繁華街で案内人から日本の議員選挙まで 中国出身の李小牧が語る台湾・日本の民主主義と感情的な共鳴

歌舞伎町案內人の李小牧氏。(撮影 黃信維)
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台湾でよく知られている「歌舞伎町案内人」の李小牧は、現在新宿歌舞伎町で「湖南菜館」を経営しながら、積極的に政治活動に取り組み、台湾の民主主義にも深い関心を寄せている。新宿での長年の活動に加え、近く台湾で新刊の出版を予定しており、国際政治経済問題にも常に注目している。現在は日本に帰化している李氏は、台湾の安全は日本政府だけでなく、すべての日本国民にとって重要な関心事だと語る。

李小牧は日本で区議会議員選に立候補した最初の華人であり、その波乱に富んだ人生経験で知られている。若くして東京・新宿の歌舞伎町で「案内人」として働き、徐々に知名度を上げ、その後、日本の地方政治に何度も挑戦している。2019年の新宿区議会議員選挙では落選したものの、選挙の主な目的は民主主義と選挙の価値観を伝え、日本の政治舞台での知名度を高めることだったと述べていた。

来日当初は私費留学 「案内人」として生活費を稼ぐ

李小牧氏は1988年、深センから自費留学生として来日した。生活費を稼ぐため、当初はラブホテルの清掃員として時給600円で働いていたが、学費や家賃を賄うには不十分であった。

その後、歌舞伎町で案内人として働き始め、香港や台湾からの観光客を主な顧客とし、ストリップ劇場や居酒屋、ダンスクラブなどに案内することで収入を得た。この仕事を通じて人脈を広げ、歌舞伎町での影響力を確立していった。当時、李小牧は、主に香港と台湾からの観光客を対象に案内サービスを提供し、客のニーズに応じて、ストリップ劇場・居酒屋・ダンスクラブなどの店舗に案内、そこから手数料を受け取っていた。

現在は新宿で湖南料理店を経営し、政治活動にも積極的に取り組んでいる。2019年には在日華人として初めて新宿区議会議員選挙に立候補。当選には至らなかったものの、民主主義や選挙の価値観を伝えることを主な目的としていた。

日本に帰化した李氏は、台湾の民主主義に強い関心を持ち続けている。台湾の安全保障は日本政府だけでなく、市民一人一人の関心事であると指摘している。これは日本と台湾の歴史的なつながりや文化的類似性に基づく両国民間の共感によるものだとしている。

なお、現在の新宿では客引き行為への規制が強化され、路上での勧誘放送や制服を着用した巡回員が配置されるなど、かつての案内人のような営業は困難になっている。

20241023-歌舞伎町案內人李小牧。(黃信維攝)
李小牧によると、現在は客引き行為が規制されており、このような仕事を行うことは非常に困難だという。(撮影:黄信維)

新宿に無料案内所が林立 その始祖は李小牧だった

80年代末期に案内の仕事を始めた当時、その合法性や規則違反の有無は分からなかったと李氏は振り返る。ある時、中国人観光客を東京タワーに案内した後、チケット売り場の係員が彼を呼び止め、小さな封筒を渡した。最初は名前を間違えられたと思ったが、封筒を開けると中には1000円が!これは客一人当たり200円の手数料だと気付き、東京タワーでさえ手数料を支払うなら、歌舞伎町の各店でも手数料が得られるはずだと考えた。 (関連記事: 南北朝鮮「関係改善の第一歩」が爆破された!現場の爆破映像が公開 北朝鮮の背後の目的は? 関連記事をもっと読む

この経験から、李氏は多くの店舗と連絡を取り始め、客を連れて行けば手数料がもらえる仕組みを作った。これが彼の案内人としての始まりだった。この営業形態は90年代初期まで可能で、2015年に新宿区が路上での客引きを禁止するまで続いた。その後、「無料案内所」が次々と現れ、彼の著書『歌舞伎町案内人』のコンセプトに基づいて多くの支店が設立された。中には記念写真を撮り、彼を業界の創始者として称えるところもあった。