に「チップス・アンド・サイエンス法」に言及したためである。TSMCのアリゾナ工場は、この法律に基づいて相当な補助金を得ている。「そうでなければTSMCがわざわざアリゾナに工場を建設する理由はない」という。

トランプ氏の半導体サプライチェーンへの理解が無知すぎる

しかしトランプ氏はこの件について、「なぜ企業を米国に誘致するためにこのような金を使う必要があるのか。関税を上げれば、企業は製品を米国に輸入する際に高い関税を支払わなければならない。企業が関税を払えないなら、自然と米国に工場を建てるようになる」と繰り返し述べた。楊照氏は、この反応からトランプ氏が半導体サプライチェーン、現在の世界的な配置、TSMCが果たし得る役割を全く理解していないと批判。

楊照氏は率直に、事はそれほど単純ではないと述べた。現在の電子製品の生産過程で、例えばAppleがiPadやiPhoneなどを製造する際にチップが必要だが、米国企業がTSMCなどの半導体サプライチェーン企業に発注した後、チップは直接スマートフォンの委託製造工場に送られ、この過程でTSMCの生産したチップは米国内に入ることはないという。

トランプ氏によるグローバル化の後退で経済規模に打撃

楊照氏は、トランプ氏が関税について語るが、製品が税関を通過して米国に入る際にのみ関税の問題が発生すると分析した。さらに厄介なのは、トランプ氏がこの因果関係を単純に捉え、関税を上げれば海外企業が関税を避けるために米国に工場を建設すると考えていることだが、関税引き上げは米国企業向けの製造業者のコスト上昇だけでなく、米国の工場や消費者も同様にコスト上昇に直面することを忘れているという。その結果、他国も同様に対米関税を引き上げ、関税障壁が形成され、貿易の自由が損なわれることになる。

楊照氏は、長期にわたり、大衆はグローバル化と自由貿易の恩恵を受け、物資の交換や最も低コストの生産方式を見つけることができ、消費者が商品に支払うコストも低下したと指摘した。トランプ氏が再び当選してグローバル化のプロセスを逆転させれば、人々の収入で得られる便益は減少していく。各国が関税障壁を築けば、各市場は元のグローバル市場と比べて規模が縮小する。そのため、グローバル化がもたらした経済規模による利益も消失し、これは巨大な災厄となると述べた。

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