ソウルで反中デモ拡大 李在明政権が強硬策、APEC前に習主席訪韓の行方左右も

韓国ソウルの街では過去1か月にわたり、「反中」をテーマにしたデモ集会が複数回行われている。(画像/YTNニュース映像提供)
韓国ソウルの街では過去1か月にわたり、「反中」をテーマにしたデモ集会が複数回行われている。(画像/YTNニュース映像提供)

韓国・ソウルで近時、反中デモ集会が相次ぎ、現職大統領の李在明(イ・ジェミョン)氏は大いに苦慮している。李氏は直ちに捜査当局に厳正な取り締まりを指示するとともに、これらの抗議行動には「人種的憎悪」を含む言説が見受けられ、韓国の国際的イメージを損なっていると公然と批判したのである。

実のところ、李氏の悩みを一層深めているのは、慶州で開催予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)である。関連する対立が中国の習近平国家主席の、約10年ぶりとなる韓国訪問に影響を及ぼし、ひいては今後の中韓協力関係に悪影響を与えるおそれがあると懸念しているのである。

『韓国時報』の報道によれば、李在明氏は上級幕僚に対し、国家利益を損ない国のイメージを汚す行為を徹底的に排除すべきだと述べた。文化強国として国際的に認知されつつある韓国は、国格を損なう野蛮な行為を看過してはならないと強調したのである。

また大統領は、「根拠のない憎悪表現による攻撃を受ける国に、観光や買い物のため訪れたいと望む外国人はいない」との認識を示したのである。

大統領は関係省庁に対し、当該の街頭集会を抑止する強力な対策を速やかに策定し、かかる行為がいかなる外国人観光客に対しても脅威とならぬよう万全を期すよう命じたのである。韓国主要テレビ局の映像によれば、最近の中国政府および中国人を標的とする抗議活動は、主として地元の極右団体が主導している。中国団体観光客に対するビザ免除の最新措置や、間もなく開催されるAPEC首脳会議を控え、反発の機運が一段と高まっている状況である。

ソウルでの主な抗議場所は、中国大使館が所在する明洞(ミョンドン)に加え、九老区の大林洞(テリムドン)など華人・韓国華僑コミュニティが大きい地域である。さらに、中国人観光客に人気の高い弘大(ホンデ、弘益大学周辺)でも抗議が確認されている。

抗議参加者は街頭で「中国を追放せよ」「共産主義を撲滅せよ」などのスローガンを連呼し、過激な参加者の中には、習近平国家主席の肖像が描かれた中国国旗(五星紅旗)をその場で焼却あるいは引き裂く行為に及ぶ者もいたのである。

南韓首爾街頭過去一個月以來,出現多次專門「反中」的示威集會。(翻攝自MBN新聞影片)
韓国・ソウルの街頭ではこの1か月、いわゆる「反中」を掲げたデモ集会が相次いでいるのである。(画像/MBNニュース映像提供)
南韓首爾街頭過去一個月以來,出現多次專門「反中」的示威集會。(翻攝自YTN新聞影片)
韓国・ソウルの街頭ではこの1か月、いわゆる「反中」を掲げたデモ集会が相次いでいるのである。(画像/YTNニュース映像提供)

一連の抗議に直面し、在韓中国大使館はすでに数度にわたりソウル側に懸念を伝達し、同国外務省に書簡を送って大使館周辺の警備強化を要請した。これを受け、韓国内務省は当該地域の警察配備を増強したのである。中国大使館は9月に安全注意喚起も発出し、中国人旅行者に対し「高度の警戒を維持し、自らの安全意識を高め、現地の政治集会に近づかない」よう呼びかけたのである。

中国『環球時報』(Global Times)も先週の社説でソウルでの反中デモに懸念を示し、「これらの行為は悪影響を及ぼし、中韓関係の雰囲気を著しく損なうとともに、韓国自身のイメージも傷つける」と論じた。韓国外相の趙炯(チョ・ヒョン)氏は取材に対し、APEC会議を前に最も懸念されるのは抗議行動、とりわけソウルの反中集会であると強調した。李在明政権は今回の首脳会議を機に中韓関係を正常軌道に戻すことを強く望んでおり、習近平国家主席が自ら出席するか否かが極めて重要な論点になっている。もし習氏が出席すれば、約10年ぶりの韓国訪問となる見込みである。

南韓總統朴槿惠與中國國家主席習近平3日聯合舉行記者會,說明中韓高峰會的具體成果。(美聯社)
韓国の朴槿恵大統領と中国の習近平国家主席は3日、共同記者会見を開き、中韓首脳会談の具体的成果を説明したのである。(写真/AP通信提供)

現地テレビ局の映像によれば、10月3日の開天節当日、ソウルでは東大門駅前に約3千人が集結し、光化門方向へ行進した。参加者は太極旗や米国旗を振り、「We are Charlie Kirk」と記された赤い風船を掲げつつ、「中国は出て行け」「李在明を逮捕せよ」「尹大統領を解放せよ」などのスローガンを唱和したのである。

デモの隊列では、中国人や北朝鮮住民を侮辱する文言も確認されたほか、「不正選挙」を示唆する標語が掲げられた。また、近時、東南アジアや南米、南アジアの反政府デモでも見られる日本のアニメ『ONE PIECE』の海賊旗が現場に掲出されていたのである。

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