日本はかつて世界の半導体産業をリードしていたが、近年は国際競争の中で優位性を失いつつある。かつての栄光を取り戻すため、日本政府と企業は積極的に協力し、半導体強国の地位への返り咲きを目指している。この野心的な計画には巨額の資金不足があり、日本経済新聞の分析によると、約4兆円に上る可能性があるという。「半導体・デジタル産業戦略」の実現は、日本の経済成長の原動力にも関わっている。
2021年5月、自民党の甘利明前幹事長と安倍晋三前首相・麻生太郎副総裁が共同で「自民党半導体戦略推進議員連盟」を設立した。甘利氏は、経済安全保障の観点から半導体復興を国家戦略として位置づけるべきだと強調。経済産業省は2021年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を策定し、半導体復興の号砲を正式に鳴らした。
岸田文雄政権は2021年10月の発足後、半導体産業の発展をさらに積極的に推進している。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県での工場建設を促進したほか、2022年11月にはRapidus社への支援を決定し、2027年に2ナノメートルプロセスの最先端チップの量産を目指している。これら一連の取り組みは、日本政府の半導体産業復興への決意を示すものである。
Rapidusの困難な資金調達
Rapidus社は日本政府が大きな期待を寄せる半導体新興企業で、現在北海道千歳市に新工場を建設中であり、2025年4月の稼働を予定している。設備購入などに約1兆円の資金が必要であり、Rapidusは早ければ今年、出資企業から約1000億円を調達する予定である。残りの資金は銀行融資と政府支援で補う計画だが、この計画が順調に進むかどうかは不確実性が高い。
ある出資企業の幹部は日経に対し、「試作品の性能や顧客開拓の見通しが不明確な段階で、数百億円の出資はできない」と述べている。別の出資企業の取締役は、「工場稼働前の資金支援は国の責任だ」と訴えている。一方、経済産業省の幹部は「民間資金の参加がなければ支援は難しい」と考える。日経は、Rapidusの資金調達の行き詰まりが、民間と官の協力を推進できるリーダーの不在を反映しており、日本の半導体産業復興の構造的課題を示していると指摘。
政府支援の課題
日本政府は2021年以降、半導体産業支援のために3.9兆円の予算を計画しており、これにはRapidusへの支援として既に決定している9200億円も含まれる。これは日本史上前例のない「異次元の支援」産業振興政策と呼ばれ、政府の半導体産業復興への高い重視を示している。 (関連記事: 公務員がいじめ被害で自死か 衝撃の内部告発分署長の圧力「2年間で管理職17人が退職」 労働力開発署の"休職扱い"対応に批判殺到! | 関連記事をもっと読む )
しかし、支援規模については政府部門間で意見の相違がある。経済産業省は産業競争力向上のために支援拡大を主張しているのに対し、財務省は財政規律を重視し、日本の半導体支援のGDP比が米国やドイツを明らかに上回っていると指摘。この相違は、日本が産業政策を推進する際の内部バランスの問題を反映している。経済産業省は日本の支援は「欧米と同程度」だと主張している。部門間の駆け引きは、日本が半導体復興を推進する際の政策調整の課題も浮き彫りにしている。