評論:トランプは大きな取引を望み、頼清徳は救いを待つのか?

2025-10-08 13:55
(図/AI生成)
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台湾総統の賴清德氏は、先日米国メディアのインタビューを受け、中国の習近平国家主席が台湾に対する武力行使を永遠に放棄するなら、米国のトランプ大統領がノーベル平和賞を受賞するべきだと述べた。賴清德氏は自らの発言がユーモアだと思っているようだが、実際にはトランプ氏が台湾海峡の危機における「救世主」役を果たすことを期待しているようだ。しかし、トランプ氏が国防省を「戦争省」と改名し、習近平氏との「大取引」のために尽力していることには触れようともしない。果たして、賴清德氏は本当に無自覚なのか、それともあえて目を背けているだけなのか。

トランプに平和賞を与えるべく、賴総統の突拍子もない発想

第一に、賴清德氏は一方的にアメリカへの忠誠を示し、TSMC台湾積体電路製造)を提供するのみならず、アラスカの天然ガス開発への投資を表明し、さらに多くの農産物を購入することを約束し、追加の「保護費」を支払うことを宣言している。すべてはアメリカの支持を期待して、トランプを「アメリカのキャプテン」として見るためである。しかし、トランプは「価値より価格を重視」、「ビジネスを主義より優先」する人物であり、「取引の術」を推進するカリスマである。賴清德氏はこのことを理解しているのだろうか。

トランプ氏が就任直後、「1か月以内にロシアとウクライナの戦争を終結させる」と宣言し、自身が「終わらない7つの戦争」を終わらせたと豪語したのだが、10か月が経過しても停戦の兆しは見えず、新たにイスラエルとハマスという悲惨な戦場が加わった。さらに、トランプが「国防省」を「戦争省」と改称し、世界中に配置された800人の将校を集めて「ひげを生やすな」、「肥満になるな」と訓示したという。戦争に対して無知で無関心なトランプを、賴氏がノーベル平和賞の受賞者として幻想するのか。

アメリカ国防長官(戦争長官)ヘグセス、9月30日に高級将校への訓示(AP)
アメリカの国防長官(戦争長官)ヘグセス氏は、9月30日に世界中の800人の将軍を招集し、帰国して訓示を行った。「ひげを生やすことを拒否し、肥満体型にならないように」と伝えた。(写真/AP通信提供)

「台湾に根付く」から「台湾を拠点」に、賴総統の言葉の変更

第二に、トランプに世界を救うことを期待するより、台湾が分割されつつある半導体市場の救出を考えるべきである。アメリカ商務長官のルットネック氏は、アメリカが台湾への半導体依存を過度に続けられないとし、米台の半導体生産能力の「半々分け」を推進し、「アメリカ版シリコンシールド」の実現を目指し、先進的なプロセス能力を2%から40%に引き上げるとしている。その結果、台湾のシリコンシールドは神話となった。

台湾側でアメリカとの交渉を担当する鄭麗君副閣揆は「決して応じない」と強硬に返答したが、一方で台湾のハイテク産業が「アメリカでの展開を拡大する」ことを強調。このような矛盾した発言により、与党は「台湾に根付く」ことをどのように実現するのかと疑問を抱かせる。 (関連記事: トランプ対中路線に転換観測 ジェンスン・フアン発言でMAGA陣営に亀裂、NVIDIA・TikTok巡り波紋 関連記事をもっと読む

しかし、賴総統は外部メディアのインタビューで「台湾に根付く」という言葉をこっそりと「台湾を拠点」と置き換えていた。「グローバル展開」と称しているが、明らかに「全面的な東進、アメリカへの移転」のみを指している。論争を避けるために言葉を巧みにすり替えた。

20250829-行政院台湾米経済貿易作業グループ、鄭麗君氏とアメリカ商務長官ルットネック、アメリカ貿易代表グリーアとの会合の写真。(行政院Facebookより)
アメリカ商務長官ルットネック氏はアメリカが台湾の半導体依存を過度に続けられないとし、米台の半導体生産能力の「半々分け」を推進し、「アメリカ版シリコンシールド」の実現を目指す。(写真/行政院Facebook提供)
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