中国の対日批判続く 台湾の安全保障関係者が「次の動き」を分析

2025-12-01 17:15
日本の首相、高市早苗は「台湾有事」に関する発言で中国の激しい反応を招いた。(写真/AP通信提供)
日本の首相、高市早苗は「台湾有事」に関する発言で中国の激しい反応を招いた。(写真/AP通信提供)

高市早苗首相は11月7日の国会質疑で、「台湾有事」が日本の「存立危機事態」に該当する可能性に言及し、現行の安全保障法制のもと、日本が集団的自衛権を行使できる余地があることを示唆した。これに対し、中国は強い反発を示し、激しい言辞で非難を繰り返した。

台湾の安全保障当局が中国政府の一連の対日行動を分析するとともに、日本側から寄せられた情報を総合すると、今回の一件で多くの日本人が「台湾の置かれた立場を自分ごととして実感した」としており、「台湾人の暮らしがどれほど切迫しているか、初めて身をもって理解した」と伝える声も少なくないという。

同国安全保障関係者によれば、中国政府は今回、日本に対して外交的威圧、軍事的示威、グレーゾーンでの嫌がらせ、経済的圧迫、スパイ容疑での拘束、認知戦、国際法を利用した法的圧力といった7種類の複合的な威嚇手段を投入したとされる。

なぜ中国がこれほど激しい対応を取ったのか。同関係者は、中国国内で経済の減速や内部の統治圧力が高まる局面では、政権が矛先を外に向ける傾向が顕著だと指摘する。外交摩擦を意図的に作り出し、強硬姿勢を演出することで、国内統治の正当性を強化しようとする狙いがあるという。

しかし、安全保障関係者によると、中国の今回の対応には三つの大きな戦略的誤算があるという。第一に、ウクライナや中東情勢に気を取られているアメリカはアジアにまで目が回らないと見誤ったこと。第二に、日本の新政権は圧力を受ければ一歩引くと踏んだこと。第三に、国際社会が台湾海峡や第一列島線の安全保障をどれほど重視しているかを軽く見たことだ。

では、なぜ台湾の安全保障システムは「対米姿勢の読み違い」があったとみているのか。安全保障関係者によれば、日中の対立がエスカレートした後、米中首脳は電話会談を行った。中国側は「アメリカからかかってきた」と説明しているが、台湾側の情報では、実際には中国がアメリカとの通話を求めた形だったという。狙いは、アメリカを取り込んで日本に圧力をかけさせることにあったとみられている。

しかし、会談後に双方が公表したプレスリリースの内容には大きな隔たりがあり、アメリカ側が中国の思惑に乗っていないことは明らかだと同関係者は指摘する。むしろ、中国の焦りと外交戦略の空回りぶりを浮き彫りにした格好だという。

日本への反応をめぐる誤算についても、同関係者は、中国側の発信するメッセージには「女性を標的にしている」印象が強く、女性である高市早苗首相を一方的に攻撃していると受け止められていると話す。中国側は、日本の官僚機構は全体として慎重で、「あまり事を荒立てたくないから中国とは争わないだろう」と踏んでいた節がある。しかし、現状を見るかぎり、日本国内での高市氏への支持はむしろ高まっているという。 (関連記事: 賴清徳氏と高市早苗氏による台湾独立連線、北京の恐怖に!「東アジア危険三角」が形成か 関連記事をもっと読む

安全保障関係者は、三つ目の誤算として「台湾海峡と島嶼防衛の安全こそ、各国が最も重視しているポイントだ」という認識を中国政府が見誤っていると指摘する。中国政府は台湾を自らの勢力圏とみなしているが、インド太平洋周辺の国々にとっては、台湾は世界有数のハイテク産業と経済の大動脈に直結する存在だという見方が一般的になっている。

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