トップ ニュース 中国の対日批判続く 台湾の安全保障関係者が「次の動き」を分析
中国の対日批判続く 台湾の安全保障関係者が「次の動き」を分析 日本の首相、高市早苗は「台湾有事」に関する発言で中国の激しい反応を招いた。(写真/AP通信提供)
高市早苗首相は11月7日の国会質疑で、「台湾有事」が日本の「存立危機事態」に該当する可能性に言及し、現行の安全保障法制のもと、日本が集団的自衛権を行使できる余地があることを示唆した。これに対し、中国は強い反発を示し、激しい言辞で非難を繰り返した。
台湾の安全保障当局が中国政府の一連の対日行動を分析するとともに、日本側から寄せられた情報を総合すると、今回の一件で多くの日本人が「台湾の置かれた立場を自分ごととして実感した」としており、「台湾人の暮らしがどれほど切迫しているか、初めて身をもって理解した」と伝える声も少なくないという。
同国安全保障関係者によれば、中国政府は今回、日本に対して外交的威圧、軍事的示威、グレーゾーンでの嫌がらせ、経済的圧迫、スパイ容疑での拘束、認知戦、国際法を利用した法的圧力といった7種類の複合的な威嚇手段を投入したとされる。
なぜ中国がこれほど激しい対応を取ったのか。同関係者は、中国国内で経済の減速や内部の統治圧力が高まる局面では、政権が矛先を外に向ける傾向が顕著だと指摘する。外交摩擦を意図的に作り出し、強硬姿勢を演出することで、国内統治の正当性を強化しようとする狙いがあるという。
しかし、安全保障 関係者によると、中国の今回の対応には三つの大きな戦略的誤算があるという。第一に、ウクライナや中東情勢に気を取られているアメリカはアジアにまで目が回らないと見誤ったこと。第二に、日本の新政権は圧力を受ければ一歩引くと踏んだこと。第三に、国際社会が台湾海峡や第一列島線の安全保障をどれほど重視しているかを軽く見たことだ。
では、なぜ台湾の安全保障 システムは「対米姿勢の読み違い」があったとみているのか。安全保障関係者によれば、日中の対立がエスカレートした後、米中首脳は電話会談を行った。中国側は「アメリカからかかってきた」と説明しているが、台湾側の情報では、実際には中国がアメリカとの通話を求めた形だったという。狙いは、アメリカを取り込んで日本に圧力をかけさせることにあったとみられている。
しかし、会談後に双方が公表したプレスリリースの内容には大きな隔たりがあり、アメリカ側が中国の思惑に乗っていないことは明らかだと同関係者は指摘する。むしろ、中国の焦りと外交戦略の空回りぶりを浮き彫りにした格好だという。
日本への反応をめぐる誤算についても、同関係者は、中国側の発信するメッセージには「女性を標的にしている」印象が強く、女性である高市早苗首相を一方的に攻撃していると受け止められていると話す。中国側は、日本の官僚機構は全体として慎重で、「あまり事を荒立てたくないから中国とは争わないだろう」と踏んでいた節がある。しかし、現状を見るかぎり、日本国内での高市氏への支持はむしろ高まっているという。
(関連記事:
賴清徳氏と高市早苗氏による台湾独立連線、北京の恐怖に!「東アジア危険三角」が形成か
|
関連記事をもっと読む
)
安全保障関係者は、三つ目の誤算として「台湾海峡と島嶼防衛の安全こそ、各国が最も重視しているポイントだ」という認識を中国政府が見誤っていると指摘する。中国政府は台湾を自らの勢力圏とみなしているが、インド太平洋周辺の国々にとっては、台湾は世界有数のハイテク産業と経済の大動脈に直結する存在だという見方が一般的になっている。
そのため、中国政府が対外プロパガンダや他国批判を強めれば強めるほど、日本や国際社会の側では、中国の脅威をむしろいっそうクリアに認識する結果になっていると、この関係者は分析する。各国は、中国政府の一連の行動を通じて、台湾が長年置かれてきた厳しい安全保障環境を「自分たちの問題」として体感し始めており、同政府による一方的な現状変更の試みに対する警戒感はいっそう高まっているという。
