ドイツの「経済週刊」が最近、衛星画像を通じてTSMC(台湾積体電路製造)のグローバル展開を観察し、TSMCの台湾での拡大速度が海外を大きく上回っていることを発見した。この報道は、台湾がTSMCを通じて中国に対抗できる強力な「経済防衛壁」を構築しており、西側諸国が台湾の歩みに追いつけないでいると分析している。
近年、米中の貿易戦争と技術戦争の激化に伴い、世界中が台湾の半導体産業の安全性にますます注目するようになった。欧州連合(EU)は昨年9月に「欧州チップ法」を可決し、欧州のチップ自立を強化する目標を掲げた。ドイツは今年、国内の半導体製造能力を拡大するために約500億ユーロ(日本円8兆円相当)を投資し、チップのサプライチェーンを国家安全保障戦略の核心と位置付けている。
ドイツ政府の半導体投資の大部分がTSMCのドレスデン工場に向けられていることから、ドイツの「経済週刊」は有名なコラム「空から見る経済」で、TSMCのグローバル展開を分析した。
独メディア:欧州が半導体自立を実現するまでの道のりはまだ長い
コラムの担当者であるトーマス・シュトルツェル氏は衛星画像を分析し、TSMCのグローバル展開が「西側諸国を落胆させる可能性がある」と指摘している。最新の画像によると、「TSMCは台湾本土で次々と新工場を建設している」とのことで、これらの新工場は製造プロセスと生産能力の成長速度の両面で、世界の他の地域をはるかに上回っている。これは、欧州が半導体の完全な自立を達成するまでには、まだ長い道のりがあることを示唆している。
衛星画像を例に挙げると、TSMCは新竹、台中、台南で半導体工場を建設中で、これらの工場は早ければ2025年に最新世代の2ナノメートルチップの生産を開始する予定だ。一方、TSMCのドレスデン工場は2027年になってようやく12〜28ナノメートルのウェハーの量産を開始する見込みだ。
また、TSMCは嘉義と高雄で先進的なパッケージング工場を建設中だ。これらの工場は将来、ウェハーの切断と接続デバイスを備えた基板への搭載を担当し、半導体製造の重要なステップとなる。記事によると、現在TSMCの最先端の「パッケージング」は台湾でのみ行われており、将来的には海外に少量の生産能力を設置するだけになる。
シュトルツェル氏は、国家安全保障上の考慮から、「台湾は現在、チップ分野における主導的地位を簡単に手放そうとしていない」と観察している。
これは、各国が依然として台湾製のチップに依存している限り、中国が台湾に武力攻撃を加える可能性が低くなることを意味している。なぜなら、それは世界経済危機を引き起こし、さらに中国自身に害を及ぼすからだ。
そのため、この報道は「台湾はここで対中国経済防衛壁を構築している」というタイトルで、台湾の現在の重要な国家安全保障戦略がTSMCを核心的な経済力とし、中国を抑止していることを強調。報道では、2022年に集積回路産業が台湾のGDPの約4分の1を占めていたことを例に挙げ、TSMCがなぜ台湾の「国家守護の聖山」となっているかを説明している。
しかし現在、この聖山の庇護を求めているのは、その故郷である台湾だけでなく、サプライチェーンの自立を強化したいと考えている世界中の国々でもある。
ドイツに続いて、EU各国もこの世界最大の半導体ファウンドリーに手を差し伸べている。これについてシュトルツェル氏は、世界の半導体製造は短期的には台湾を超えることは難しいと考えている。「たとえ欧州が2番目のTSMC工場を獲得し、生産能力を倍増させたとしても、将来的には世界市場の歩みに何とかついていけるだけだろう」と述べている。
編集:佐野華美 (関連記事: 台積電の受注、次から次へと!財務長が海外工場の生産能力計画を明かす:第2工場の収益に期待 | 関連記事をもっと読む )
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