内幕:民進党「調整役」議員に疑惑 柯建銘氏の中国投資問題が再浮上

民進党幹部の「親中」疑惑が相次ぐ中、院内総務の柯建銘議員が2013年に香港から1000万香港ドル超を借り入れ、中国事業に投資しようとしたが、資金が行方不明になったとの疑惑が浮上。香港側が台湾の弁護士を通じ、今年になって柯議員に返済を求める書簡を複数回送付。(資料写真、柯承惠撮影)

民進党幹部の中国投資疑惑、「反中親台」路線に疑問符

「反中護台」(中国に抵抗し台湾を守る)を掲げる民進党の幹部たちに、「親中」の疑惑が次々と浮上している。「台南派」の李孟諺氏のスキャンダルが話題の中、両岸関係の専門家間で「弁護士書簡」が出回っている。内容は、以前、柯建銘議員が中国南京での投資計画のために香港から資金を借り入れたというものだ。香港側は後に資金流用に気づき、台湾の弁護士を通じて柯議員に返金を要求。応じなければ刑事告訴や記者会見での公表も辞さないとしている。


これらの噂について、風傳媒は柯議員に書簡を送った台湾の弁護士に接触。弁護士は「ノーコメント」と答えた。風傳媒は柯議員本人にも確認を求めたが、現在まで返答はない。


香港企業からの巨額借入金が消失?

風傳媒が入手した弁護士書簡によると、2013年、柯議員は南京のプロジェクトに投資するため、かつて彼のボディガードだった彭智青氏と2012年に設立した会社を通じて、香港の「Fresh Live Holdings Limited」(新源控股有限公司)から1125万香港ドルを借り入れた。


しかし、2013年1月14日に資金が到着した後、柯議員と彭氏の会社は南京プロジェクトの進捗について「はぐらかし」の態度を取ったという。そのため、新源控股は2017年7月14日に投資の撤回と借入金の返還を要求した。その後、新源控股は借入金が到着後15日以内に彭氏によって不明な理由で引き出されていたことを発見。両氏は「人間蒸発」し、「借入金も泡のように消えて返還請求の術がない」状態となった。


返金要求と刑事告訴の可能性

2024年4月12日、新源控股は台湾の弁護士を通じて柯議員に10日以内の返金を要求。期限内に返金がない場合、柯議員と彭氏に対して詐欺、背任、横領などの刑事告訴を行うとしている。


8月5日付の書簡では、新源控股が柯議員と彭氏の代理人を名乗る人物から連絡を受け、特定の期限内に返金するという約束があったにもかかわらず履行されなかったことへの怒りを表明。再度10日以内の返金を要求し、応じない場合は記者会見を開いて「この卑劣な行為」を公表する可能性も示唆している。

風傳媒の調査によると、「Fresh Live Holdings Limited」(新源控股有限公司)はイギリス領ヴァージン諸島(BVI)で登録されていたが、2022年に登録を抹消されている。この企業が実際に柯議員に返金を要求している会社なのか、どの司法管轄で訴訟を起こすのかなど、不明な点が多い。これらの問題が、この案件が10年以上も解決されない原因となっている可能性がある。


柯建銘議員家族の中国ビジネス

興味深いことに、柯議員の家族は以前から中国でビジネスを展開していたことが報じられている。香港メディア「アジアウィーク」の2022年の報道によると、柯議員の長男は中国企業の取締役を務め、業務は両岸三地(中国大陸、台湾、香港)にまたがっており、中国政治協商会議委員と共同で会社を設立し、香港で高級住宅に住んでいるという。次男も中国で商売をし、民進党に寄付をしていたが、後に薬物事件に巻き込まれたとされる。

アジアウィーク誌はこう評している:「柯建銘は『反中国・台湾防衛』を唱えているが、『台湾独立は魅力的だが、行動は正直だ』。彼の一族と中国の関係は複雑に絡み合っている。」

中国当局の制裁リストに

2022年8月16日、中国国務院台湾事務弁公室は柯議員を「台湾独立頑固分子」リストに加え、関連機関や企業の中国でのビジネスを制限する措置を発表した。今回の投資疑惑との関連性も注目される。中国当局がこの問題に関する情報をより早く把握していた可能性も指摘されている。


この一連の出来事は、民進党の「反中親台」路線と幹部の行動の矛盾を浮き彫りにしている。柯議員本人からのコメントは得られておらず、事態の推移が注目される。


なお、本記事公開後、柯建銘議員は声明を発表し、「中国共産党の認知戦による偽情報であり、メディアは誤った情報を広めないよう注意してほしい」と述べている。



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