台風休業判断「各組織に委ねる」宜蘭県に怒りの声 日韓との違いはなぜ?専門家が指摘する危険要因

宜蘭県の林姿妙知事が休業判断を各機関に委ねると発表し批判が集中。日韓では長年運用されている制度が、なぜ台湾では反発を招くのか。(資料写真/柯承惠撮影)
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台風潭美は台湾に直接上陸しなかったものの、北東の季節風と共同効果を生み出し、気象庁は昨日(23日)「激しい降雨警報」を発令し、宜蘭県の一部地域で休業・休校基準に達したことを発表した。宜蘭県政府は「各機関・学校が自主的に休業・休校を判断する」と発表し、即座に市民の怒りを引き起こした。実際、アジアの多くの国では激しい気象条件への対応として、休業判断を企業や各機関に委ねているが、なぜこの方式は台湾では受け入れられないのだろうか。

日韓では企業が独自に休業判断可能!なぜ台湾人は強く反発するのか?

アジアの近隣諸国を見ると、日本と韓国は同様の気象の脅威に直面しながらも、全く異なる対応をとっている。日本のベテランメディア関係者・矢板明夫は、日本は充実したインフラと利便性の高い公共交通システムを有しているため、台風に見舞われても市民の日常生活や仕事は通常通り維持できると指摘している。韓国では休校の判断権限を各学校に委ねており、統一的な休業政策は全くない。

一方、台湾では台風や激しい気象条件が襲来するたびに、休業・休校の判断が争点となっている。今回の宜蘭県政府の判断は、市民の強い不満を引き起こした。県長・林姿妙のフェイスブックには「自主判断とは何か、事故が起きたら誰の責任になるのか」「この責任転嫁のような判断は無責任すぎる」「サツマイモを選んでも林姿妙よりマシだ。悪天候時の休業判断を地方の郷鎮に任せるなら、選挙の時にそう言えるのか?ダメな県長」といった批判が寄せられた。

経済面から見ると、台湾全体の休業・休校のコストは小さくない。台湾経済研究院のデータによると、台湾の2023年GDPで計算すると、全国で1日休業した場合、約315億元の生産額損失が発生する。一方で「今の人々は甘えすぎではないか、雨が降ったら休みを要求し、休みにならないと感情的になる。休みたければ休暇を取ればいいのに」「今は台風が来るたびに休みにするのか」「笑える。コメント欄は巨大な赤ちゃんばかり」「悲しいことだ。風雨はそれほど強くないのに何を泣いているのか、多くの人が世論操作されている」「学生と公務員ばかりが騒いでいる、午後の雷雨でも休みにするのか」といった意見も見られる。

矢板明夫の分析によると、台湾が台風休暇制度を必要とする主な理由は、バイク通勤者が多い、一部地域の公共交通機関が不十分、市街地の古い建物や看板が多いなど、地域特有の環境要因を考慮しているためだ。しかし、判断過程において市民の安全と経済的損失のバランスをどう取るかは、政府がより良い解決策を見出す必要がある課題となっている。

日本での企業対応は

『風傳媒』が大阪でワーキングホリデーを経験している台湾人に取材したところ、政府が全面的に休業・休校を統一判断することはないものの、当日の午前7-8時頃に気象指針を発表し、各機関が当日の勤務について判断を下すという。また企業もメールで従業員の安否を確認している。

また同僚から「大阪の台風はそれほど強くなく、人が吹き飛ばされるほどではない」と聞かされており、今年の日本での勤務期間中はまだ台風休暇を経験していないという。台風で電車が遅延した場合、会社員は地下鉄の窓口に長蛇の列を作り、遅延証明書を取得するとも補足した。

日本の各地域・各企業の判断状況も一様ではない。台湾人が『風傳媒』に語ったところによると、東京での勤務では異なる制度があり、会社は台風の前日にメールを送信し、できるだけ通勤を避け、在宅勤務を基本とするよう要請し、台風当日は会社に出勤するかどうかを自主的に判断できるという。

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