台北101新会長に賈永婕氏 政財界とのつながりが浮き彫りに
台北101の新会長に德杰建設の「社長夫人」で女優の賈永婕氏が就任するとの報道が、台湾社会に驚きと期待を呼んでいる。德杰建設の「ニューヨーク・ニューヨーク」や「明德春天」などの百貨店経営の実績が、今後の台北101の運営に活かされるとの見方が広がっている。
賈永婕氏はコロナ禍で友人たちに呼びかけ、救命装置HFNCを購入し各病院に寄付した善行で称賛されているが、一方で德杰建設はここ数年、民進党(緑陣営)の大口献金者でもある。
賈永婕氏の夫、王兆杰氏の全国的な不動産投資
賈氏の夫である德杰グループの王兆杰氏は、近年、台湾全土で不動産投資を展開している。『財訊』誌の報道によると、王氏は個人名義で泰嘉開発に投資し、台南の九份子再開発区域のプロジェクトに参画。また、德杰グループ傘下の「濟盟建設」は、他の建設会社と共同で131.25億台湾ドルを投じ、台北市仁愛路の「芙蓉大樓」跡地を取得した。
「濟盟建設」は2021年、国美建設と共同で台北市汀州路の「福音大樓」跡地約800坪を39.29億台湾ドルで落札。さらに、土城永寧駅近くの「国美德杰美德市」プロジェクトでは、1坪あたり61万台湾ドルという地域最高額での取引を実現させている。
德杰グループの政治献金、民進党議員へ
監察院の資料によると、王氏家族は以前、国民党の闕枚莎立法委員を支持していたが、德杰グループ傘下の企業は民進党の政治家への献金を行っている。例えば、「濟盟建設」は2020年の選挙で、民進党の吳秉叡立法委員に100万台湾ドルの政治献金を行った。
また、德杰グループと関連のある「景裕建設」は2020年末に民進党へ103.5万台湾ドルを寄付。「廷陽投資」は2021年に民進党の王閔生台北市議に100万台湾ドルを寄付したが、後に返還されている。
德杰グループの政治献金の流れ
済盟建設 ->呉秉叡立法委員(民進党):100万台湾ドル(2020年)
景裕建設 - > 民進党:103.5万台湾ドル(2020年末)
廷陽投資 -> 王閔生台北市議員(民進党):100万台湾ドル(2021年、後に返還)
賈永婕氏のコロナ禍での社会貢献
賈永婕氏は、コロナ禍で高流量酸素療法装置を病院に寄付する募金活動を主導し、社会的に高い評価を得ている。この活動には、遠雄、皇翔、全坤建、璞園建築、忠泰集団、国美機構、聯虹建設、泰嘉開発、欣華開発、福樺建設など多くの建設会社や、星宇航空、萬安生命、海霸王、華泰ホテルなどの企業が賛同し、寄付に参加した。
台北101会長就任の意義
台北101は台湾を代表するランドマークであり、その会長は一種の「台湾の顔」とも言える存在だ。賈永婕氏の不動産・百貨業界での経験と、社会貢献活動での評価の高さは、この重要な職務に相応しいと見られている。台北101は当初から不動産大手の宏国集団が関与しており、賈氏の就任は台湾の不動産・商業施設の新時代を象徴するものとして注目されている。
編集/高畷祐子
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