台湾は米国の「中国抑制の切り札」か 台湾大・明居正名誉教授が警告 米国が台湾を放棄すれば財政崩壊の恐れ

台湾大学政治学系の名誉教授・明居正氏は、風傳媒の番組「下班瀚你聊」で、台湾は現在の米中競争における「主要な標的」であり、米国が台湾を中国との取引材料として差し出す可能性は低いとの見方を示した。(写真/柯承惠撮影)
台湾大学政治学系の名誉教授・明居正氏は、風傳媒の番組「下班瀚你聊」で、台湾は現在の米中競争における「主要な標的」であり、米国が台湾を中国との取引材料として差し出す可能性は低いとの見方を示した。(写真/柯承惠撮影)

米国のドナルド・トランプ氏は最近、2026年4月に北京を訪問する意向を示し、あわせて中国の習近平氏に対して米国訪問を持ちかけた。米中首脳の往来が活発化すれば台湾問題が議題に上るのは避けられないとの見方から、台湾国内では「重大な方針転換が打ち出されるのではないか」といった不安も広がっている。

こうした中、台湾大学政治学系の名誉教授である明居正氏は、『風傳媒』の番組「下班瀚你聊」に出演し見解を示した。明氏は、現在の米中対立の「主な焦点は台湾にある」としたうえで、「米国が台湾を失えば、アジアから撤退せざるを得なくなる」と指摘。「台湾は米国が中国共産党を抑制するために最も重要なカードであり、簡単に取引材料にはしないだろう」との見方を示した。

米国が見る台湾の価値は「半導体」だけではない

明氏は、2026年に想定される米中首脳会談を読み解くカギとして、米国が台湾の戦略的重要性をどう位置づけているかが焦点になると説明する。トランプ氏の1期目からバイデン政権を経て、再びトランプ氏が政権に戻る流れを踏まえても、「政権交代があっても対台湾の重視姿勢は弱まっておらず、むしろ強まっている」と分析した。

その理由として、まず挙げたのが「民主的な価値観を共有するパートナー」という点だ。明氏は、米国が台湾を重視する背景には、「台湾を民主主義陣営の一員とみなしていることが大きい」と述べ、価値観の一致は国家間の同盟関係を決めるうえで重要な指標だと指摘した。

さらに、安全保障上の観点からも台湾の地理的な位置は極めて重要だと強調。台湾海峡を通過するコンテナ船は「世界全体のおよそ48%に達する」とし、仮に台湾が中国側の支配下に入れば、各国は太平洋側の遠回りのルートを選ばざるを得なくなると説明した。その結果、輸送にかかる距離が伸び、保険料やリスクも高まるため、「各国にとって大きな負担になりかねない」と述べた。

半導体についても、米国が台湾に期待しているのは単に量ではなく、「高性能な先端半導体を供給できるという質の部分だ」と説明。一方で、中国との経済関係は「取引量という『量』の側面が中心だ」と整理し、米台と米中では経済関係の性格が異なると分析した。

中国共産党の台頭でアジア太平洋の主導権は移るのか

明居正氏は、米国が台湾を手放せば「米国は中国共産党に勝てず、台湾も守れない」と周辺国に受け止められ、アジアでの影響力が急速に低下すると指摘する。その結果、中国共産党がアジア太平洋地域で「最大の勢力」とみなされ、各国が次々と中国側に傾く可能性が高まるとみる。アジアのすべての国がそうならなくても、米国は最終的に「アジアから退かざるを得ない」という見方だ。 (関連記事: トランプ氏、台湾保証実施法案に署名 米台外交40年のタブーを突破か?5つの注目ポイント徹底解説 関連記事をもっと読む

明氏はさらに、米国がアジアで後退する最大の衝撃は「ドル価値の下落」だと強調する。すでにドルの発行は膨らんでおり、各国がドルを信頼しているのは、米国の経済力・軍事力・政治的安定への期待が前提にあるためだという。もし米国の存在感がアジアで薄れれば、ドルの国際的な信認が揺らぎ、国内のドル価値や財政運営にも深刻な打撃となりかねないとして、「そうしたリスクを考えれば、米国が台湾を軽々しく手放すことはない」と述べた。

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