安全保障関係者はさらに、中国政府が今回の対日問題で緊張をエスカレートさせ続け、「どこかで手を引く」という姿勢を全く見せていない点にも言及した。こうした強硬姿勢は、同政府内部の意思決定が混乱しているか、あるいは社会的プレッシャーが極めて強まっており、民族主義の高揚によって国内矛盾をそらす必要があることを示している可能性があるという。
安全保障関係者 によれば、今後注視すべき次のタイミングとして、12月に控える特定の記念日――たとえば「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」を中国政府が利用し、対日圧力を再び強める可能性があると指摘する。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒
最新ニュース
【新新聞】日台AIデータセンター、百億規模の投資が北海道へ 投資チームは同じ顔ぶれ 日本のバブル経済崩壊後、石炭産業で栄えた北海道は大きな打撃を受けた。経済の立て直しに向け、日本政府は北海道でGX(グリーントランスフォーメーション)政策を進めており、台湾企業も泓德エネルギーなどが相次いで再生可能エネルギー施設への投資を行っている。そうした中、北海道・旭川市でAIコンピューティングセンターへの投資を計画し、数千万ドルを調達した新興企業「朋思富......
『エコノミスト』誌が警鐘 中国がEVの次に狙う「自動運転」と「新薬」覇権の衝撃 世界が中国の電気自動車(EV)ダンピングに頭を悩ませている間に、北京のイノベーションエンジンは密かにギアを入れ替えていた。2025年の今日、賑やかな都市の通りから無菌の実験室に至るまで、より深層的な変革が起きている。中国は単に商品を輸出するだけでなく、未来の標準をも輸出しようとしているのだ。もしあなたが、現在増加している中国のテクノロジー覇権を懸念する一......
年間販売No.1弁当が集結 東京駅・グランスタで「TOKYO BENTO EXPO」開催 2025年12月22日から2026年1月31日まで、年間販売実績No.1のお弁当が集結JR東京駅構内のエキナカ商業施設「グランスタ」を運営するJR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーは、2025年12月22日から2026年1月31日までの期間、「TOKYO BENTO EXPO(駅すぽ)」を開催する。今回のイベントは、1年間の販売実績をもとに......
賴清徳氏と高市早苗氏による台湾独立連線、北京の恐怖に!「東アジア危険三角」が形成か 高市早苗首相はこれまで「台湾海峡への武力介入」を示唆する発言を行い、大きな波紋を広げてきた。その後、米国のドナルド・トランプ氏との電話会談を経ても姿勢は緩まず、むしろ「台湾の地位は未確定」との新たな論点を持ち出し、台湾が第二次世界大戦後に中国へ復帰したという認識を認めない立場を示した。中国政府にとって、こうした高市氏の二つの発言は強い警戒を呼ぶ「外部からの圧......
浜崎あゆみ、上海公演中止も「無観客」で完走 ファンへ「心配しないで」発信 歌手の浜崎あゆみは29日、インスタグラムを更新し、中止となった中国・上海公演の会場で「無観客の状態で一曲目からアンコールまで行ってから会場を後にしました」と報告した。浜崎は現地メディアの記事を引用しながら、「会えるはずだった1万4,000人のTAの皆さんに向けて、演者・スタッフ全員で全身全霊で本番と寸分変わらぬ想いをもち、ステージをまっとうさせていただきまし......
トランプ氏、日本に「台湾問題で慎重対応」要請か WSJ報道を官房長官が否定 米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は26日、「トランプ氏、中国の習近平氏と電話会談後、東京に台湾問題で『トーンダウン』を要請」と題した記事を掲載した。記事は日本政府関係者と米側消息筋の話として、米国のドナルド・トランプ大統領が高市早苗首相との電話会談で、台湾の主権問題について北京を刺激しないよう、遠回しに助言したと伝えた。これに対し、木原稔官......
