半導体ファウンドリー大手TSMCは、国内外で積極的に生産能力を拡大している。ドイツメディアが衛星画像を用いてTSMCの台湾における生産能力の配置を分析し、台湾が安全保障政策上の理由から半導体分野における主導的地位を手放さないと指摘した。欧州と米国はこれに及ばないという。
ドイツの「経済週刊」(Wirtschaftswoche)は5日、「台湾はここで中国に対する経済防衛壁を拡大している」と題する記事を掲載した。この記事はLiveEOの衛星画像を用いて、TSMCが台湾および世界各地で拡大を続ける半導体工場とパッケージング工場を鳥瞰的に分析している。国内では新竹、台中、高雄、嘉義、海外では米国アリゾナ、日本の熊本、ドイツのドレスデンの半導体工場などが含まれる。
記事は、「TSMCの半導体工場は宇宙からも容易に検出できる」と指摘。「通常、独特の四角い配置を持ち、屋根の上にパイプが設置され、隣接する巨大な建物が換気システムとなっている」と説明している。
オラフ・ショルツ独首相とウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が8月にTSMCの欧州初の半導体工場の起工式に出席したことについて、「ドレスデン・クロッチェにこれほど多くの著名人が同時に現れるのは珍しい」と述べている。これは「欧州が(半導体製造の)独立に向かっており、中国がいつか台湾を占領または封鎖することを決定した場合に備えている」というメッセージを含んでいるという。
記事は、「今日、少なくとも60%の半導体が中国が主権を主張する島から来ている。最高級の半導体では90%にも達する」と指摘。欧州と米国は半導体産業をアジアから切り離したいと考えているが、最新の衛星画像は「世界で最も重要な製造業者であるTSMCがそれを許さない」ことを示している。TSMCは母国の島で次々と新工場を建設しており、そこでの生産能力は世界の他の地域よりもはるかに強力だ。TSMCは最新かつ最高の半導体を引き続き台湾で生産することを望んでいる。
台湾が半導体分野での主導的地位を手放さないのは、主に安全保障政策上の理由からだ。「中国共産党政権はこの民主主義の小さな島を自国の領土とみなし、必要であれば武力を使ってでも取り戻したいと考えている」。しかし、観察者は「世界経済が台湾製の半導体に依存している限り、中国は大規模な世界経済危機に直面することになり、それは中国にも損害を与える」と指摘している。
記事は、台湾が経済的抑止力に頼っていると指摘。国内で TSMCが「護国神山」(国家を守る神聖な山)と呼ばれるのも理由がある。TSMCは新竹、台中、高雄の半導体工場で最新の2ナノメートル半導体を生産し、極めて小型で高性能な半導体を可能にする。
一方、ドレスデン工場は2027年から生産を開始するが、12から28ナノメートルの半導体しか製造しない。これは「欧州が2番目のTSMC工場を獲得し、生産能力が倍増しても、市場の需要をかろうじて満たすだけ」であることを意味している。
編集:佐野華美 (関連記事: 「台湾を守る」のはトランプ氏かハリス氏か 米大統領選の最新世論調査で明らかになった決定的差異 | 関連記事をもっと読む )
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