トランプ氏がCIAに「ベネズエラ秘密行動」を許可 NYT・WP報道で米軍集結と地域緊張が急浮上

2025-10-16 14:15
アメリカのトランプ大統領。(写真/AP通信提供)
アメリカのトランプ大統領。(写真/AP通信提供)
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『ニューヨーク・タイムズ』と『ワシントン・ポスト』は15日、アメリカのトランプ大統領が中央情報局(CIA)に対し、ベネズエラでの「秘密行動(covert action)」を許可したと報じた。この「大統領調査令」(presidential finding)と呼ばれる極秘の許可は、明らかにベネズエラのマドゥロ政権に対するものであり、ラテンアメリカ全体の平和に影を落としている。

この報道がメディアによって先行公開された数時間後、トランプ氏は報道陣に対し「我々は陸に注視している、海は十分に管理下にある」と発言し、世界中で波紋を呼んだ。これは、秘密情報活動の公然とした認知とも取れる発言であり、アメリカが自国の裏庭での軍事オプションをベネズエラ本土への直接攻撃にまで拡大する可能性を示している。さらに、マドゥロ政権の転覆を図る動きである。

ワシントンにとって、マドゥロは2024年の選挙を奪取し、居座る独裁者だけでなく、「薬物テロリスト」とのレッテルを貼られる存在である。トランプがCIAに出した新たな命令は、アメリカの情報機関がベネズエラ内部で情報収集、心理戦浸透、さらには致命的な攻撃を含む可能性を示している。アメリカのメディアは、これが冷戦時代におけるCIAのラテンアメリカでの影響力を思い起こさせる歴史を連想させると指摘している。

数万の米軍による「包囲」作戦

トランプが「陸に注視」という発言をする前、アメリカ軍は数週間前から麻薬密輸撲滅を目的とし、ベネズエラ沖で特定の攻撃を少なくとも5回実施し、麻薬を積んでいるとされる船舶を沈め、27人が死亡した。トランプ政権はこれらの行動が「国際水域」で行われたことを強調し、法的および軍事的行動のラインを引こうとしたが、そのラインも次第に曖昧になってきた。トランプの最新の表明は、ホワイトハウスの忍耐が急速に擦り減っていることを示し、外交交渉や経済圧力から軍事力の集結へと変化している。

アメリカ当局によれば、現在カリブ海に配備されている米軍は1万人以上であり、大部分はプエルトリコの基地に駐留している。さらに陸戦部隊が揚陸艦で待機中であり、海軍は合計8隻の水上戦闘艦と1隻の潜水艦を配備している。これは1989年のパナマ侵攻以来、同地域での米軍による最大の集結となっている。 (関連記事: 中国は本当に「絶好調」なのか?『人民日報』8連発社説が描く幻想と、『エコノミスト』が暴いた真実 関連記事をもっと読む

ルビオとラトクリフの強硬路線

『ニューヨーク・タイムズ』は、この一大圧力キャンペーンの背後にいた総設計者は国務長官兼安全保障顧問のマルコ・ルビオ氏であると報じた。彼は常にキューバやベネズエラなどの左翼政権に対して強硬姿勢をとることが知られている政治家であり、新任のCIA局長ジョン・ラトクリフ氏と共に、マドゥロ氏の退陣を目的とした過激な路線を主導していた。ラトクリフ氏は就任以来、CIAを過去の「リスク回避」文化から脱却させ、より攻撃的で大統領の意志を貫徹できる情報機関とすることを誓ってきた。彼は指名公聴会において、CIAは「誰も行けない場所に行き、誰もできないことをする」と語っている。今回のベネズエラに対する秘密の許可は、彼の約束の第一歩として見られる。

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