浜崎あゆみ、上海公演中止も「無観客ライブ」敢行 香港俳優・黄秋生氏「本物のアーティスト」 中国政府が「台湾有事」に対する立場を表明した影響で、最近、多くの日本の芸能人の活動が「不可抗力」の理由で急遽キャンセルされている。その中で、歌手の浜崎あゆみさんの上海コンサートも例外ではなく、予定していた29日の公演は開催前夜にキャンセルが発表された。しかし、浜崎さんはそのまま会場を離れることなく、空席の観客席を前に「観客のいないコンサート」を実施。彼女のこ......
中国人団体客が減少 日本観光を支える「台湾パワー」を専門家が分析 中国の強い反発を招いた高市早苗首相の「台湾有事」発言を受け、中国政府が日本への渡航警戒を発出した影響で、中国からの団体旅行が相次いでキャンセルされ、一部の観光地では急に静けさが戻っている。ただ、インド太平洋戦略の専門家でジャーナリストの矢板明夫氏は、この空白は想像されるほど深刻ではなく、むしろ「おなじみの旅行客」である台湾からの訪日客が、日本の観光業にとって......
非核電源供給の方針転換か? 経済部、核二・核三の再稼働計画を2026年3月に核安全会議へ 国内の電力需要に対する懸念が依然として残っているため、今年の住民投票後、経済部は台湾電力に関連する評価を開始するよう指示した。経済部は今月28日、台湾電力の原子力発電所の現状評価報告を正式に承認したと発表した。これにより、原子力発電所の第1発電所は、重要設備の多くがすでに撤去されており再建が必要であるなど複数の要因によって、再稼働の可能性がないと評価された。......
DENSOとDELPHY、データ駆動型スマート園芸の加速に向け共同開発契約を締結 高精度の収量予測モデルを活用し、安定した計画栽培を実現へデンソー(DENSO CORPORATION)とオランダのDELPHY GROEP BV は、データ駆動型スマート園芸の実現に向け、安定した計画栽培を可能にするシステム開発を加速するため、2025年10月1日に共同開発契約(Joint Development Agreement)を締結した。近年、気候変......
夏珍コラム:台湾人は巨額国防予算に「ノー」と言う権利を持っているのか 台湾が一体いくらの国防予算を支出すべきかは、常に議論の的となってきた。事実として、台湾の年間国防予算はこれまでも決して低くなく、戦闘機や潜水艦などの特殊なニーズがあれば、その都度、特別予算案が組まれてきた。総統が海外メディアに寄稿することも、馬英九氏や蔡英文氏も行っており目新しいことではない。しかし、国防予算案の提出前に、軍の統帥権者である総統が先に海外メデ......
外国人観光客が絶賛!「台湾の文化」に心奪われ、帰国後も恋しくなる理由 近年、AI技術の発展とともに、サンフランシスコ・ベイエリアの住民の間で台湾への旅行関心が高まり、帰国後もその日常の風景を懐かしむ声が増えている。中央社の報道によると、カリフォルニア大学バークレー校の学生サリク・カーン氏は、今年の夏に初めて訪れた東アジアの旅行先として台湾を選び、たとえ他のアジア諸国を訪れる機会があっても、台湾は最も魅力的な国であり、特にコンビ......
デンソー、2026年1月1日付で大規模な組織再編と役員人事を発表 デンソー(DENSO CORPORATION)は2025年11月28日、2026年1月1日付で大規模な組織再編と役員・シニアディレクターの人事異動を実施すると発表した。急速に多様化するモビリティ市場に対応し、戦略機能、技術開発力、システム提案力をさらに強化することが目的としている。今回の組織変更では、電動化と内燃機関を横断したパワートレインシステム事業の強化......
