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陸文浩の視点:国慶節「十一」の戦備 中国艦艇の増勢は米台の政治的連携への反応 福建艦の飛行甲板上に並ぶJ-35戦闘機。(ウェイボーより)
9月29日11時42分ごろから、中国軍はJ-16、JH-7、KJ-500などの主力・支援機と無人機あわせて20機を発進。このうち15機が台湾海峡の中間線とその延長線を越え、台湾北部・中部・南西の空域に進入した。周辺海空域では軍艦8隻、公務船3隻が「聯合戦備警巡」を実施。筆者は同日朝の寄稿(27日原稿締切)で、米台関係や「一つの中国」問題に対する東部戦区の反応として同様の行動があり得ると予測しており、その裏付けとなった。
10月1日までの中国の国慶節連休期間、戦闘機の戦備巡航に加え、台湾周辺海域では軍艦8隻と公務船2〜3隻が継続展開。昨年の双十節(10月10日)前後には、当時の蔡英文総統の発言が「一中レッドライン」に触れたとして、中国軍が「聯合利剣-2024」演習を発動した前例がある。北京は台湾の対外関係の出方を注視しつつ、軍事行動で「台湾は中国の一部」とする主張を強く示し、米台双方に対して「文攻武嚇」(外交・世論戦と軍事威嚇)を続けている。
台湾国防部は9月29日18時10分、声明で「11時42分から中国軍機20機が出海、そのうち15機が中間線越え。北部・中部・南西空域に進入し、艦艇とともに「聯合戦備警巡(戦備警戒パトロール )」を名目とした妨害を実施」と発表。今回の説明では殲轟-7(JH-7A/乙型)の出動が追加で言及された。
過去2年の集計では、2024年1月から2025年9月までに東部戦区の「聯合戦備警巡」は73回に達する。
正午前後(11時台〜12時台)の開始は稀で、2024年は3/27 11:30、4/2 11:40、4/14 11:50、8/13 11:40、11/12 11:30、2025年は2/2(春節5日目)11:40、そして今回9/29 11:42と、計7回のみ。通常は早朝〜午前が中心で、6時台2回、7時台12回、8時台20回、9時台5回、10時台2回の計31回。午後は12時台3回、13時台2回、14時台4回、15時台2回、16時台5回、17時台2回の計18回。夜間は18時台3回、19時台4回で計7回と、日没後の事例はさらに少ない。
示意図から筆者が把握した範囲では、9月29日06:50〜20:20にかけて主力・支援機および無人機23機が、浙江・福建境界から福建・東山島南東の台湾海峡西側空域で活動。うち13機が海峡北・中・南の各区間で中間線を越え、残りは金門以南—澎湖南西—屏東・小琉球以西の空域から折り返した。また同日08:20〜22:30には、10機が東山島南東の台湾防空識別圏(ADIZ)南西〜南南西の広い三角形エリアで活動していた。
今回の「聯合戦備警巡( 戦備警戒パトロール ) 」は、台湾側の対米関係の進展や「一つの中国」をめぐる発言・動向への「即時反応」として、国慶節の節目に合わせて火力の見せ方とタイミングを調整したものと見られる。開始時刻が正午前後というレアケースに当たる点も、心理的・宣伝的効果を狙った演出の可能性が高い。(関連報道: 陸文浩の視点:「福建号」空母三機同時発進、すでに電磁カタパルト任務を完了 )
今回の事態の背景には、台湾と米国の政治的な連携が、中国側の「一つの中国」原則というレッドラインを刺激したことがあるとみられる。
9月12日、米国在台湾協会(AIT)はメディア対応で、《カイロ宣言》《ポツダム宣言》《サンフランシスコ講和条約》など第2次大戦期の文書は「台湾の最終的な地位を確定していない」と改めて言及し、いわゆる「台湾地位未定論」を強調した。同日、陸委会の邱垂正・主任委員はワシントンのシンクタンク「ヘリテージ財団」で講演し、北京に対し「中華民国・台湾の実在という客観的事実を直視すべきだ」と促し、対台湾の軍事圧迫と統一戦線による浸透をやめるよう求めた。
9月22日、林佳龍・外交部長はニューヨークで米国グローバル戦略(AGS)主催の晩餐会に出席。第80回国連総会の会期中、林部長と駐美代表・俞大丙氏は、台湾の友好国であるパラオのウィップス大統領と会談した。ロイターは「国連総会ウィークに台湾の外交部長がNYの場に姿を見せるのは初」と伝えている。同日、米国のルビオ国務長官、韓国の趙顕外相、日本の岩屋毅外相は共同声明で、台湾周辺で頻発する不安定な活動に懸念を表明。南シナ海での「違法な海洋権益主張」と、その強引な既成事実化にも強く反対した。
