ヒズボラ使用の爆発危機は、台湾製?:NYタイムズ「完全にイスラエルの周到な計画」

2024年9月18日、レバノン東部のバールベックで屋内のトランシーバーが爆発する事件が発生した。(AP通信)
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2024年9月17日午後3時半過ぎ、レバノン各地で突如としてポケベルの様々な警告音や旋律が鳴り響いた。イスラム教シーア派組織ヒズボラメンバーに指導者からのメッセージを知らせるものだった。しかし、今回のメッセージはヒズボラ上層部からではなく、イスラエルの死神からのものだった。数秒後、数百のポケベルがレバノン各地で爆発を引き起こした。通りや店舗、住宅から苦痛と恐怖の叫び声が聞こえたという。

これは、イスラエルが公式に認めていないが(否定もなし)、米メディアによるとイスラエルが米国に関与を認めたとされる「レバノン・ポケベル爆発事件」である。18日にも複数のトランシーバーや無線通信機器の爆発事件が報告され、レバノンで少なくとも32人が死亡、3200人以上が負傷した。

『ニューヨーク・タイムズ』は、台湾と関係があるとされるこれらのポケベルを「現代のトロイの木馬」と呼んだ。英国『フィナンシャル・タイムズ』は「このような大胆な攻撃は実際には非常に複雑で、3大陸にまたがる謎を残した」と述べている。

爆発の威力はどれほど強かったのか

ヒズボラは、イスラエルによるスマートフォンの追跡を避けるため、今年初めにポケベルへの全面的な切り替えを命じた。しかし、多くの現代国家では既に時代遅れとなっていたこの小さな機器が、イスラエルの浸透工作の武器となったのである。ポケベルの爆発力はどれほど強いのか。目撃者の証言やインターネット上の動画によると、この爆発は成人男性をバイクから壁に叩きつけ、買い物中の人々を吹き飛ばすほどの威力があったという。

黎巴嫩首都貝魯特發生多起爆炸事件,引發爆炸的呼叫器被指稱為台灣所生產。(美聯社)
負傷者はアメリカ大学病院に搬送され治療を受けた。(AP通信)

52歳のムハンマド・アワダは息子と車で爆発したポケベルを持っていた男性の近くを通過した。彼は『ニューヨーク・タイムズ』に「息子はその男性の手が体から飛んでいくのを見て恐怖に震えた」と語った。ポケベルは通常ポケットに入れるか、ベルトに付けるため、これらのポケベルを所持していたヒズボラメンバーが真っ先に被害を受けた。英国『フィナンシャル・タイムズ』によると、数百人のヒズボラメンバーが病院に搬送され、手が吹き飛ばされたり、顔に怪我を負ったり(おそらくポケベルのメッセージを読んでいる最中だった)、さらに重傷を負った者もいたという。

イスラエルはどのようにポケベルに爆薬を仕込んだのか

『ニューヨーク・タイムズ』やAP通信などのメディアは、米国の匿名の当局者の話として、イスラエルが非公式に米国に関与を認めたと報じている。一方、米国政府の公式見解は「知らない、関与していない、調査中」というものである。『ニューヨーク・タイムズ』は12人の米国防・情報当局者にインタビューし、イスラエルの緻密な作戦の全容解明を試みた。

黎巴嫩武裝組織真主黨(Hezbollah)所使用的呼叫機(俗稱BB Call)於當地時間17日,在全國各地同時發生爆炸,造成9人死亡、近3000人受傷。(美聯社)
​負傷者はアメリカ大学病院に搬送され治療を受けた。(AP通信)

ヒズボラ指導者ハサン・ナスラッラーは今年2月、支持者に対して「スパイがどこにいるかと聞かれれば、あなたや妻、子供が持っている電話がスパイだと答えよう」と述べた。彼はさらにヒズボラメンバーに「携帯電話を埋めるか、金属の箱に入れてしまえ」と要求し、代わりにポケベルでメッセージを受け取るよう指示した。ナスラッラーの要求は一見合理的に見えたが、イスラエルの情報機関員にとっては好機となった。