グーグルのAIモデル「Gemini 3」は発表とともに高い評価を受け、株価も急騰した。さらに、メタがデータセンターにグーグル独自開発のTPUを採用するとの報道も相まって、市場では「エヌビディアの首位が揺らぐのではないか」との懸念が広がっている。
こうした見方について、経済評論家の游庭皓氏はネット番組『金臨天下』で、現在の相場には依然としてバブル懸念がくすぶっていると指摘した。その一方で、足元で起きているのは「資金の内部移動」であり、短期的には過度に悲観する必要はないと説明する。
游氏はまた、現状の株価水準から見れば、むしろ「売られすぎ」で本来の価値を大きく下回っている銘柄を探すことが投資家にとって重要だと強調した。
游庭皓氏は、グーグルの急成長が従来のOpenAIの受注や覚書に影響を及ぼすのか、さらにエヌビディアのGPU市場シェアを圧迫するのかが市場の焦点になっていると指摘する。
株価の動きに目を向けると、グーグルの親会社アルファベットは急騰する一方、エヌビディア株は下落基調に入り、これまでほぼ連動していた両社の相関が崩れてきたという。背景には、エヌビディアが長年グーグル向けに大量のGPUを供給してきたという関係性がある。
現在、アルファベットのTPUがメタのデータセンターで採用されるかどうかが市場で注目されており、「TPUがGPU市場を奪うのではないか」という観測が続いている。ただし、エヌビディアは25日に声明を発表し、グーグルの成功を歓迎するとしつつ、自社は依然として「一世代先を走る存在だ」と強調した。
游庭皓氏は、TPUとGPUは「同じ世代の製品」とは言い難いと説明する。利用場面で見ると、GPUはグラフィックス処理から大規模言語モデルまで幅広く対応できるのに対し、グーグルのTPUは主にAIトレーニングに特化したプロセッサだという。
現在のマーケットの現状については、むしろ「TPUがどの程度リアルにシェアを侵食しているか」を見極める局面だとみる。仮にTPUがメタからの大型案件を獲得したとしても、世界シェアはなお5%に届かない水準で、約95%を握るエヌビディアとの差は依然として圧倒的だと指摘する。これは「ストックとしての規模の差」であり、仮にTPUの世界シェアが5%から7%に上昇し、エヌビディアが95%から93%へと下がったとしても、両社の市場自体が拡大しているため、エヌビディアの売上がすぐに縮小するわけではないと分析する。
今後のAI半導体競争について、游氏はハードウェアの側面ではエヌビディアが当面、高いシェアを維持するとみている。一方で、今回のアルファベット株の急騰が脅かしたのはエヌビディアではなく、「OpenAIを中心に結ばれてきた各種の覚書やコミットメント」のほうだと指摘する。大規模言語モデルの分野では、OpenAIが「ナンバーワンの座」にいるとはもはや言い切れず、今後もグーグルの圧力が強まれば、OpenAIへの依存度が高いハイテク株や、OpenAI関連の受注比率が高い銘柄のほうこそ注意が必要だという。
游氏は、アルファベットが揺さぶっているのは大規模言語モデル市場の「勢力図」であり、計算能力(コンピューティングパワー)の面では、エヌビディアが依然として圧倒的なシェアを握っていると結論づけている。
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編集:小田菜々香 (関連記事: エヌビディア帝国はグーグルに崩されるのか 「Gemini 3が強すぎる」との懸念も 専門家は「心配無用、DeepSeekを思い出せ」と指摘 | 関連記事をもっと読む )
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