高市早苗氏の首相就任に「大きな危機」 公明党が相次いで不支持を表明、自民の「黒いカネ」対応の曖昧さに不満

公明党の斉藤鉄夫代表。(写真/AP通信)
公明党の斉藤鉄夫代表。(写真/AP通信)

日本の政界は10日、再び波紋の大きい出来事に直面した。1999年から自民党と協力し、2012年以降は与党の中枢を担ってきた公明党が、この日行われた両党党首会談を経て、13年続いた連立関係から離脱する方針を明らかにした。背景には、自民党内の派閥を巡る裏金問題がある。公明党は、この不祥事が党のイメージを深刻に損ない、衆参両院選挙で不利に働くとみており、自民側に対し管理の徹底と実態解明を求めてきた。

《朝日新聞》は報道によると、総裁に選出されたばかりの高市早苗氏は、公明党の斉藤鉄夫代表と党首会談を実施し、連立維持の在り方を協議した。約1時間半に及ぶ会談後、斉藤氏は「自公連立政権は一旦リセットし、過去の関係に一区切りを付ける」と述べた。

同氏は、公明党が連立から退く主因として、双方の「政治とカネ」に対する基本姿勢の相違を挙げた。つまり、自民党議員が関与した政治資金スキャンダルへの対応を巡って隔たりがあったということだ。公明党は高市氏の総裁選出直後、企業・団体献金の制限を強化するよう求め、自民党に管理の厳格化を迫ったものの、自民執行部は受け入れず合意には至らず、連立協議は繰り返し停滞した。

公明党は1999年に自民党、自由党と連立を組み、2012年から現在まで13年間にわたり自民党とともに政権を担ってきた。

長年の協力関係にあったパートナーの離脱は、直近の衆院選で大きな打撃を受けた自民党にとって、政権運営や組閣権を巡る新たな難題となる。公明党は次期国会の首相指名選挙で高市氏に投票することはできないと伝え、同党議員は斉藤代表に投票する意向を示している。

2025年10月4日、日本自民党は総裁選挙を行い、最終的に高市早苗が2回目の投票で小泉進次郎を破り勝利した。(美聯社)
2025年10月4日、自民党総裁選は決選投票で高市早苗氏が小泉進次郎氏を下して当選。(写真/AP通信)
2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選挙に勝利した。(美聯社)
 2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選で当選。(写真/AP通信)

現在の衆議院の議席配分では、自民党は196議席で第1党だが、過半数には達していない。新総裁の高市氏が首相の座を得るには、野党側が分裂し、候補者の一本化に失敗する展開が前提となる。その場合には他党との協力の余地が生まれ、首相指名で最多票を確保できる可能性が残る。

ただし、公明党の24議席が与党側から離れることで、高市氏にとって最大の「潜在的対抗軸」は立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党となる。仮に3党が連携すれば、衆院で計210議席を掌握し、自民党から政権・組閣の主導権を奪う展開もあり得る。しかし、3党の立場は一致しておらず、長年の対立も横たわる。とりわけ自民党に比較的近いとされる国民民主党は、3党による連立政権への参加に慎重とみられ、野党間の協力の行方は依然として不透明だ。

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編集:田中佳奈

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