現場》台湾・花蓮光復の救援活動を支えるボランティア 被災を経験した子どもが成長して活動に参加 種族・国籍を越え島の復興を支える記録

2025-10-12 18:02
花蓮県光復郷が大きな被害を受け、台湾全土から多数のショベル・ヒーローが集まり、被災者と共に災害の物語を記している。(写真/鍾秉哲撮影)
花蓮県光復郷が大きな被害を受け、台湾全土から多数のショベル・ヒーローが集まり、被災者と共に災害の物語を記している。(写真/鍾秉哲撮影)
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台湾・花蓮県光復郷では、9月23日に馬太鞍渓のせき止め湖が越流し、数百万トンの土砂を含む土石流が市街地や7つの村を襲った。「馬太鞍は必ずより良い状態になる、あなた方がいるから感謝します!」との声が響く中、多くの「超人(ボランティア)」たちが鉄道を利用して災害地に駆けつけ、被災者の家屋再建を手助けした。災害後の二度目の三連休初日には光復駅を訪れる人が一日で2万5千人を超え、累計では2週間で15万人に達した。10月5日には馬太鞍部落の総頭目が部族衣装をまとい、部落外のプラットフォームで伝統の歌と舞を披露し、支援者たちに「最高の敬意」を示した。

《風傳媒》の取材によれば、光復を訪れる支援者はすでに第三陣に入り、単独で電車に乗る者から、地元コミュニティを通じてバスで花蓮に向かい区間車に乗り換える者まで、ルートは多様化している。中央災害応対センターの総調整官・季連成氏は、家屋や道路の清掃作業がほぼ100%完了したと発表。花蓮県政府も10月7日から光復郷での通常業務と授業を再開すると発表した。支援者たちの任務は溝掃除に切り替えられ、10月18日までに全ての溝の清掃を完了する計画である。行政院公共工事委員会の陳金德委員長も7日に災害救済金の給付とワンストップサービスプラットフォームを立ち上げた。家屋再建は依然として長期戦だが、民族や国籍を超えた支援者と被災者が共に作り上げた物語は、光復に消えない共通の記憶として残っている。

20251003-花蓮県光復郷を馬太鞍渓の堰塞湖が溢流し、大勢の超人が清掃を支援。(鍾秉哲撮)
各地から集まった超人たちが清掃を支援し、2週間の累計で15万人を超えた。(写真/鍾秉哲撮影)

15年前に村を撤退したパイワン族の少女が災害地の超人に

15年前、パイワン族の少女だったLukun氏も、災害後の光復に支援者として訪れた第一陣の一人だった。泥流が光復に流入した最初の三連休で、台北から大学の友人たちと共に向かったが、Lukun氏は「同じ島の命」という思いだけでなく、「社会に恩返しをする」という記憶を胸に訪れた。平成21年台風第8号(モーラコット)では、高雄県小林村で400人以上が土石流に埋まる被害を受け、屏東県牡丹郷も甚大な被害に遭った。翌年10月末には台風4号(ダナス)の影響で再び豪雨による土石流が発生した。Lukun氏は当時、牡丹郷高士村の住民として災害を経験している。 (関連記事: 現場》台湾・頼清徳政府の全社会防衛レジリエンス、花蓮のせき止め湖災害で試練 救助は国軍とスコップヒーローに依存 関連記事をもっと読む

「すべての原住民族の記憶には、全村で避難し、村が復旧してから元の家に戻ったことが刻まれています」とLukun氏は振り返る。モーラコット風災時は小学生だった彼女も避難を余儀なくされ、屏東県林辺や枋寮での避難生活を経験したが、母親が一時行方不明になるなど困難な状況もあった。「子どもの頃、自分の部落も天災で被害を受けました。大人になった今、社会に恩返しをしたい。

昔、私も誰かに助けてもらったからです」と語る。Lukun氏は光復を訪れるのは今回が初めてで、同化している部落やアミ族の隣人とのつながりもあり、教師の日の連休を返上して意欲的に光復に向かった。

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