《日台安保問題を解読》 駐日学者・黄偉修氏に単独インタビュー:一部の人々が台湾国民の日本の防衛協力に対する誤解を招いている

東京大学東洋文化研究所特任研究員、早稲田大学台湾研究所兼任副研究員の黄偉修氏が、風傳媒の単独インタビューに応じた。(黄信維撮影)
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日本の新首相・石破茂が就任後すぐに衆議院を解散したことを受け、かつて「防衛オタク」と呼ばれた彼の関連政策の立場や日台関係の発展などの問題について、東京大学東洋文化研究所特任研究員、早稲田大学台湾研究所兼任副研究員の黄偉修氏が10月中旬に風傳媒の単独インタビューに応じた。石破茂首相の政治基盤は不安定で、任期がどれほど長くなるかは現時点で判断できないという。自民党が衆議院選挙で単独過半数を獲得できなければ、党内で後続の参議院選挙に向けて自民党を率いる能力がないと見なされ、任期が早期に終了する可能性があるとのことだ。また、石破氏が選挙期間中に提唱した「アジア版NATO」の構想については、現在もう言及されていないという。

黄偉修氏は長年日本に駐在する重要な台湾の学者で、現在、日本の東京大学東洋文化研究所特任研究員と早稲田大学台湾研究所兼任副研究員を務めている。主に東アジアの国際関係を専門とし、特に両岸関係、日中関係、日台関係などの問題に注目している。日台関係と学術交流の促進において顕著な成果を上げ、第17回中曽根康弘賞奨励賞を受賞した。黄氏の研究は外交・安全保障政策の意思決定プロセスを網羅し、多くの国際会議で関連する見解を発表している。また、日本の複数の大学の学部・修士課程で政治学や国際関係などの専門科目を教えている。

石破茂問題を探る 黄偉修氏は選挙が鍵だと説明

黄偉修氏は、元々この任期の総裁は今回の国会解散と来年の参議院選挙で自民党を率いる予定だったと述べた。衆議院選挙で自民党の成績が芳しくなく、単独過半数を得られない場合、石破氏が降ろされる可能性があるという。石破氏は今回の自民党総裁選で決選投票に進んで勝利したものの、党内での基盤が不安定なためだ。したがって、10月末の選挙結果を見てからでないと、石破氏が提案した関連政策についてより中長期的な判断はできないとしている。

次に、石破茂氏が自民党総裁選挙期間中に提唱した「アジア版NATO」の概念について、黄偉修氏は分析。石破氏は現在これについて言及しなくなったという。この概念が未熟だからだ。実際、日本の学界で安全保障問題を研究する多くの学者も、「アジア版NATO」の推進に対して留保的な態度を取っているという。主な理由は、NATOが元々特定の仮想敵(ソ連)を対象とした「集団防衛」メカニズムであったのに対し、中国を「仮想敵」とすべきかどうかについて日本国内で意見が分かれているためだ。また、石破氏が「アジア版NATO」を提唱した後も発言を修正し続けていたことから、核心的な概念が形成される前に提案したことが窺える。現在彼はこれについて言及しなくなっており、今後しばらくは再び提起されることはないだろうと予想される。 (関連記事: 【独自】次期首相は台湾と「決別」?専門家断言「日台関係、もはや後戻り不可能」 関連記事をもっと読む

日本の国防強化に関するコンセンサス 石破茂氏には考えがある

しかし、黄偉修氏は、全体的な大きな方向性として、日本国内で安全保障問題に対応するための国防強化について一定のコンセンサスがあると指摘。主な方法は、自身の安全保障政策と国防を強化することに加え、同盟国との協力を強化することであり、この部分は変わらないだろうという。同時に、日本は一貫して武力による一方的な現状変更に反対してきたが、中国の習近平国家主席が台湾に圧力をかけ始め、ロシアがウクライナ戦争を開始して以来、日本国内で安全保障強化などの関連問題についてコンセンサスが形成されたという。石破氏がこの方向性を継続して推進することが予想されるとしている。