台湾国家安全局「米中対立は管理段階へ」 中国は日本への圧力を維持

2025-12-03 13:40
台湾国安局報告によれば、米中戦略競争の構図は変わらず、米国大統領ドナルド・トランプ(左)と中国国家主席習近平(右)はさらに交流を深め、情勢を管理している。(写真/AP通信提供)
台湾国安局報告によれば、米中戦略競争の構図は変わらず、米国大統領ドナルド・トランプ(左)と中国国家主席習近平(右)はさらに交流を深め、情勢を管理している。(写真/AP通信提供)

高市早苗首相が「台湾有事」に言及したことを受け、日中関係が緊張している。一方、アメリカのドナルド・トランプ氏も中国の習近平国家主席と電話会談を行った。台湾の国家安全局は、米中の戦略的競争という大枠は変わらないものの、トランプ氏と習氏が対話を増やし、情勢の管理を図っていると分析している。また、台湾情勢を巡っては日中それぞれが異なる立場を維持しつつ、緊張のエスカレート回避に努めているという。

台湾の立法院(国会)の外交および国防委員会は3日、林佳龍外交部長と蔡明彥国家安全局長を招き、「米中首脳が再び電話会談を行った後の国際秩序および地域情勢の動向」についての特別報告を求める予定で、報告書はすでに立法院に提出されている。

情勢の評価について国家安全局は、米中の駆け引きは一時的に落ち着いているものの、競争そのものの性質は変わっていないと指摘した。今年10月の「米中首脳会談」以降、双方は経済制裁の調整に動いたが、現時点では合意が完全には履行されていないという。

レアアース分野では、中国が重要鉱物への輸出管理を1年間停止するとしたものの、依然として主管部門の審査が必要で、両国間で供給協定が結ばれたわけではない。

技術規制では、米国は中国への高性能AIチップの輸出を認めていない。農産品調達に関しても、中国が購入した米国産大豆は200万トン余りにとどまり、米側の想定(約1200万トン)を大きく下回った。地政学的競争では、米国が南シナ海や台湾周辺での中国の威圧行動に懸念を示し、インド太平洋における同盟国の利益を守ると表明。一方の中国も自国の安全保障利益を堅持すると主張している。

国家安全局はまた、中国が日本への圧力を継続しているものの、情勢が制御不能に陥ることは避けていると分析する。中国は高市早苗首相の台湾関連発言の撤回を迫るため、旅行警告の発出、一部航空路線の停止、水産品輸入再開の見合わせ、さらに黄海・渤海での軍事訓練を強調するなど、緊張感を意図的に高めている。しかし同時に、11月25日には呉江浩駐日大使が日本外務省の船越健裕事務次官と会談しており、日中の対話チャンネルは維持され、大規模な反日ナショナリズムの動員も確認されていない。

日本側は台湾を巡る立場を明確に維持し、米国をはじめ同盟国からの支持も得ている。高市首相は中国との対話を継続する意向を示しつつ、台湾関連発言の撤回には応じないとしている。木原稔官房長官、茂木敏充外相、山崎和之・国連常駐代表ら政府関係者も、中国が主張する「敵国条項」を根拠とする対日軍事行動の可能性を相次いで否定。日本政府は11月25日の閣議で答弁書を決定し、台湾海峡に関する従来の立場を改めて確認した。

米国は11月15日以降、国務省やジョージ・グラス駐日大使が日米安保へのコミットメントを繰り返し強調し、トランプ氏自身も高市氏に直接電話を掛け、同盟協力を一層進める意向を伝えた。G20の会場では、韓国、インド、英国、ドイツ、フランスの首脳が相次いで高市氏と会談し、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現について協議。各国は台湾海峡の安定を重視する姿勢を明確にしている。

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