野党、共通候補で共闘模索 高市氏退陣で自民政権の長期支配に終止符打てるか

日本の野党勢力の一つ、国民民主党の現党首玉木雄一郎氏。(写真/玉木雄一郎X公式ページ提供)
日本の野党勢力の一つ、国民民主党の現党首玉木雄一郎氏。(写真/玉木雄一郎X公式ページ提供)
目次

日本は26年にわたって政権を独占してきた「自公連立」が解消されたことで、政界に未知の影響をもたらし、本来は安泰のはずだった新任党首の高市早苗氏も大きな挑戦に直面している。こうした中で、かつて内紛に明け暮れていた野党が協力を本気で考え始め、自民党の独占を打破しようとしている。

ブルームバーグによると、日本の主要野党勢力は14日午後に集まり、首相選出指名投票に向けた一人の推進候補を真剣に検討している。公明党という最大のパートナーを失った自民党は、議席数196で最大の単独会派を維持しているが、過半数には届かない。このため、野党三大党にとって最善の策は単一の候補者を推し、支持することであり、この場合は210票を確保できる。高市氏が自民党以外の候補者から支持を得られない場合、野党候補者が次期首相に就任することが決定的になると見られている。

いわゆる「三大野党」とされるのは、立憲民主党(148議席)、国民民主党(27議席)、日本維新の会(35議席)の3党である。現在、この3党が共闘する場合の最有力候補として、国民民主党代表の玉木雄一郎氏が名前を挙げられている。

もし玉木氏が野党勢力をとりまとめ、共通候補として首相指名選挙に臨み勝利すれば、自民党が政権を失って以降、実に2009年以来となる政権交代が実現する可能性がある。

同様の事例は1993年にさかのぼる。当時、自民党の分裂によって宮澤喜一政権が崩壊。自民党は衆院選後も第一党ではあったが、日本社会党、新生党、公明党、日本新党、日本共産党など8党が連立を組み、過半数を確保。共通候補として細川護熙氏を首相に押し上げた。細川内閣は9カ月で崩壊したものの、自民党一党支配に風穴を開けた歴史的転換点となった。

2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選で勝利した後の記者会見。(美聯社)
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選で勝利した後の記者会見。(写真/AP通信提供)

玉木雄一郎氏の率いる国民民主党は小規模なポピュリスト政党で、明確な政策メッセージと国民の実所得向上の約束により急速に支持を獲得している。インフレーションが選挙民の最大関心事となる中、国民民主党の戦略は日本家庭の共感を呼んでいる。

政策の不一致、依然として障害

三党は一部政策で隔たりが大きく、玉木雄一郎氏は「共同政権を安定運営するには政策の一致が不可欠だ」との認識を示している。経済・生活分野では物価高対策として消費税の引き下げを含む大枠で一致をみている一方、防衛分野では国民民主党と立憲民主党の間に依然として大きな溝があり、これが三党協力の成否を左右する鍵となりうる情勢である。

現在、立憲民主党は148議席、日本維新の会は35議席、国民民主党は27議席を有しており、三党で結集すれば自民党を打ち破る可能性がある。最終目標は、与党連立を離れた公明党(24議席)を取り込み四党連立を組むことであり、実現すれば衆院の過半数ライン233を上回る234議席となる見込みである。

もっとも、野党勢力の中で最大会派は立憲民主党であるのに、なぜ共通候補が同党代表であり元首相でもある野田佳彦氏ではないのか、との疑問は根強い。

立憲民主党首 野田佳彦。(美聯社)
野田佳彦立憲民主党代表(写真/AP通信提供)

野田氏の支持率は、消費税の上昇を支持するという個人的な立場が彼の党の一般方針と反しており、下落しているため、誰を次の首相にするかを選ぶ世論調査でも4%にすぎず、玉木氏の7%を下回っている。

高市早苗氏サイドでは、厳しい評価を受けてきたにもかかわらず、日本初の女性首相という道を模索している。読売新聞によると、彼女は総裁選での党内対抗者を入閣させることを検討しており、例えば小泉進次郎氏を防衛大臣に、現官房長官の林芳正氏を総務大臣に任命する案が浮上している。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp

最新ニュース
人質救出と「和平の利益」で政治的清算回避も、イスラエル政権崩壊の火種
米中対立「72時間の冷却」内幕 財務長官ベッセント氏が会談継続協議を確認
天気予報》台風24号(フンシェン)のたまごが発生!外側循環が台湾に影響、東部では豪雨に警戒を
米中貿易戦再燃!トランプ大統領、中国の食用油購入停止を警告
2025大阪万博閉幕、台湾TECH WORLD館が創意と温かさで世界に感動を届ける
台湾高速鉄道「静寂車両」に「子連れに不親切」の声 今後も続けるべき?最新世論調査の結果は
2025年ノーベル経済学賞》「革新主導の経済成長」を解明 モキール氏、アジオン氏、ハウイット氏の3人に
陸文浩の見解:中国軍が台湾周辺で「統合戦備警戒パトロール」を常態化 国慶日前夜にC型包囲配置、23機探知・17機が越境
『台湾有事は日本有事』を捉え直す――日本の研究者が読み解く「日台友好」の光と影:独立派×日本右派の蜜月がはらむリスク
米中貿易戦が再燃:中国がレアアース規制で圧力、トランプ氏は一律100%関税で応酬 『エコノミスト』強権は「力は信頼に勝る」
台湾エバー航空で勤務中のCAが帰国後に死亡 社内体質への批判広がる「休めない文化が命を奪った」
日台考古学の祭典!宮崎の貴重な埴輪が台湾に初上陸 十三行博物館「静土有声」特別展が開幕
高市早苗政権に黄信号、「麻生の傀儡」批判と公明党離脱で支持急落か 邱毅氏が「3つの致命傷」を指摘、野党は玉木雄一郎を「対抗馬」に擁立へ
日本軍『幽霊艦隊』の油漏れが拡大 太平洋のダイビング聖地に生態危機、小さな島国が戦争遺産の負債を背負う
日本の静かな革命:400万人の「新日本人」が支える経済 自民党は「中年世代」への政策転換へ
米中貿易戦争再燃、トランプ氏の脅威と習近平氏の強硬姿勢が世界経済を揺るがす
トランプ氏のビザ廃止で韓国エリート教育大激震、留学先は日本・香港・シンガポールへ
独占インタビュー》高市早苗氏、極右派ではなく戦略的保守派として米国との互恵関係重視
独占インタビュー》高市早苗氏が直面する「最初の外交試練」 トランプ氏が同盟国に軍事費GDP5%要求へ
「前世は国軍兵だったかもしれない」日本の防衛専門家、台湾と中華民国の知られざる統一構想を追う
湘南美容クリニック、創業25周年「信頼と安心」を 渡辺翔太さん出演の新CM第2弾放映開始、エイジングケア「エールシリーズ」も展開
「ハマス・イスラエル衝突」から2年 錦田愛子教授が会見で情勢と和平案を解説
高市早苗氏、「台湾有事=日本有事」に賛同?日本防衛学者が政府の公式見解を否定
張鈞凱のコラム:中国、米国に「6つの矢」――レアアース輸出規制で反撃開始 トランプ政権を直撃
独占インタビュー》高市早苗氏、日本初の女性首相挑戦か 福島伸享衆議院議員:「有志・改革の会」が鍵となる位置に
大阪・関西万博、最大280億円の黒字見込み 来場2683万人・チケット販売2207万枚の大成功 物販・飲食も想定超えの好調ぶり
「TIFFCOM 2025」10月開催 日本発IPが世界へ――国際共同製作・ASEAN連携が加速
K-POP発・世界1,000店舗超「クラブピラティス」急成長 日本でも「マシンピラティス革命」が進行中
【特集記事】日本橋一丁目中地区第一種市街地、再開発事業 アジア初「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」も誕生へ
台湾の通商「オリーブ枝」はなぜ既読スルーに 日経が検証――トランプ回帰と中国圧力のはさみ撃ち、外交の現実とジレンマ
内幕》台湾・台南も悲鳴!頼総統の本拠地で反発続出 光電が山林を破壊、民進党の基盤動揺
陸文浩の視点:台湾・賴清徳総統の国慶演説と同時に、中国が広東・汕尾での軍事訓練を通告
杜宗熹コラム:歌や批判にとどまらず――韓国瑜立法院長は今回も核心を突いた
大谷翔平から子どもたちへーー手紙とおむすびの贈り物 ファミマ「スマイルおむすびプロジェクト」で笑顔広がる
高市早苗氏の首相就任に「大きな危機」 公明党が相次いで不支持を表明、自民の「黒いカネ」対応の曖昧さに不満
出生率1.2の危機 東京都、無痛分娩に最大10万円補助へ 「痛みを耐えてこそ母」神話に挑む静かな革命
舞台裏》「台湾の盾」とは何か 頼清徳氏が描く台湾版「アイアンドーム」 米側秘匿装備は契約済みとの見方
筒香嘉智が2発!DeNAが巨人を撃破しファイナル進出へ 横浜スタジアムが歓喜の渦に
季凡の視点:高市政権の誕生で日本経済はどう動く?「緩和延長・財政拡張」シナリオに投資家の視線集中
「TSMCが米国の『半導体5対5提案』を拒否」はデマ 台湾のファクトチェック機関がAI生成動画を否定
トランプ氏、中国に100%の追加関税を発表 「習主席と会う必要ない」発言で波紋 レアアース規制がAPEC「習トランプ会談」に影響も?
成田空港に「Another Side of Japan」登場 TYOが訪日客に日本各地の魅力を映像発信
トランプの圧力下で進展する「ガザ和平」、パレスチナ科学者はイスラエルの協定遵守に懸念表明
「映像で地方創生」 TYOとソニーが連携、シネマカメラ「BURANO」×クラウドで描く日本の新しい風景
TYO × JR西日本「せとうちパレットプロジェクト」 倉敷・児島を舞台に「デニムの町」の魅力を世界へ発信