民進党の2026年地方選挙において、高雄市は間違いなく注目すべき選挙区である。2018年に韓国瑜の人気が急速「韓流」の台頭により、高雄出身で代理市長も務めた陳其邁が思わぬ敗北に至った。2020年の総統選挙で民進党が大勝した、後高雄市長職任期中でありながら総統選に出馬した韓国瑜は罷免、陳其邁がようやく高雄を取り戻した。しかし、現在高雄での陳其邁の施政、企業誘致、コンサート経済などは好評を博しているものの、彼自身はかえって大きなプレッシャーを感じているのである。
前台北市長の柯文哲が京華城の容積率問題に深く関わっていることが発覚し、高雄の国賓ホテル案件も巻き込まれた。高雄市政府は迅速に対応、都市発展局・官僚から議員まで総力を挙げて反論し、陳其邁も自ら火線に立って説明した。これは民進党の高雄での政権を守るためである。余波を受けた高雄市はすぐに危機管理を行ったが、陳其邁の心中にはもう一つの懸念事項があった。
高雄の発展は注目を集めているが、陳其邁がいかに美しくバトンを渡すかがプレッシャーとなっている。
民進党の後継者争いで内戦 国民党の柯志恩が「全勝」
党内では陳其邁の後の高雄の後継者の座を巡って群雄割拠の状態であるが、最新の世論調査では、次期選挙で国民党から高雄市長候補として出馬する可能性のある立法委員の柯志恩が、民進党の現段階での意欲的な候補者全員に「完勝」しているのである。選挙までにはまだ時間があるが、これは民進党を緊張させている。
TVBSの世論調査センターが9月11日に発表した高雄市長の世論調査によると、民進党の現在表明している候補者・立法委員の林岱樺・許智傑・賴瑞隆・邱議瑩・および前労働部長の許銘春のいずれが国民党の柯志恩と対決しても、支持率で後れを取っている。中でも、柯志恩と賴瑞隆・林岱樺との差は5ポイントで、各組み合わせの中で最小の差となっている。一方、許銘春との対決では21ポイントの大差をつけており、最大の差となっている。
選国政がおろそかになる不利な印象 賴清德が止戦に出る
民進党は陳其邁自身を含め、高度な危機感を抱いている。総統兼民進党主席の賴清德は8月28日の派閥弁当会で、現段階では国政に専念すべきだと特に注意を促し、国民の福祉と利益のための政策を民進党政府と党の公職者の目標として掲げ、「皆が言動に気をつけることを望む」と述べた。賴清德は中央常務委員会でも注意を促し、党内で現段階では2026年地方選挙について議論しないよう求めた。 (関連記事: 台湾・民衆党、新局面若手議員が「第三の道」模索へ 元市職員・黄瀞瑩氏ら党幹部対立に異を唱える | 関連記事をもっと読む )
ある民進党派閥の重要人物は、2018年の高雄市長選の予備選挙の傷跡が大きく、民進党に南部最重要の政権を失わせたと指摘。陳其邁は当事者であり、賴清德は当時行政院長だったため、両者とも直接経験しており、現在党内が選挙のために早々に刃を交えれば、「この政党はいつも選挙をしている」と国民に見られ、党内の団結に不利なだけでなく、国民の反感を買う可能性があることを懸念しているのである。