台湾の果物が日本で大人気!輸出はほぼ独占状態、学校の給食でも使用されるほど、「ファンレベル」の支持を受ける

2025-10-06 08:01
果物(画像/unsplash提供)
果物(画像/unsplash提供)
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世界市場が変動するなかでも、日本の消費者の台湾産バナナへの支持は揺るがない。農業部の最新統計によれば、近年の台湾のバナナ輸出のうち実に97%が日本向けであり、日本市場における台湾産の定番としての地位を裏付ける数字である。

しかし2025年は輸出に逆風が吹いている。1~9月の対日輸出量は1,278トンにとどまり、同期間として過去7年で最低を更新した。業界大手は「潮目を変えることが喫緊の課題だ」と警鐘を鳴らしており、早急なてこ入れが求められている。

日本は「熱烈ファン」級の買い手に!データが示す:台湾のバナナ輸出は日本がほぼ独占

《自由時報》によると、歴史を振り返れば、台湾はかつて対日年間40万トン超を出荷した「バナナ王国」であった。産業構造の変化により大規模輸出の栄光は薄れたものの、日本市場の台湾産バナナへの忠誠度は衰えていない。

農業部の統計では、直近3年間(2022~2024年)、台湾産バナナの対日輸出数量は総輸出の97%以上を占め、2022年と2023年には一時99%に達した。今年(2025年)1~8月も同様で、対日分の数量構成比は97%、金額構成比は96%を維持している。

幼少期から親しむ!日本の学校給食「台湾の味」を広める計画

日本の台湾産バナナへの愛着は次世代にも根付きつつある。台湾は日本の学童に幼少期から台湾果実の味を知ってもらうため、茨城県笠間市や周辺自治体の学校給食向けに、6年連続で果物を供給している。

この継続的な取り組みは主役のバナナに加え、近年はパイナップルや文旦(ぶんたん)にも品目を拡大。食農教育を通じて台湾産果実の「味の記憶」を日本の若年層に刻み、将来の対日輸出の需要基盤、すなわちロイヤル層の育成につなげている。

一方で、国内産業の転換や黄葉病(パナマ病)の影響、フィリピンなどによる低価格攻勢が重なり、台湾産バナナの年間輸出量は現在、約1,300~1,600トンまで縮小。“千トン防衛戦”とも言うべき局面に直面しているのが実情である。

台湾バナナが直面する課題は?関税、為替、供給チェーンが三大致命傷

中時新聞網の報道によれば、事業者と政府当局の分析として、現在の台湾産バナナの輸出は三つの危機に直面している。

1.関税障壁による不公平競争である。台湾省青果運銷合作社の余致榮理事長は、主要競合国であるフィリピン等と比べ、対日輸出における関税負担が高く、価格面で先天的な不利を抱えていると指摘する。

2.円安に伴う価格高騰である。近年の継続的な円安により、台湾ドル建ての台湾産バナナを円換算した際の価格が一段と高くなり、最終市場での競争力を大きく損なっている。

3.国内サプライチェーンの縮小と不安定化である。農糧署は、生産面が厳しい局面にあることを認めている。まず、近年の相次ぐ台風が生産の安定性を著しく損ねている。加えて、国内の作付面積は減少傾向にあり、2020年の1万6千ヘクタール超から2023年には1万4千ヘクタール超へと縮小した。背景には、南投など山間産地での労働力の高齢化や干ばつ等による耕作放棄があり、生産基盤の流出が進んでいるという構図である。

バナナの地位を強化:政府と民間が協力し、CPTPP参加で新たな高みを目指す

日本市場の揺るぎない支持を受け、政府と民間は台湾産バナナの「プレミアム」地位を確固たるものにすべく積極的に取り組んでいる。農糧署は、輸出奨励や防災レジリエンスの強化によって高品質バナナの安定供給を図るとともに、関税上の不公平を是正するため、中長期的にはCPTPPなどの地域貿易協定への加入を目指す方針だと説明する。

総じて言えば、かつての「バナナ王国」は輸出の形こそ変わったものの、その価値を失ってはいない。台湾産バナナは卓越した品質と長い歴史的蓄積を背景に、日本市場で高い評価を得る“精品果実”へと転じたのである。

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