「中国版NVIDIA」の寒武紀、オリジナルNVIDIAに対抗可能か？ 学者が語るそのチップの実性能「旧モデルの8割止まり」

AIチップの覇者であるNVIDIAが世界のAIサーバーとデータセンターにおいてほぼ独占的な地位にある中、中国は技術的な独立を図るため、国内のAIチップメーカー寒武紀を積極的に支援し、「NVIDIA依存」を解消しようとしている。これに関して、大同大学電機系の助教である張勤煜氏は番組『論政天下』で意見を述べた。たとえ性能では米国が依然として先行していても、中国はチップパッケージングとスタッキング技術を通じて、全体的な性能を先進的なプロセスに近い水準にまで引き上げているとした。

張氏は、中国が「NVIDIA依存解消」政策を採用した理由として、クラウドサービスやデータセンター業者がNVIDIAのチップを使用しないように指導する意図があったと指摘した。今年5月には、国家が資金援助するデータセンターには外国製のAIチップの調達を禁止することが正式に発表された。この政策は、NVIDIAにとって財務報告書上での200億ドル以上の影響だけでなく、損失は500億ドルに達する可能性があると張氏は予測している。

また、張氏は、NVIDIAの総売上が大幅に伸びているが、中国市場への依存度は低下しつつあることを強調した。NVIDIAのCEOであるジェン・スン・ファン氏も、同社の現時点での中国市場における収益は基本的にゼロであると明らかにした。NVIDIAのGPUは汎用チップであり、寒武紀のASIC（特定用途向け集積回路）とは異なる。ASICは特定の機能に特化して開発されるため、通常は汎用型GPUよりも効率が高い。

​張勤煜氏は、寒武紀の最新のチップ「思元590」の性能は、2、3年前のNVIDIAのA100チップの80%に相当し、訓練シーンではファーウェイの昇騰910Bチップの60%の性能に過ぎないと述べた。そのため、実際のハードウェアはNVIDIAに及ばない。

さらに、張氏は計算能力ではNVIDIAのチップに及ばないが、機械学習ユニットのアーキテクチャを通じて計算を高速化し、現在の性能は単一AIチップの計算能力だけでなく、メモリ転送速度や仮想接続AIチップの統合計画も考慮する必要があると指摘した。寒武紀は現在、590チップに7ナノメートルのChiplet技術を採用しており、チップスタッキングによってプロセス技術の遅れを克服し、全体的な性能を先進的なプロセスに近づけている。

張勤煜氏によると、中国におけるNVIDIAが残した空白は、寒武紀が自身の技術を開発し、ギャップを埋めるための絶好の機会である。今年はすでに市場への投資が506億ドルに達し、寒武紀はAIチップにおいて3つの主要事業を展開していると指摘した。第一はクラウド製品チップ、第二はエッジ製品、第三はIPソフトウェアライセンスであるが、現在最も懸念されているのは、クラウド製品が売上の99.4%を占め、他の製品はほとんど存在感がないという点である。

さらに、張氏は、寒武紀の重要なマイルストーンは2017年にあり、プロセッサがファーウェイの麒麟970チップに採用され、当時の世界初のAIスマートフォンのチップとなったと述べた。しかし、当時寒武紀はIPをファーウェイにライセンスする形で、自社開発のチップを用いて寒武紀の技術を使用しないことに決定した。、単なるIPライセンスから脱却し、自立したAIサーバ専用チップの開発に注力することを確信するに至った。

編集：佐野華美

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