中国・王毅外相、台湾は「七つの法的根拠で拘束されている」と主張 「是可忍、孰不可忍」で日本を強く批判

2025-12-09 19:59
中国の王毅外相は8日、北京でワーデフール独外相と会談し、台湾問題の歴史的経緯と法的立場を説明。台湾の地位は『カイロ宣言』など7つの法的根拠によって「拘束されている」と主張した。(AP通信)
中国の王毅外相は8日、北京でワーデフール独外相と会談し、台湾問題の歴史的経緯と法的立場を説明。台湾の地位は『カイロ宣言』など7つの法的根拠によって「拘束されている」と主張した。(AP通信)

中国共産党中央政治局委員で外交部長の王毅氏は8日、北京でドイツのワーデフール外相と会談し、台湾問題の歴史的事実と法的根拠を全面的に説明した。その中で王毅氏は、台湾の地位は『カイロ宣言』などによって「七つの法的根拠で拘束されている」と主張し、現職の日本指導者(高市早苗首相を指す)が台湾問題を利用して騒動を起こそうとしていると非難。「第二次大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序に正面から挑戦し、中国に対して武力による威嚇を企図している。是(これ)忍ぶべきか、孰(いず)れか忍ぶべからず(是可忍、孰不可忍:これが我慢できるなら、いったい何が我慢できぬというのか)」と強い言葉で批判した。

注目されるのは、中国メディアの微信(WeChat)公式アカウントの分析によれば、「是可忍、孰不可忍」という表現は中国外交の文脈において極めて強い警告性を持つ政治用語であり、使用例は非常に限られているという点である。この言葉が使われる場合、北京当局の忍耐が限界に達したことを意味し、より強硬な措置が取られる可能性を示唆するものとされる。

実際、1962年の中印国境戦争の直前には、『人民日報』が9月22日に「是可忍、孰不可忍」と題する社説を掲載しており、1979年に中越国境戦争を発動した際にも、2月17日付『人民日報』で同タイトルの長文記事が掲載されている。

中国外交部が12月9日午前0時ごろに発表したニュースリリースによると、王毅氏はワーデフール外相に対し、日本の現職指導者が「台湾有事の際、日本が武力を行使できる」とする荒唐無稽な発言を行ったと指摘。「中国の主権と領土保全を深刻に侵犯し、これまで中国側に行ってきた約束に公然と背き、第二次世界大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序に挑戦するものであり、アジアのみならず世界の平和に重大な危険をもたらす」と批判した。

「七つの法的根拠で拘束」を展開 中国の台湾法理ロジックとは

王毅氏は、台湾は古来より中国領土であると強調した上で、いわゆる「七つの法的根拠で拘束」について次のように列挙した。

1、1943年12月、中国・米国・英国が発表した『カイロ宣言』において、日本は戦後、台湾など中国から盗取した領土を中国に返還しなければならないと明記された。

2、1945年7月、中国・米国・英国が署名し、後にソ連が参加した『ポツダム宣言』第8条は、「カイロ宣言の条項は必ず実施される」と規定している。

3、1945年8月15日、日本は敗戦を認め、天皇は『ポツダム宣言』を誠実に履行し、無条件降伏することを約束した。同年10月25日、中国政府は台湾に対する主権の回復を宣言し、台北で中国戦区台湾省の受降式を行った。

4、1949年、中華人民共和国中央人民政府は中華民国政府に代わり、中国全体を代表する唯一の合法政府となり、台湾を含むすべての領土に対して当然に主権を行使することとなった。
(関連記事: 台湾有事は日本有事に直結か 台湾海峡シミュレーションで「中国の成功率は低い」 米国防総省が示す核リスク 関連記事をもっと読む

5、1971年、第26回国連総会は第2758号決議を採択し、中華人民共和国の国連におけるすべての権利を回復させ、台湾当局の「代表」を国連から即時に排除した。国連の公式な法律見解では、「台湾は中国の一省である」とされている。

