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【新新聞】日台AIデータセンター、百億規模の投資が北海道へ 投資チームは同じ顔ぶれ 朋思富實業の楊雋佑氏(左)は、AIデータセンターへの投資企業「駿吉-KY」の取締役も兼ねている。(写真/朋思富實業提供)
日本のバブル経済崩壊後、石炭産業で栄えた北海道は大きな打撃を受けた。経済の立て直しに向け、日本政府は北海道でGX(グリーントランスフォーメーション)政策を進めており、台湾企業も泓德エネルギーなどが相次いで再生可能エネルギー施設への投資を行っている。そうした中、北海道・旭川市でAIコンピューティングセンターへの投資を計画し、数千万ドルを調達した新興企業「朋思富實業」が登場した。同社の背後にいる投資チームには仕掛けがあり、責任者の楊雋佑氏はAIコンピューティングセンター投資企業「駿吉-KY(Inmax Holding )」の取締役を務めるほか、「朋思富實業」はEV充電システム大手のファーウェイ(Huawei)グループとも密接な関係を持つ。
米中の両大国がAI分野で激しく競り合うなか、米国の技術封じ込め政策の影響で、近年マレーシアなど東南アジア諸国ではAI算力センターへの投資が急増している。もともと釘打ち機の製造を主力としていた「駿吉-KY(Inmax Holding ) )」は、2024年に戦略株主として梁見後家族を迎え入れ、マレーシアでのAIデータセンター投資計画を開始した。台湾企業は東南アジアにとどまらず、近年では日本を含む北東アジアにも投資の手を広げている。
日台企業、北海道AI算力センターの潜在力に着目 2024年、北海道・札幌市は「GX金融・資産運用特区」を申請し、同年6月に日本の国家戦略特区として認可された。札幌市はAI実装の先進地域を目指し、北海道の広大な土地と技術基盤を活かして、交通、エネルギー管理、産業自動化など多分野でAI技術の現地実証を進める計画だ。
こうした北海道の積極的な誘致活動の中で、台湾企業も当地のAIデータセンター市場の潜在性を見いだした。2024年7月、新興企業「朋思富實業(PENG SI FU Industrial Co., Ltd. )」は北海道旭川市政府と『協力覚書』を締結し、旭川AI算力センターの設立を共同で推進することに合意した。
同センターは来年4月に正式着工する予定で、第1期では Supermicro(美超微)の最新世代ラックシステムを採用。さらに NVIDIA H200 または B200 GPU の導入を検討し、高性能・低遅延・拡張性を備えたコンピューティング基盤の構築を目指す。
朋思富実業が日台パートナーと連携し、滋賀県でGPUデータセンターを建設。(写真/朋思富実業提供) 「朋思富実業」の公式サイトによると、同社は2021年に設立された台湾発のクロスボーダー資本運用プラットフォームで、AIデータ、グリーンエネルギー、カーボンクレジット取引など先端分野への投資を専門としている。事業範囲は日本、シンガポール、チェコなどに広がっている。
北海道での投資計画に先立ち、同社は数カ月前にも日本での新たな取り組みを進めていた。今年4月22日、朋思富実業は日本の上場企業・北濱GRF株式会社、碁太エネルギー科技の3社と協力覚書(MOU)を締結し、滋賀県大津市・堅田地区で20MW級のGPUデータセンター建設計画を共同で推進すると発表した。
AIブームに乗る新興企業の台頭 日本でAI算力センターを展開する台湾企業は「朋思富實業」だけではない。今年5月には、元立法委員・洪奇昌氏と関係の深い「新大同投資顧問」責任者の楊榮光氏が、TSMCの日本・熊本工場の近くでAIスーパーコンピューティングセンターへの投資を発表した。この案件は台湾のAI新創企業「康斯特科技」との共同取り組みである。偶然にも、この「康斯特科技(KONST)」は昨年、「朋思富實業」と共同で「大成康斯特科技」という合弁会社を設立している。
「康斯特科技」と「朋思富實業」はどちらも、近年のAIブームに乗って急成長してきた新興企業だ。『数位時代』の報道によれば、「康斯特科技」はアジアを代表するAI算力基盤企業として、今年初めに数千万ドル規模の資金調達を完了。台湾の大手エネルギー企業、テクノロジー企業、知名サイバーセキュリティ企業などが出資に参加した。創業2年の同社は「GPUリース」ビジネスを展開し、すでに世界10万人の顧客を獲得したとされる。
今年5月、「新大同投資顧問」責任者の楊榮光氏は、TSMCの熊本工場の近くでAIスーパーコンピューティングセンターへの投資を発表した。(写真/顏麟宇撮影) 「朋思富實業」はAI分野への投資だけでなく、EV充電ステーション事業を展開する ファーウェイ(Huawei)グループ とも密接に協力している。報道によれば、同社は今年6月に新興舞台芸術ブランド「華軒文化創意公司」へ戦略投資を行い、ファーウェイグループと連携。テクノロジー、リソース、クリエイティブ領域の強みを組み合わせ、音楽劇の両岸共同制作・巡回公演を推進し、台湾オリジナルコンテンツの国際展開を目指すという。
実際、ファーウェイグループは2011年に「羊羊平板パソコン」で中国教育市場に参入して台頭した台湾企業であり、この15年で事業領域は大きく拡大。現在では再生可能エネルギー、バイオ・ヘルス、AI技術、マルチメディア、外食チェーン、ECなど多岐にわたる。
同グループが台湾へ投資を戻して以降、パートナー企業の幅も広く、充電ステーション分野で協力する「天晟運國際」は、元立法委員・余天氏が経営する企業として知られる。
アマゾン、マイクロソフトなど大手クラウドも進出 ファーウェイグループが台湾で投資する商業用・産業用純水システム分野では、「台耀科技(Taiwan Union Technology) 」との協力関係もある。「台耀科技」の会長である賴義霖氏は、北台湾最大のAIデータセンター「A-Top 新嶺雲端データパーク」の投資者としても知られる。同園区の第1区画は今年初めに完成し、シンガポール最大の多国籍企業・吉寶集団(Keppel)が投資。さらに Amazon、Microsoft をはじめとする大手クラウド企業がすでに進出しており、園区全体の総投資額は500億台湾ドル(約2,450億円)に達する。
また、台耀科技は上場企業「全域公司」の最大株主でもあり、同社の董事である潘伯滄氏は、株価の高騰で注目される「光聖(Lightronic)」の董事も兼務している。近年、世界的なAIインフラ整備によってシリコンフォトニクス(Silicon Photonics)を用いた光通信の需要が高まり、光聖は投資信託からの人気が集中。直近の株価は1,345台湾ドル(約6,600円) に達し、ネットワーク関連株のトップ銘柄となった。
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