高市早苗氏、就任前から難路 公明との溝と追加予算の壁、アメリカ学者が悲観的見解

2025-10-10 09:30
2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選で勝利した後、初の記者会見を開いた。(AP通信)
2025年10月4日、高市早苗が自民党総裁選で勝利した後、初の記者会見を開いた。(AP通信)
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自民党総裁選挙で勝利を収め、安倍晋三氏の政治遺産を堅持する者と見なされていた高市早苗氏は、首相就任への道を進むはずだった。しかし、日経アジアの9日の報道によると、この「日本の鉄の女」は開始早々に前例のない逆風に見舞われている。連立政権のパートナーである公明党が彼女に対して信頼を欠いているため、首相任命が10月20日以降に延期される可能性が高く、最悪の場合、生活に関わる「追加予算案」も停滞する恐れがある。加えて、就任後直ちにトランプ大統領、習近平国家主席、李在明大統領らとの一連の外交試練に直面するこの状況で、高市氏が適切に対応できない場合、「政治的完璧な嵐」に直面する可能性がある。

嵐の中心:公明党、求心力が低下

政治危機の発火点は、自民党の長年の与党パートナーである公明党の「離反」にあるとされる。日経アジアによれば、高市早苗氏は当初10月15日の臨時国会で首相に指名され就任する予定であったが、現時点ではその日程は「きわめて非現実的」であり、首相指名選挙は早くとも10月20日以降に先送りとなる見通しである。公明党が高市氏のもとでの自民党運営に強い不信感を抱いているためである。公明党代表の齋藤鉄夫氏は、連立合意がまとまらない限り、首相指名で高市氏に投票しない方針を明言した。

公明党の反発は、高市氏の強硬路線への警戒が根底にあるが、直接の引き金は同氏が発表した党内人事である。自民党幹事長代行に起用された萩生田光一氏は、近年自民党を大きく揺るがした政治資金問題の渦中にある人物であり、派閥とカネをめぐる不祥事に十分に向き合う意思が自民党にないとの見方を強めた。公明党は、新内閣が旧来の「金権政治」と決別し、企業・団体献金の規律を強化することを求めているが、今回の人事は「看板の掛け替えにすぎない」と受け止められている。

2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙で勝利し、初の記者会見を行った。(AP通信)
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙で勝利し、初の記者会見を行った。(写真/AP通信提供)

次に、高市早苗氏の背後で最大の“キングメーカー”とされる自民党副総裁で前首相の麻生太郎氏は、長年にわたり公明党およびその支持母体である創価学会と関係が芳しくないとされる。公明党内では、麻生派人脈が新政権を主導することへの懸念が一段と強まり、連立離脱を口にする向きさえ出ている。

同盟の離反に直面した高市氏も、手をこまねいているわけではない。野党である国民民主党の玉木雄一郎代表と積極的に接触しており、連立破綻を見据えた代替選択肢を探る動きとみられる。

硬直化する1.5兆円のインフレ対策予算

首相任命の延期により、高市氏が数日遅れて首相に就任するだけのように見えるが、日経アジアはその影響がそれ以上に深刻であることを強調している。日本の一般市民にとって最も直接的な影響は、生活に関わる「追加予算案」が成立しない可能性があることであり、高市氏はインフレ対策として、ガソリンおよびディーゼルへの付加税の廃止と地方自治体への補助金の拡充を強く訴えている。 (関連記事: 中国が警戒「史上最も反中の首相」 高市早苗の誕生に北京が静かに揺れる 日米同盟と台湾情勢が最大焦点 関連記事をもっと読む

2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙で勝利し、出席した党員に敬意を示した。(AP通信)
2025年10月4日、高市早苗氏が自民党総裁選挙で勝利し、出席した党員に敬意を示した。(写真/AP通信提供)

しかし、日経アジアは岸田内閣と石破内閣の例を挙げ、新内閣の成立から追加予算の編成完了まで、通常1.5〜2ヶ月を要すると述べている。高市内閣が10月下旬までに成立しない場合、年末までに予算を通過できるかが不確定となる。最悪の事態が発生した場合、政府は3000億円未満の緊急予備金に頼らざるを得ず、1.5兆円の経済影響には対応できないことが懸念される。

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