台湾映像芸術が「横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)」に登場 国際共同制作の2作品を発表

台湾の映像芸術家3名による『等晶播種』『浪濤之下亦有皇都』が、横浜国際舞台芸術会議(YPAM)で正式展示され、日台の歴史と記憶を往還する創作として高く評価された。(写真/山口情報芸術センター,YCAM提供)
台湾の映像芸術家3名による『等晶播種』『浪濤之下亦有皇都』が、横浜国際舞台芸術会議(YPAM)で正式展示され、日台の歴史と記憶を往還する創作として高く評価された。(写真/山口情報芸術センター,YCAM提供)

文化部駐日台湾文化センターは、アジアを代表する舞台芸術プラットフォームの一つである「横浜国際舞台芸術会議(Yokohama International Performing Arts Meeting, YPAM)」と協力し、台湾アーティスト許家維氏、張碩尹氏、鄭先喻氏の3名が共同制作した映像作品『等晶播種』および『浪濤之下亦有皇都』の2作品を「YPAM Showcase」プログラムに出展する。

文化部によれば、今年30回目を迎えるYPAMは、アジアで最も影響力のある舞台芸術プラットフォームの一つであり、上演、フォーラム、ワークショップ、交流会議を通じて、世界各地のキュレーター、プロデューサー、専門家を結び、舞台芸術の創造、普及、国際協力を支える重要な場となっている。今回新たに設けられた国際プログラム「Showcase」では、国内外の文化機関と連携し、7つの多様な企画作品を紹介。その中には、雲門舞集芸術監督・鄭宗龍氏と日本のメディアアーティスト・真鍋大度氏による『波』の日本初演も含まれる。

『等晶播種』は三面映像インスタレーションで、台湾・雲林虎尾の製糖産業史を題材に、布袋劇、人形劇、音楽演奏を組み合わせ、殖民、産業、戦争、記憶が交錯する虎尾の歴史を再構築する作品である。『浪濤之下亦有皇都』は福岡県北九州の門司・門司港を舞台とし、四面映像、VR、人形浄瑠璃、三味線、打楽器を用いた表現を通じて、操る/操られる、記憶/近代化、歴史/技術といった権力構造を問い直す。いずれも台湾と日本の砂糖産業や殖民の歴史、戦争の記憶を軸に、砂糖生産の連結を通じて台湾・虎尾と日本・門司を結び、人形劇、布袋劇、音、映像、VRなど多様なメディアを組み合わせ、殖民近代化、産業転換、港町の記憶、戦争の傷跡、ポストコロニアル視点などのテーマを立体的に描き出す。

文化部は、台湾作品がYPAMに正式招待されたことは、台湾の映像芸術・舞台芸術がアジアの主要プラットフォームにおいて高く評価された象徴であると述べ、今後も台湾の創作者・芸術団体が国際舞台と連携し、台湾と日本の文化交流ネットワークを強化していく方針を示した。

駐日台湾代表 李逸洋氏は「映像と舞台芸術は、台湾と日本をつなぐ最も感動的な媒介である。台湾アーティストが深いリサーチと創作力をもって日本の舞台に立つことは、台湾文化の厚みを示すものだ」と述べ、YPAMが世界の舞台芸術専門家を集める場であることから、台日の文化協力深化にとって極めて重要だと強調した。

駐日台湾文化センターの曾鈐龍センター長は、2作品について「研究の密度、美学的完成度、そして台日共通の記憶という要素を兼ね備え、日本の観客に台湾現代芸術を紹介する最良の架け橋となる」と述べた。また、今後も日本の主要芸術祭との協働を進め、台湾アーティストにさらなる国際展開の機会を提供していく考えを示した。

『等晶播種』(Crystal Seeding)
会期:12月8日〜13日
会場:東京藝術大学 元町中華街キャンパス

『浪濤之下亦有皇都』(There Is Another Capital Beneath the Waves)
会期:12月12日〜13日
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

『波』(WAVES)
会期:12月13日
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

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