「今日のウクライナ、明日の台湾」!? 『ガーディアン』トランプ氏の軟弱さとあいまいさで、習近平氏の膨張する野心が台湾を一層危険に

アメリカ大統領トランプ氏。(写真/AP通信提供)
アメリカ大統領トランプ氏。(写真/AP通信提供)
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「無知というものは、多くの場合、悪意や歴史的偏見、相互不信が積み重なった結果として生まれる。そしてそれは、長くくすぶってきた国際紛争に火をつける最大の導火線にもなる。」

英紙『ガーディアン』の国際問題コラムニスト、サイモン・ティスダル氏(Simon Tisdall)


5カ月前、「トランプ氏の対中政策は『軟弱さと敵意が同居する奇妙な組み合わせ』であり、台湾海峡で戦争が起きる可能性をむしろ高めている」と警告していた英紙『ガーディアン』の国際問題コラムニスト、サイモン・ティスダル氏(Simon Tisdall)。そのティスダル氏が今回、ウクライナ問題でトランプ氏がロシアに迎合する姿勢を見せていることを受け、11月30日の寄稿で再び警鐘を鳴らした——「トランプ氏の優柔不断さと弱腰が、中国に台湾への圧力を一段と強めさせている」と指摘した。

ティスダル氏はこれまでも、トランプ氏について「威勢のいい虚勢の裏には臆病さが潜んでいる」と批判してきた。氏によれば、トランプ氏は一貫してウクライナ支援への関与を拒み、ロシアの侵攻にも屈する姿勢を示してきたという。「この人物の政策は自己利益、金銭、恐怖によって動かされている」とし、さらに「もし習近平氏が、香港・マカオに続く『三つ目の回帰領土』として台湾を狙うなら、混乱が続くトランプ政権のもとで台湾はすでに掌中のものだと考えるだろう」と警告した。

北京は台湾を全く理解していない

トランプ氏がウクライナ問題で一段と譲歩する一方で、中国の国営メディアは台湾の将来に関する西側の不安を和らげようとする“説明的”記事を相次いで掲載した。だが、これこそが台湾情勢の悪化を示す兆候だと、ティスダル氏(Simon Tisdall)は見ている。中国メディアの狙いは台湾問題をめぐる西側の懸念払拭にあるようだが、ティスダル氏によれば、むしろ「双方が互いを理解していないことの証左」であり、その効果も「滑稽と言うほかない」。中国側は台湾を掌握した後、香港をモデルにした体制の下で、審査済みの「愛国者」によって台湾を統治させると主張しているが、「民主と事実上の主権を大切にしてきた台湾の人々」が受け入れるはずがない、と指摘する。

要するに——北京は台湾の現実をまったく理解していない。

ティスダル氏はさらに、中国の対台湾圧力は軍事行動にとどまらず、スパイ活動、サイバー攻撃、大規模監視、さらには荒唐無稽な偽情報や陰謀論を通じて台湾の経済・外交を孤立させ、「親欧米の民選政権の転覆さえ狙っている」と述べる。賴清徳氏が国防費を400億ドル規模で増額し、「併呑を狙う敵対勢力の脅威が悪化している」と警告した背景には、ウクライナ情勢と響き合う厳しい現実があるという。

中国は台湾を締め付けている

賴清德氏は「最も懸念すべきは、脅迫が続くなかで台湾の人々が最終的に抵抗を諦めてしまうことだ」と語る。米シンクタンクの研究者ハル・ブランドズ氏(Hal Brands)も、中国が採っているのは典型的な「アナコンダ戦略(Anaconda Strategy)」だと指摘する。これは、外交的孤立、経済的威圧、サイバー攻撃、大規模な認知作戦を通じて、ゆっくり、しかし確実に台湾を締め付けていく“絞殺戦略”である。習近平氏が望む第一の選択肢は、台湾を壊滅させるような上陸作戦ではなく、「中国の力は圧倒的で抗えない」と思い込ませる心理戦であり、台湾社会を敗北主義の泥沼に沈めることだという。

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