高雄の未来を描く:捷運R20後勁駅で大規模開発契約締結
台湾南部の大都市・高雄市で、捷運を中心とした大規模都市開発プロジェクトが新たな段階を迎えた。高雄市政府は10日、「高雄捷運レッドラインR20後勁駅共同開発プロジェクト」の契約締結式を行った。林欽榮副市長が市政府を代表し、共同申請者の鑲揚国際開発有限公司および福裕事業股份有限公司と開発契約を結んだ。
「楠梓ツインスター」:半導体産業の発展を見据えた都市設計
林副市長によると、このプロジェクトは高雄捷運の共同開発案件としては5番目のものだ。特に注目すべきは、楠梓産業区や半導体産業の「Sコリドー」に隣接する重要な拠点となる点だ。2025年8月に着工し、2030年6月の完成を目指す。2棟の高層ビルで構成される「R20楠梓ツインスター」は、地域の新たなランドマークとなる予定だ。
TODの強みを活かした戦略的立地
R20後勁駅西側の住宅地区で行われるこの開発は、半導体Sコリドーの継続的な発展を見据えたものだ。高雄科技大学、楠梓産業パーク、後勁公園に隣接するR20駅は、TOD(公共交通指向型開発)の中心地としての優位性を持つ。北高雄の玄関口を再構築し、地域発展の指標となることが期待されている。
世界的建築家・隈研吾氏も参画:高品質な都市空間の創造へ
福裕事業股份有限公司の董上裕副会長は、このプロジェクトが都市の居住環境を改善するだけでなく、新たな経済的推進力をもたらし、地域により多くの産業と雇用機会を創出すると強調した。さらに、国際的に著名な日本の建築家・隈研吾氏をデザインに招聘し、建築の高品質化にも注力している。
42.9億台湾ドルの投資で誕生する新たな都市空間
高雄市政府捷運局の吳嘉昌局長によると、開発用地は楠梓区の加昌路と海専路の交差点に位置し、面積は約5,480平方メートル。地下5階、地上16階と24階の2棟のオフィス・商業複合ビルが計画されており、総開発規模は約5.9万平方メートルに達する。後勁駅の出口と立体的に接続され、総投資額は42.9億台湾ドル(約190億円)に上る。
環境に配慮したスマートビルディングへ
捷運局は、完成後の建物の一部を楠梓第2行政センターおよび関連公共施設として使用する計画だ。これにより、楠梓地区の住民や楠梓産業パークの従業員へのサービス提供が可能となる。さらに、グリーンビルディング、スマートビルディング、耐震基準の認証を取得し、政府の安全基準を満たすとともに、環境に優しい持続可能なオフィス空間の実現を目指している。
高雄の新たな経済エンジンとしての地下鉄開発
捷運局によると、高雄捷運ではこれまでにO4、O13、Y10、RK1西側用地、そして今回のR20駅を含む5つの共同開発案件の契約が締結され、累計投資額は250億台湾ドルを超えている。さらに、O9-A用地でも投資家の募集が行われており、今後も多くの捷運共同開発案件が推進される予定だ。これらのプロジェクトは、高雄の新たな経済の中心地として期待されている。編集:高畷祐子 (関連記事: 【深層】民衆党の「宮廷政治」:柯文哲逮捕で浮上する3人の女性の権力闘争 | 関連記事をもっと読む )
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