宏福苑での5級火災で94名死亡!改修工事の汚職手がかり露呈 住民の反対を無視 香港大埔宏福苑で発生した火災は、近年で最も深刻な住宅災害の一つとされており、香港政府による最新の統計によると、28日午前6時の時点で94人が死亡し、その中には1名の消防士も含まれている。さらに76人が負傷し、うち11名は消防士だった。犠牲者の家族らは親族や友人の安否確認のため病院や現場を行き来している。今回の火災は、当初の「定例の改修工事」と見られていたが、......
『Christmas Market in 横浜赤レンガ倉庫』過去最大規模で開催中 約12mツリーや61店舗のグルメ・グッズ、無料新エリアも登場横浜赤レンガ倉庫で毎年恒例の「Christmas Market in 横浜赤レンガ倉庫」が、2025年11月21日から12月25日までの35日間開催されている。今年は2010年の初開催から16回目を迎え、「Time」をテーマに過去最大規模で展開。高さ約12メートルの巨大クリスマスツリーや、過去最多と......
浜崎あゆみ上海公演が急きょ中止、本人が公式謝罪 日中関係の緊張が芸能界にも影響か 日中関係が緊張状態にある中、両国の映像・エンターテインメント産業にも深刻な影響を及ぼしている。多くの日本人アーティストの中国での公演が相次いで中止される中、歌手の浜崎あゆみが29日に予定していた上海公演についても、すでにステージが撤去されたとの情報が流れ、本人がこれを認め、公式に謝罪した。関係者によると、浜崎はすでに上海に到着し、29日の公演に向けて積極的に......
香港・宏福苑火災 濃煙を恐れず「一軒一軒」叩き続け、住民の命を救った無名の英雄 香港・宏福苑の大火災が広がった後、死亡者は少なくとも94人に達し、76人が負傷した。その中には、火災現場で負担を強いられた消防士11名も含まれている。これらの冷たい数字の背後には、ひとつのコミュニティが闇の中で必死に生き延びようとした過程がある。事件後、香港のネットユーザーがThreadsにその晩の様子を綴り、大火が発生した時、多くの住民は自分たちが災難に巻......
「海鯤號」海上浮航試験を完了 台湾国際造船、調整後の潜航試験への移行を発表 台湾の潜水艦「海鯤号」は昨日と今日(28日)、連続2日間にわたり海上浮航テストを実施した。台湾国際造船(台船)によると、評価の結果、すべてが予想通りの目標を達成しており、今後は調整と整備を経て、予定通り潜航テストを行う予定だ。契約規定に基づき、海鯤号は11月に引き渡し予定だったが、もし今月末までに納船できなければ、台船は違約金として1日あたり19万台湾ドルの......
インドネシアのスマトラ島で大雨被害、174人死亡・8万人避難 インドネシアのスマトラ島は最近、深刻な山洪と地滑りに見舞われている。28日夜までに現地の救助部門が確認したところ、少なくとも174人が死亡し、さらに59人が行方不明であることが明らかになった。洪水は島の町や村を襲い、数千の建物が浸水および破壊され、8万人以上の住民が緊急に避難している。第一線の救助隊は、川や村の廃墟の中で必死に遺体や生存者を捜索している。国外......
高市首相の「台湾有事」発言に中国反発 人民日報が痛烈批判 高市早苗首相による「台湾有事」発言が北京の反発を招いている。高市氏は国会で「歴代政権の政策に変更はない」「今後、個別の状況についてコメントすることはない」と釈明したものの、中国共産党の機関紙『人民日報』は態度を緩めていない。28日付の署名コラム「仲音」は、高市氏の「九つの過ち」を列挙し、「越線した重大な挑発であり、独断専行すればいずれ自分に跳ね返る」と強く警......
江岷欽の視点:地球で最も危険な場所 「台湾有事」を本気で気にかける国はどこか 「戦争が決めるのは『誰が正しいか』ではなく、『誰が生き残るか』である」(War does not determine who is right -- only who is left.)。─英国の哲学者 バートランド・ラッセル (Bertrand Russell)フランスの思想家レイモン・アロン氏も著書『平和と戦争の間で』の中で、「国際関係に道徳は存在せず、......