賴清德氏の米国経由訪問、林佳龍氏「米国は支持姿勢へ転換か」日中対立は長期化と指摘

2025-12-03 09:25
外交部長・林佳龍氏、番組『下班国際線』出演。(写真/顔麟宇撮影)
外交部長・林佳龍氏、番組『下班国際線』出演。(写真/顔麟宇撮影)
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台湾の林佳龍外交部長(外相)は2日、ブルームバーグのインタビューに応じ、ワシントンとの緊密な協議を経て、台湾としては賴清德総統が近く米国を経由して中南米の友好国を訪問できるよう、トランプ政権が容認するとの自信を示した。また、最近悪化している日中関係については、双方の外交的緊張が落ち着くまでには1年ほどかかる可能性があると分析した。

「八月拒否」から「歳末の和解」へ トランプの交渉術?

林佳龍氏がいま「自信」を語る背景には、数カ月前に水面下で繰り広げられた緊張感あふれる外交の駆け引きがある。関係者によれば、賴清德総統は当初、今年8月にパラグアイ、グアテマラ、ベリーズなどの友好国を訪問し、その行程で例年通り米国通過を申請していた。しかし当時は米中貿易交渉の山場と重なり、さらにトランプ氏が韓国で中国の習近平国家主席との首脳会談を控えていた時期でもあった。余計な火種を避けるため、取引重視のトランプ政権は賴清德氏の経由要請を一旦棚上げしたという。

この判断は台湾外交にとって大きな後退と受け止められ、「トランプ2.0」時代の台米関係への不安を広げる結果となった。


しかし、10月に米中が韓国で1年間の「貿易休戦合意」に達したことで、情勢は転機を迎えたように見える。林佳龍氏はインタビューで「現在の対話状況を踏まえると、近い将来、米国を経由して中南米を訪問できると確信している」「米国でのトランジットは問題にならないと考えている」と述べた。

こうした変化は、トランプ氏が得意とする「極限まで圧力をかけた後で譲歩を示す」交渉スタイルの表れとも受け止められる。ただし、今回の通過が完全にリスクなしというわけではない。ブルームバーグは、トランプ氏が来年4月に中国を訪問する予定であることを指摘し、賴清德氏がこの時期に米国を経由すれば、米中がようやく築きつつある脆弱な信頼関係に影響を与える可能性があると分析している。

日中関係について 冷却には一年を要する可能性

米台関係に加え、林佳龍氏はインタビューで、東北アジアのもう一つの火種である日中関係にも言及した。日本の高市早苗首相は就任後、「中国が台湾に侵攻すれば、自衛隊が関与する可能性がある」と国会で答弁し、北京のレッドラインを踏み越えた。中国はすぐに経済制裁や外交的報復に踏み切り、双方の関係は一気に冷え込んだ。

台湾を発端とするこの緊張について、林佳龍氏は、高市氏の発言が引き金となった対立は「安定するまでに1年ほどかかる可能性がある」と予測した。北京にとっても対立をエスカレートさせるのは得策ではないからだという。ブルームバーグは、今回が林佳龍氏の外相就任以来、初の海外テレビメディアの単独インタビューであり、氏の発言からは「台湾が日中対立の火に油を注ぐ存在になりたくない」という明確な姿勢が読み取れると指摘している。

興味深いのは、中国が日本への「抵制(ボイコット)」を強めるなか、台湾はその逆を行く“優しい対応”を選んだことだ。林佳龍氏によれば、中国人観光客が日本旅行を次々とキャンセルした際、台湾政府は国民に日本への観光や日本製品の購入を積極的に促した。「私たちはこうした方法で日本を支持し、同時に緊張緩和にも貢献しようとしている」と述べている。

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