張国煒氏、海外資産の特別受益分譲渡を表明 - 推定100億台湾元規模の譲歩
スターラックス航空(星宇航空)の張国煒会長(通称:K会長)は金曜日、遺言執行人への背任告発と適格な遺言執行人の再指名要求に続き、新たな動きを見せた。海外資産についても兄弟に特別受益分を譲る意向を公表し、特別受益分はもはや問題にならないと述べた。張氏は、長兄(張国華氏)に対し、公平かつ透明性のある迅速な遺産分配を求めている。
この譲歩により、張国煒氏は推定100億元(450億円)規模の海外資産を手放す可能性がある。
台湾民法の特別受益分規定 - 海外では稀な相続権保護
台湾民法には、遺産分配に関する法定相続分と特別受益分の規定がある。これは相続人の最低限の相続権を保障するものだが、多くの国ではこのような規定は存在しない。長榮集団創業者の張榮発氏が2016年に他界した際、全財産を次男である張国煒氏に遺贈する遺言を残したことで、特別受益分規定に抵触するのではないかとの疑問が生じていた。
遺言有効判決後も続く特別受益分問題 - 張国煒氏が新たな譲歩案を提示
張国煒氏は、財産は主に株式、不動産、現金などで構成され、国内外の資産に分類されると説明。特別受益分は台湾特有の規定であり、遺言で全財産を自身に遺贈すると明記されていても、この8年間、兄弟への特別受益分の分配に反対したことはないと強調した。
海外資産も特別受益分の対象に - 張国煒氏の大胆な提案
遺言の有効性が認められた後、「長榮の古参幹部」が法定相続分や特別受益分の問題を提起したことに対し、張国煒氏は明確な姿勢を示した。海外資産には特別受益分の規定がないにもかかわらず、兄弟に海外資産の特別受益分を譲る意思を表明。今後、特別受益分の問題は完全に解決されたとの認識を示した。
推定100億元規模の譲歩 - 張国煒氏の決断の背景
法令によれば、張国煒氏の3人の兄と1人の姉の特別受益分はそれぞれ12分の1となる。海外には特別受益分の規定がなく、遺言の有効性も確定しているため、張榮発氏の海外財産は本来、張国煒氏が全て相続するはずだった。しかし、張国煒氏は海外財産についても兄弟姉妹に特別受益分を与えると宣言し、海外資産の3分の1を放棄することになる。
正確な資産額は不明だが、放棄する相続額は少なくとも100億元程度と推定される。
遺産目録の不透明性を指摘 - 張国煒氏「8年半経っても提出できないのは職務怠慢」
張国煒氏は、最近弁護士を通じて柯麗卿氏、戴錦銓氏、劉孟芬氏、呉界源氏の4名の遺言執行人と張国華氏を遺言内容違反および刑法上の背任罪で告発したことについて、強い不満を表明した。
8月の遺言有効判決後、9月10日に執行人が第一回会議を開催したが、実際には遺言を執行せず、相続人間の意見の相違を理由に挙げたという。張国煒氏は、遺言執行人の役割は遺言を執行することであり、相続人の「投票」で決めるべきではないと批判した。
さらに、張国煒氏は遺産目録の問題も指摘した。張榮発氏の死後に一度提出された以降、更新されていないという。8年以上の間に資産の売買、配当、株価変動などがあったはずだが、最新版の目録は提示されていない。張国煒氏や弁護士が要求しても、執行人は「難しい」「忙しい」などと回答するのみで、8年半経っても遺産目録を提出できないのは「あまりにもひどい、これは明らかに職務怠慢だ」と強く非難した。
長榮の経営権奪取を否定 - 張国煒氏「私のものを返してほしいだけ」
張国煒氏は、兄の張国華氏がパナマの長榮国際(EIS)の責任者を務めていることを「簒奪」であり、法的な資格がないと批判。さらに、これを利用してインサイダー取引で利益を得ており、EISの海運株を安値で自身に売却したと主張した。
最後に張国煒氏は、経営権を求める意図は一切ないと強調。将来的に過半数の株式を保有することになっても(遺産の3分の2を相続するため)、経営権を奪うつもりはなく、ただ「私のものを返してほしい」「私に属するものを横領しないでほしい」と訴えた。 (関連記事: 長栄グループ6200億円遺産戦争に急展開:星宇航空会長の次男が兄を「背任」で告訴 | 関連記事をもっと読む )
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