トランプ氏、「ベネズエラ領空完全封鎖」の警告投稿で緊張高まる 1.5万人の兵力がカリブ海に集結、カラカスのスーパーで買い急ぎ発生

2025-12-01 10:25
2025年11月25日、アメリカ大統領トランプ氏が空軍1号でフロリダ州ウエストパームビーチのパームビーチ国際空港に到着する。(写真/AP通信提供)
2025年11月25日、アメリカ大統領トランプ氏が空軍1号でフロリダ州ウエストパームビーチのパームビーチ国際空港に到着する。(写真/AP通信提供)
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2025年11月29日早朝、ドナルド・トランプ米大統領は自身のSNS「Truth Social」に、大文字のみで書かれた強硬なメッセージを投稿し、カリブ海地域の緊張を一気に高めた。

トランプ氏は「すべての航空会社、パイロット、麻薬密売人、人身売買業者に告ぐ。ベネズエラ上空および周辺の空域は全面的に閉鎖されたものと見なせ」と呼びかけた。

この投稿が行われたのは、感謝祭の連休中の週末で、米国防総省の高官らがカリブ海の同盟国を頻繁に行き来していた最中だった。

『ワシントン・ポスト』紙は、国際法上、米大統領には他国の主権空域を「直接閉鎖」する権限はないものの、これはホワイトハウスからの警告であり、実務上はしばしば米軍の攻撃開始を示す前兆として受け止められると指摘する。2011年にオバマ政権がリビア空爆を開始する直前の動きと重なるためだ。

今回の発信は、マドゥロ政権への最後通牒であるだけでなく、地政学的な駆け引きを一気に危険域へ押し上げる賭けでもある。

SNS上での外交が生む戦争の影 海上包囲から地上攻勢へと向かうのか

トランプ氏がSNSでマドゥロ政権を威嚇した一件は、単発の出来事ではない。これは、同氏の二期目における対ラテンアメリカ強硬路線が一気に噴き出した象徴でもある。ここ数週間、ワシントンとカラカスの応酬は口先の衝突から、実際の軍事的なにらみ合いへと段階を上げていた。

米南方軍はこの地域に、過去数十年で最大規模となる兵力を展開。1万5,000人規模の米軍に加え、フォード級空母「ジェラルド・R・フォード(USS Gerald R. Ford)」を中心とする十数隻の艦艇が、すでにプエルトリコやカリブ海に待機している。

トランプ氏の投稿の数日前には、米連邦航空局(FAA)がパイロットに対し、ベネズエラ空域で「最大限の警戒」を呼びかける通告を出した。理由は「治安情勢の悪化と軍事活動の増加」だ。さらに象徴的だったのは、トランプ政権が今週、いわゆる「太陽のカルテル(Cartel de los Soles)」をテロ組織に指定したことだ。米側は長年、この組織がマドゥロ氏と軍上層部に掌握され、ベネズエラを麻薬流通の拠点にしていると主張してきた。

専門家は、この組織が伝統的な意味での厳密なカルテルとは言い難いと指摘する一方、今回の法的指定が、国防総省に武力行使の法的根拠を与えるのは間違いないとみる。単なる麻薬取締りから「対テロ戦」へ位置づけを引き上げることが可能になるためだ。

トランプ氏は感謝祭メッセージでも率直だった。「もし簡単な方法で人々を救えるならそれでいい。だが、力を使わねばならないなら、それも構わない」と述べ、軍事行動の可能性をにおわせた。さらに、これまで海上封鎖が中心だった作戦が拡大することにも触れ、「陸上の作戦は取り組みやすい。まもなく始めることになるだろう」と語った。

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