最新ニュース
トランプ関税は中国を止められず?中国、1~11月で貿易黒字1兆ドル突破、製品輸出が世界拡大
論評:アメリカの対台圧力 台湾は「売られた上にお金まで数えさせられる」のか
タイ・カンボジア国境で再び戦火、中国製ロケット砲が引き金に?トランプ氏のノーベル平和賞も危機に
平野雨龍氏、次期衆院選で大分3区から出馬を表明 「香港で守れなかった悔しさを日本で繰り返さない」
人物》台湾軍の運命を握る!頼清徳総統が登用した国軍最高検察署検察長、簡朝興氏とは
米新国家安全保障戦略で台湾8回言及 蔡正元元立法委員「台湾に厳しい内容」トランプ政権の狙いを分析
ユニクロ、グローバル旗艦店「UNIQLO UMEDA」を開業 梅田から世界へ新たなブランド体験を発信
青森地震、台湾人観光客がホテルでテレビを守る姿が話題に 「自分より他人を心配する姿に涙」SNSで感動広がる
台湾有事は日本有事に直結か 台湾海峡シミュレーションで「中国の成功率は低い」 米国防総省が示す核リスク
トランプ高関税が日本経済に影 7〜9月期GDPがマイナス成長、中小企業の賃上げに重圧
【北京観察】南京大虐殺犠牲者国家追悼日を前に日中緊迫 J-15のレーダー照射で偶発衝突懸念
DRUM TAO専用劇場、名称は「DRUM TAO THEATER KYOTO」に 26年4月京都で開業予定
青森沖M7.5、政府が初の「後発地震注意情報」発表 東大研究者が警鐘「2~3日以内に超巨大地震の恐れ」
青森県で震度6強、M7.5地震 津波も観測、23人負傷・約800戸停電 専門家が指摘「避難の三つの誤解」
「清水 ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎祭」12月13・14日開催 仲村トオルが初日セレモニー登壇 聖地巡礼ツアーや特別車両展示も
Netflix『ストレンジャー・シングス』最終章記念 原宿V.A.「STRANGER THINGS HOUSE」盛況
U-NEXT、アイナ・ジ・エンドとスキマスイッチの年末ライブを独占ライブ配信 追加料金なしで視聴可能
皇后陛下、誕生日に戦後80年を語る 硫黄島・広島・長崎などで戦没者を追悼、平和の継承の重要性を訴え
グランスタ、エキュートでクリスマスフェア開催中 予約なしで買える限定ケーキも登場
ヨーロッパに「自力更生」を迫る? ロイター:米国、2027年以降はNATOの多くの任務で防衛責任を欧州側へ引き継がせる方針
バージニア大学の最高給教授、小野健氏が退職し自身の学生に協力する決断を! AI産業へ飛び込む57歳の数学者、終身職を捨てた理由とは?
【緊急速報】北海道・青森県・岩手県に津波警報 青森県東方沖でM7.6の強い地震、最大震度6強を観測
第76回NHK紅白歌合戦「紅白ウラトークチャンネル」司会にダイアンと林田理沙アナ 関連番組も一挙発表
イチロー氏、米殿堂入り記念フィギュア発売へ 限定3,089体、12月12日からMLB公式で受注開始
杜宗熹コラム:民進党政権は中国の台頭に無力 その矛先は小紅書(RED)と中国籍配偶者へ
RADWIMPS、デビュー20周年で紅白出場決定 4年ぶりアルバム1位&朝ドラ主題歌『賜物』も話題に
ジェンスン・フアン氏、中国がNVIDIAに対抗する「AI一帯一路」構想に警鐘 ファーウェイの2ナノ猛追に「AIの教父」が危機感
舞台裏》「小紅書(RED)」だけではなく、Facebookも封鎖寸前だった? 台湾政府が次に狙うプラットフォームとは
SixTONES、3年ぶり紅白出場 デビュー6周年の特別メドレーを生中継で披露
高市政権の18.3兆円対策で円安・物価高懸念 国債増発に市場警戒、日銀の判断に焦点
ふるさと納税の人気返礼品が集結 「さとふる」二子玉川で期間限定マルシェ開催へ 物価高時代の「生活応援」と「プチ贅沢」を提案
【新新聞】介護殺人に重刑判決が続く台湾 医師が語る「問題の根本」
台湾に今冬最強寒気 最低気温10度下回る恐れ 北部は強雨、朝晩は冷え込み
ジョージ・タケイ氏、FCCJで自身の歩みと歴史的経験を語る
旧万世橋駅の遺構を活用した没入型体験イベント『導かれてしまいます』が販売開始
大阪・関西万博2025、閉幕1カ月で総括を報告 高科淳副事務総長が成果と課題を説明
中国SNS小紅書(RED)に「日本の寺」6000万円出品 日メディアが追う宗教法人買収と中資流入の現実
シタディーン、BIKAS COFFEEと協業 植樹を通じ未来の一杯を育てる宿泊プラン「Coffee for the Future Stay」
日中、武力衝突寸前か 中国軍が自衛隊機に照射、日本は抗議 中国「遼寧への悪質追尾」主張
台湾有事で日米に「温度差」 高市首相の明確発言に対し、トランプ政権は沈黙 「日本は失望している」英FTが報道
「極めて危険な行為」防衛省声明 中国空母艦載機が自衛隊機を火器管制レーダーで2度照射
サニーサイドアップ、最新ニュースレター公開 AI強化から新会社設立まで発表
藤田文武共同代表、FCCJ記者会見で連立経緯・改革姿勢・政策論点を詳述
ヨーロッパ貴族の間で広がったカフェ文化―小皿「ソーサー」に秘められた意外な用途
ジェンスン・フアン氏、ワシントンでAI版「一帯一路」と国家安全保障を語る ファーウェイは評価しつつも、米国は迅速に競争で勝つべきとの見解