中国のソーシャルプラットフォーム「小紅書(RED)」は、各種のメイク動画、旅行やグルメ情報、生活ハックなどが投稿され、InstagramやThreadsに並んで若い世代が頻繁に使う主要アプリの一つとなっている。しかし、サイバーセキュリティ上の高いリスクや詐欺事件の多発を受け、台湾内政部は昨日(4日)から小紅書アプリに対し1年間の「DNS停止および接続制限」命令を実施すると発表した。封鎖措置は即日発効し、現在台湾では小紅書アプリもウェブ版も開けなくなっている。多くのネットユーザーからは「ほかのプラットフォームの方が詐欺が多いのに、なぜ小紅書だけ封鎖するのか」と疑問の声が上がっている。
小紅書、1706件の詐欺事件に関与 内政部が1年間の封鎖を命令
165反詐欺プラットフォームの統計によると、小紅書(RED)アプリは昨年台湾で950件の詐欺事件に関与し、被害総額は1億3290万台湾ドル(約6.5億円)を超えた。今年1~11月には756件、被害総額は1億1477万台湾ドル(約5.6億円)に達している。主要な詐欺手口は、偽ネット通販、分割払い解除詐欺、偽投資、偽交際、性的サービスを装った詐欺などで、増加傾向が続いている。詐欺対策指揮センターの馬士元指揮官によれば、国家安全局が最近中国アプリのセキュリティ検査を実施したところ、小紅書(RED)は個人情報権限違反など15項目すべてで不適合だったという。さらに、小紅書(RED)は台湾の法律の管轄を受けないため、詐欺リスクが一層高まっていると指摘する。
台湾の行政院、内政部、警察当局は状況を一定期間注視した上で、今年10月14日、海基会を通じて小紅書の運営元である中国・行吟信息科技(上海)有限公司に対し、台湾法に従った具体的改善策を提示し、台湾の司法管轄を受けることを求め、20日以内の回答期限を設けていた。しかし、企業側は期限内に何ら回答を示さなかったため、内政部は「詐欺犯罪危害防制条例」第42条の「詐欺犯罪防制緊急事件」に基づき、小紅書アプリに対するDNS停止と接続制限措置を発動した。期限は当面1年間とされている。
アプリ封鎖のニュースが広がると、小紅書の愛用者からは悲嘆と困惑の声が相次いだ。
「海外旅行の時は小紅書(RED)がすごく便利。Googleより使える」
「詐欺対策で最初に封鎖するのが小紅書(RED)なのはなぜ?」
「FacebookやLINEの詐欺件数と被害額は小紅書(RED)の何倍もある」
「FacebookとLINEの方が詐欺多いでしょ…」
「TikTokは各国の法規に合わせて動くけど、小紅書(RED)は従わないからだよ」
「Facebookが一番詐欺多い」
「頭痛に膝薬を塗るような対策だ」
FacebookやLINEの方が詐欺は多いのに、なぜ小紅書(RED)だけ封鎖?元総統府幕僚が回答
台湾政府が小紅書(RED)のみを封鎖し、より詐欺件数の多い他のプラットフォームを封鎖しない理由については、制度面の背景がある。内政部は昨年、詐欺被害から国民を守る目的で「詐欺犯罪危害防制条例」を可決し、一定規模以上の海外系インターネット広告プラットフォームに台湾での法的代表人の設置を義務付けた。違反が重大な場合は、流量制限や封鎖措置も可能とされている。この義務の対象には、Google、YouTube、LINE、Facebook、Instagram、TikTokの主要6プラットフォームが指定されている。
元総統府幕僚の范綱皓氏はThreadsに投稿し、詐欺手口は日々進化し変形しており、新法制定の根本目的は「主要プラットフォームが詐欺対策にリソースを投入するよう促すこと」にあると説明した。また、「台湾の詐欺対策がまだ強化すべき点を残しているのは事実だが、小紅書(RED)が改善要求に応じなかったため、政府が1年間の禁止と期限改善要求を出したのは、政府として当然の責務と言えるのではないか」と述べている。
編集:小田菜々香 (関連記事: 中国人観光客、台湾パスポート風カバーで訪日か 台湾SNSで反発広がる | 関連記事をもっと読む )
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