COP30で浮き彫りに 中国主導で加速する「グローバルサウス」再エネ革命

2025-12-02 17:03
2022年11月2日、ドイツのニーダーハウゼンの風力発電所近くにある石炭火力発電所から蒸気が上がる。(AP通信)
2022年11月2日、ドイツのニーダーハウゼンの風力発電所近くにある石炭火力発電所から蒸気が上がる。(AP通信)

今年初めにブラジル・ベレンで開催された第30回国連気候変動会議(COP30)では、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領が、開始前にこの会議を「真実の会議」にすると表明した。ベレンはアマゾン川沿いに位置し、熱帯雨林が極端な気候や気候変動の影響を最も顕著に受けるため、ブラジルは同地を主催地に選んだ。

世界全体での炭素排出量増加のペースは10年前の予測より鈍化しているものの、依然としてヨーロッパの気候目標には達していない。その一方で、アメリカが他国の気候適応施策を妨害する政策をとる中、多くの急成長している大規模経済がエネルギーの枠組みを密かに変化させている。

ブラジル、インド、ベトナムなどの国々は急速に太陽光及び風力発電を展開している。石油大国のナイジェリアは国内初の太陽光パネル工場設立を計画し、エチオピアやネパールなどの貧しい国々はガソリン車から電気自動車(EV)へ移行中だ。モロッコはヨーロッパ市場向けのEVバッテリー生産センターに投資し、チリの首都サンティアゴでは公共バスの少なくとも50%がここ数年でEVに置き換わった。これらの変化の鍵を握るのは、最新の再生エネルギー大国となった中国である。

2025年11月13日。COP30峰会在巴西举行。(AP)
2025年11月13日、COP30峰会がブラジルで開催された。(AP通信)

『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』によると、中国国内の太陽光パネル、風力タービン、バッテリー市場は飽和状態にあり、現在はこれら製品をエネルギー需要が増加している発展途上国に進出させている。また、ベトナムの太陽光パネル工場やブラジルのEV工場への投資も行っている。実際に世界で最も人口が多い経済圏において、中国の産業政策がその経済発展に大きな影響を与えている。ブラジルのアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ外交官はCOP30議長として、「中国の行動は気候問題の解決策である」と述べ、発展途上国がこのサミットで異なる役割を果たしたことを強調した。

しかし、気候変動の解決は容易ではない。多くの新興経済国を含む大半の国々は、依然として化石燃料に依存している。インドは最も環境負荷の高い石炭を大量に採掘し、中国と同様に石炭火力発電所の建設を続けている。また、ブラジルも石油生産を増大させる計画を持つ。しかし、コスト削減やエネルギーセキュリティの観点から、そうした国々は再生エネルギーを徐々に採用し、化石燃料の輸入を減らすことで外貨準備の負担を和らげようとしている。

価格が急激に下落している中国のグリーンエネルギー産業が、こうした転換を可能にしている。研究・提言組織である世界資源研究所(WRI)のアニ・ダスクプタ会長は、これは経済発展と温室効果ガス排出削減が両立可能であることを示していると述べる。「新興経済圏は非常に重要な存在だ。彼らは世界で最も多くの人口と貧困層を抱えており、注目すべきだ。これらの経済圏のエネルギー需要は増大し続けているため、彼らが転換しなければ、世界全体の安全保障は不可能になる」 (関連記事: 中国の水素エネルギー攻勢が加速、「二つの手段」で世界覇権を狙う? 専門家が警鐘:米国は二本柱戦略で対抗すべき 関連記事をもっと読む

2024年、エチオピアは新たなガソリン車の輸入禁止を表明し、ネパールはEVの輸入税を大幅に引き下げた結果、現在EVの販売価格は従来のガソリン車よりも安価になっている。ブラジルは輸入車全般の関税を引き上げ、BYDや長城汽車などの中国EV企業にブラジル国内での工場建設を促した。インドも中国のモデルに倣い、政策を活用して太陽光発電の発展と関連機器の国内生産を奨励している。インドはベレンでのCOP30で、同国の電力需要の半数を再生可能エネルギーで代替可能であると指摘した。これは『パリ協定』が定める2030年の目標より5年も早く達成する転換目標であり、国際エネルギー機関(IEA)もインドが2030年以前に中国に次いで世界第2位の再生可能エネルギー成長市場になると予測している。

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