台北市前市長の柯文哲氏が検察の召喚に応じない理由について、様々な憶測が広がっている。民衆党主席である柯氏は、京華城案に関連して現在勾留中だ。この事件では最近、李文宗元台北市長室主任や朱亞虎元兵役局長も勾留されるなど、関係者の取り調べが相次いでいる。
そうした中、台北地方検察庁は10月1日、柯氏の5回目の取り調べを試みたが、柯氏はこれを拒否。検察は柯文哲の体調不良を理由に挙げているが、柯文哲が検察の捜査に不満を感じているという見方も。また台風休暇が続いたことで、検察の捜査スケジュールが乱れたという点もある。
柯文哲氏、「囚人のジレンマ」を語った動画から5年後に自ら経験
一方で、柯氏が2019年に「囚人のジレンマ」について語った動画が注目を集めている。現在、柯氏自身が勾留され、まさに「囚人のジレンマ」の状況に置かれているからだ。柯氏の今回の対応が、囚人のジレンマ理論に基づく戦略なのか、それとも単なる感情的な反応なのかについて、議論が交わされている。
蔡壁如氏「自信に満ちていた柯文哲氏、拘束で複雑な心境」と推察
《風傳媒》は、柯文哲と30年間仕事を共にした元立法委員・蔡壁如にインタビュー。蔡氏は「実際のところ、私も柯文哲のこの一手が何を意味するのかよくわからない」と述べ、2つの可能性を挙げた。1つは柯文哲の体調が本当に良くないということ。2つは、50年来の旧友である李文宗も勾留されたことに非常に驚いているということだ。「彼はとてもショックだろう」と蔡氏は述べた。
蔡壁如は、柯文哲が幼い頃から成績優秀で台湾大学に合格し、台大病院でECMOチームをアジア2位の規模に成長させ、医療界で非常に尊敬されていたと指摘。人生のほとんどを自信に満ち過ごしてきた彼が、今や手錠をかけられ拘置所に送られている。蔡は「手錠をかけられた瞬間、柯文哲の心中は複雑な思いだったはず」と語った。
また蔡氏は、柯氏が過去に同様の低迷期を経験したのは2011年のHIV臓器提供事件の時だけだったと振り返った。当時、監察院が柯氏の職務怠慢を認定し、台大病院と台湾の国際的イメージに重大な損害を与えたとして弾劾したことで、柯氏は大きな打撃を受けたという。
柯文哲氏、再び困難に直面も「自信回復可能」
今回の勾留について、蔡氏は「柯氏にとって再び深刻な打撃となっている」としながらも、拘置所で外界から隔離されているため、批判の声も聞こえないという状況を指摘。「50歳を過ぎると人は変わりにくいと言われるが、賢明な柯氏はこの期間に心境を改め、自信を取り戻すことができると信じている」と語った。
柯氏は前回の低迷期をきっかけに政界進出を決意し、台北市長に当選。さらに既存の二大政党に挑戦する第三勢力を立ち上げ、台湾政界に大きな影響を与えてきた。今回、2度目の人生の低迷期に直面した柯氏が、この「囚人のジレンマ」をどのように解決していくのか、今後の展開が注目されている。
編集:佐野華美 (関連記事: 《京華城事件》柯文哲氏の勾留延長確定―抗告せず、新年は拘置所に | 関連記事をもっと読む )
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