トップ ニュース UNRWA保健局長がガザの深刻な人道危機を訴え 停戦から1カ月、それでも「戦争は終わっていない」
UNRWA保健局長がガザの深刻な人道危機を訴え 停戦から1カ月、それでも「戦争は終わっていない」 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長の清田明宏氏は、停戦から1カ月が経過してもガザでは深刻な人道危機と栄養失調が続き、「戦争は終わっていない」と警告した。(写真/日本記者クラブ提供)
停戦後も「戦争は終わっていない」 深刻な栄養失調続く 2025年11月6日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)保健局長の清田明宏氏が日本記者クラブで会見し、ガザ地区の現状とUNRWAの活動について説明した。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦合意から1カ月が経過する中、ガザへの空爆や物資制限が続き、戦闘の実質的な収束は見えない状況だと述べた。清田氏は「物理的な戦闘行為が止まった部分はあっても、戦争は終わっていない」と強調した。
会見では、今年7月にUNRWAクリニックを訪れた11カ月の女児シラさんの写真が示された。上腕囲の測定値は急性重度栄養失調を下回る7.5センチで、深刻な飢餓状態が続いていることを象徴する例として説明された。
停戦後、ガザへの物資搬入は一部改善したものの、価格は戦前の2〜3倍に高騰し、多くの住民が購入できない状況が続く。清潔な水、燃料、医薬品も不足したままで、住民の生活環境は改善していない。清田氏は「栄養失調が続いていることが、戦争が終わっていないことの象徴だ」と述べた。
イスラエルでUNRWAの活動を禁止する法律が施行された影響で、今年1月以降、清田氏を含む国際職員はガザに入れず、約1万2000人の現地職員が活動を支えている。医療物資や食料をUNRWA自身が搬入することもできず、パートナー組織と協力して対応している状況が説明された。
また、国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見について、UNRWAに向けられた主張は根拠が確認されなかったと述べ、UNRWAの活動が妨げられるべきではないとの判断が示されたことに言及した。
教育面でも困難が続いており、約100の避難所(多くが学校)に7万5千人が避難している状況が紹介された。正常な学習環境を確保できない状態が続き、支援が急務であると述べられた。
会見では、物資搬入が制限される中でも、UNRWAがパートナーと連携しながら支援活動を継続している状況が説明され、清田氏は引き続きガザの人道危機への理解と支援を求めた。
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