舞台裏》「小紅書(RED)」だけではなく、Facebookも封鎖寸前だった? 台湾政府が次に狙うプラットフォームとは

2025-12-08 17:14
民進党政権は「詐欺対策」を理由に、中国発アプリ「小紅書(RED)」の利用を禁止した。(写真/洪煜勛撮影)
民進党政権は「詐欺対策」を理由に、中国発アプリ「小紅書(RED)」の利用を禁止した。(写真/洪煜勛撮影)

中国発のソーシャルメディア「小紅書(RED)」が台湾で突然アクセス不能となった。美容・旅行などの情報発信で若い世代に人気があり、台湾の利用者は約300万人に上る。この小紅書(RED)が12月4日午後、台湾のサーバー経由でアクセスすると「内政部警政署刑事警察局により封鎖された」との画面が表示され、ネット上では批判の声が一気に広がった。

封鎖発表の数時間前、刑事警察局は記者会見を開き、行政院(台湾の内閣)打詐欺指揮センターの指揮官を兼務する内政部政務次長の馬士元氏が中央に立って、小紅書(RED)の封鎖を正式に宣言した。

馬士元氏は「小紅書(RED)では詐欺、わいせつ、児童保護に関わる問題が多発しているにもかかわらず、台湾側の改善要求に応じず、台湾法の管轄を回避している」と指摘。さらに台湾の「デジタル主権」を侵害する、高リスクかつ不透明なプラットフォームだとして、台湾網路資訊中心(TWNIC)に対し接続制限とドメイン解析停止を命じたと説明した。

しかし、野党・国民党の立法院(国会)党団は5日朝に記者会見を開き、与党民進党政権を「緑色(民進党)の万里の長城」だと批判。「デジタル戒厳」とまで表現し、詐欺対策を口実にした政治的弾圧だと非難した。小紅書(RED)は一体何が「禁忌」に触れたのか。民進党政権はなぜ「非常手段」とも言える封鎖に踏み切ったのか。

20251204-行政院打詐中心指揮官、内政部政務次長馬士元(中)4日下午依法對不配合政府打詐的中国社群プラットフォーム「小紅書」限制接取、停止解析。左為警政署副署長李文章,右為刑事局副局長陳世煌。(刑事局提供)
行政院打詐中心指揮官を務める馬士元内政部政務次長(中央)が4日午後、中国発SNS「小紅書(RED)」を封鎖すると発表した。(写真/刑事局提供)

捜査件数から「優先リスク」を抽出 最初の標的はFacebookだった

馬士元氏は、行政院・内政部・警察機関が以前から小紅書(RED)を注視していたと説明するが、具体的にいつ、どのように問題視され始めたのか。警察関係者は『風傳媒』の取材に対し、Facebook、LINE、TikTok、小紅書(RED)といった主要プラットフォームについて、警察は「同時に監視を開始していた」と説明した。ただし、限られた人員と資源の中で、詐欺発生件数や通報件数の多い順に対応を進めるため、優先度は自然と決まっていったという。

「正直に言えば、海外の巨大プラットフォームに対応するのは並大抵ではない」と担当者は明かす。そのため、警察はまず詐欺被害が最も多いFacebookを対象にし、次にGoogle、LINE、TikTokへと範囲を広げ、既に数回にわたり各プラットフォームと「是正措置」を求める枠組みを構築してきた。一方、小紅書(RED)に関しては通報件数が徐々に増え、「次は小紅書(RED)に着手すべきだ」と判断が固まっていたという。

警察側によれば、2024年に本格的に対応を開始して以降、台湾政府は中国側への司法協力ルートも含め、正式・非正式のあらゆる手段で小紅書(RED)側に連絡を試みた。しかし回答は一切返ってこなかった。 (関連記事: 中国SNS小紅書(RED)に「日本の寺」6000万円出品 日メディアが追う宗教法人買収と中資流入の現実 関連記事をもっと読む

行政院政務委員の林明昕氏が毎月主宰する省庁横断の「打詐協調会議」でも、小紅書(RED)への不満が繰り返し表明されてきたという。そのため台湾当局は10月14日、海基会(台湾の対中窓口機関)を通じて、小紅書(RED)の運営会社・上海の行吟科技に正式文書を送付した。

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