舞台裏》台湾・高雄は大接戦 柯志恩氏が市長の座を狙う 「あの人物」が民進党の足並みを乱す

2025-10-03 15:36
2026年高雄市長選挙、緑陣営がいまだ候補を一本化できていない状況で、国民党の立法委員・柯志恩氏(写真)が存在感を増している。(写真/柯承惠撮影)
2026年高雄市長選挙、緑陣営がいまだ候補を一本化できていない状況で、国民党の立法委員・柯志恩氏(写真)が存在感を増している。(写真/柯承惠撮影)
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台湾では、1998年に呉敦義氏が高雄市長を辞任して以降、高雄では民進党が約20年にわたり政権を維持。県市合併前まで遡れば、支配は30年以上に及ぶ。2018年には“時流・地の利・人の和”が重なり、韓国瑜氏が出馬。「韓流」ブームに乗って終盤3カ月で一気に追い上げて当選し、国民党は“不可能”とみられた高雄奪還を成し遂げた。だが韓氏は就任から2年足らずで総統選に挑戦して敗北。市政を放り出したとの批判が噴出し、最終的に圧倒的差でリコールされた。

国民党内では2022年時点で「このままでは高雄でまた惨敗、今後20年は奪還不能」と悲観論が渦巻いた。そんな逆風の中、立法委員の柯志恩氏が“火中の栗”を拾う形で市長選に挑戦。結果は陳其邁市長に敗れたものの、52万9607票、得票率40.16%を確保し、藍営(国民党)の基盤を辛うじて守った。それでも「土台を維持したにすぎない」との見方は根強く、2026年に再挑戦しても勝機は乏しいとの冷ややかな声もあった。

資深媒體人陳揮文27日主持廣播節目時直言,國民黨2018年地方大選靠著「韓流」大勝,就以為國民黨不用改革、檢討,完全是一個錯誤訊息。(資料照,柯承惠攝)
国民党は2018年、韓国瑜氏(写真)の旋風で民進党の長期支配を崩したが、同氏が大統領選に出馬し落選、最終的にリコールされ、民進党が高雄を奪還した。(写真/柯承惠撮影)

民進党の候補一本化が難航—柯志恩に「割り込み」の余地

ところが、2024年12月の『風傳媒』世論調査では、民進党・林岱樺氏が32.2%で柯志恩氏(27.8%)を上回ったものの、差は最大4.4ポイント。柯氏と邱議瑩氏、賴瑞隆氏の対決は誤差範囲内だった。さらに2025年9月24日実施の『TVBS』調査では、柯氏と賴瑞隆氏がともに41%で横並び。許智傑氏、邱議瑩氏、林岱樺氏には6~9ポイント差をつけた。

地元関係者は「世論調査は機関差がある」と前置きしつつ、接戦化の最大要因は民進党内の予備選が泥沼化していることだと分析。最有力と見られた林岱樺氏は「補助金(アシスタント費)問題」が浮上して支持が二桁台から一桁台へ下落。続く報道で優位はほぼ吹き飛んだという。一方で、陳其邁市長は邱議瑩氏を、党中央は賴瑞隆氏を推すとの見方が根強く、派閥の後ろ盾が弱い許智傑氏は現状で劣勢だ。

同関係者は、2018年の敗因の一つも予備選の対立激化だったと指摘。許智傑氏は9月20日に選挙事務所の開所式を開き、党内のライバルである邱議瑩氏、林岱樺氏、賴瑞隆氏が顔を揃え“団結演出”をしたが、実際は許氏が緑営内で相対的に弱いがゆえのパフォーマンスに過ぎないという。
そして核心はこうだ――柯志恩が民進党勢に肉薄しているのは「緑(民進党)の未統合」が原因。一本化が進めば、民進党候補の勢いと支持率は必ず回復するため、国民党が楽観視するのは禁物だと警鐘を鳴らしている。 (関連記事: 舞台裏》台湾・高雄で不安拡大 高雄・大林蒲で移転計画が前倒し 住民の健康被害と市長選をにらむ政治判断 関連記事をもっと読む

立委賴瑞隆回憶,從小是一位熱愛運動的「小胖子運動員」,國小時加入田徑隊,因體格壯碩而開始接觸鉛球。(圖/賴瑞隆服務處提供)
柯志恩氏は高雄市長選で、民進党の立法委員・賴瑞隆氏(写真)と接戦を繰り広げている。(写真/賴瑞隆服務處提供)

美濃大峡谷、興達電廠案を追う 柯志恩が舞台を得る

地元関係者によれば、柯志恩氏が民進党各候補に肉薄している背景には、美濃大峡谷問題(大規模な砂利採取と事業系廃棄物の埋め戻し)、大樹での山林伐採を伴う太陽光発電計画、そして興達電廠の爆発事故といった、民進党政権の失策が相次いだことがある。6~9月にかけて柯氏はこれらの争点を継続的に取り上げ、与党寄りとされる高雄のメディア環境下でも露出を確保。市党部の主任委員、そして2026年の野党系市長候補として、記者団からの質問に答える機会が増え、政治に関心が薄い層にも「高雄の課題に粘り強く向き合う人物」と印象づける格好になった。

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