— 9月18日、北京で第12回「香山フォーラム」が開幕。董軍・国防相は「台湾の中国への回帰は戦後国際秩序の重要な構成だ。台湾は中国に属するという歴史的・法理的事実は揺るがない。人民解放軍は祖国統一を守る圧倒的な力であり、いかなる「台独」の企図も許さず、外部からの武力干渉も打ち破る用意がある」と主張。南シナ海については「地域諸国とDOC(行動宣言)を進め、COC(行動規範)交渉を加速している。域外勢力が“航行の自由”を口実に挑発しているが、中国は主権・権益を法に基づき守る」と述べた。 — 9月23日、外務省の郭嘉昆報道官は「台湾は中国の不可分の領土で、台湾問題は純然たる内政。最大の脅威は「台独」とそれを支える外部勢力だ」とし、「一つの中国原則の堅持と『台独』への明確な反対」を各国に要求。南シナ海情勢は概ね安定として、関係当事国との対話で解決を図ると述べ、域外勢力の緊張煽動を牽制した。 — 9月24日、国台弁の陳斌華報道官は「いわゆる『中華民国台湾』は存在しない。歴史・法理・事実のいずれからも、両岸は一つの中国に属し、台湾は中国の一部」と発言。「九二共識」は対話の政治的基礎だと強調。 — 9月25日、郭嘉昆報道官は、林佳龍部長が国連総会期間中にNY入りしたことを米国が許可したとして、「一つの中国原則と米中三共同コミュニケの重大な逸脱。『台独』に誤ったシグナルを送った」と非難。
同日、国防省の張暁剛大校は、AITが《カイロ宣言》《ポツダム宣言》などを根拠に「台湾の最終地位は未確定」とする点を批判。「白黒を転倒し、真実を混乱させている」とし、「台湾の中国復帰は戦勝の成果であり、戦後秩序の重要部分」と主張。《日本降伏文書》を含む関連文書に「国際法上の効力」があるとして、中国の台湾に対する主権は明白だと反論。あわせて東部戦区による「聯合戦備警巡」の準備着手を示唆した。
9月18日、オランダ下院は147対3という大差で「国連における台湾の有意義な参加を支持する」動議を可決。1971年の国連総会決議2758号は「国連における中国代表権」を扱ったに過ぎず、「中華人民共和国が台湾の主権を有する」とは述べていない、また台湾の国連・他機関参加についても何ら決定していないと明記した。我が外交部は21日、「国連総会のタイミングで、オランダ議会が改めて強固な支持を示した」と歓迎。台湾とオランダは、半導体サプライチェーンの強靭性やセキュリティ管理、次世代通信など重要分野での協力を一層進めるとした。
9月18〜20日は、中国艦艇が平均6隻、台湾周辺海域に常時展開。21日は4隻へ減、22〜23日は台風「コップ(樺加沙)」が西太平洋からバシー海峡を抜け南シナ海へ進んだ影響で1隻まで縮小。24日に5隻へ回復、25日は艦7隻に公務船1隻を増派。26日は公務船が2隻に増え、28〜30日は艦8隻、公務船は最大4隻、のち3隻へ。
国防部は9月30日9時ごろ、9月30日(火)06:00〜10月1日(水)06:00の状況を公表。中国軍機は延べ12機(うち7機が中間線を越え、北部・南西・南東空域へ進入)、台湾海峡周辺での活動を継続した。
「十一(国慶節)」前夜、中国艦艇の増勢は米台の政治的動きへの反応。(筆者提供)
共機動態示意図によれば、9月30日午前7時45分から午後5時30分までの間、主力戦闘機および無人機計9機が浙江省と福建省の境界から東へ進出し、福建省東山の南東にある台湾海峡西側の空域で活動した。このうち4機が台湾海峡中線を越え、北部および南部(金門以南)に進入し、後者は鵝鑾鼻の南西空域で行動した。また同日午前8時55分から9時25分には、1機の無人機が東沙島の北東に位置する台湾防空識別圏(ADIZ)の南西端で活動した。これまでにも、中国軍の高高度偵察無人機が南シナ海上空からフィリピン北部を偵察していた事例がある。さらに午前8時15分から午後6時20分にかけ、補助機(運-8対潜機と推定)および無人機計2機が広東省南澳島の南東から台湾南西空域に進入。鵝鑾鼻南方を経由して蘭嶼東方のADIZ南東端、さらに緑島東方のADIZ南東端へ移動しており、海空合同偵察を目的とした戦術的な旋回行動とみられる。
10月2日午前9時47分、自由時報は国防部発表として、10月1日午前6時から2日午前6時までに中国軍機11機、艦艇8隻、公務船2隻が台湾周辺で活動し、このうち8機が中線を越え北部および南西空域に入ったと報じた。ただし筆者が2日午前11時に確認した時点では、国防部の公式サイトに即時の軍事動態は掲載されていなかった。共機動態図からは、共機が東引島の北東から南東方面にかけて戦備巡航を行い、台湾北部空域を重点的に監視している様子がうかがえる。また推測される1機の偵察無人機が金門以南から台湾南西、小琉球西南空域に進入し折り返した。さらに9月30日には1機だった東沙島北東ADIZ南西端での中国無人機活動が、10月1日には3機に増えていることが確認されている。通常は6隻程度だった周辺の中国艦艇も、ここ数日は艦艇8隻、公務船2~3隻が常時展開しており、筆者が提唱してきた「艦が先に動き、航空機が後に動く」という理論に照らせば、即座に演習へ移行する兆候といえる。ちょうど同時期に、台湾の情報部門トップがスーツではなく軍服と勲章を着用してポーランド・ワルシャワ安全保障フォーラムに出席し、米国退役将軍や欧州の安全保障専門家と対話したことも国際的な注目を集めた。これが直接関係するかは引き続き観察が必要だ。
また米軍も動きを強めている。報道によれば、9月23日には中国空母「福建」や「山東」が南シナ海で活動することを受け、米海軍がオハイオ級原子力潜水艦をフィリピン・スービック湾に派遣し寄港させた。筆者の観察では、福建号付近で中国の054A型フリゲートが台湾・緑島東方や釣魚台西北の空域で艦載ヘリと共に対潜訓練を行っており、外軍潜水艦の動向を意識した集中的な海空偵察活動が進められている可能性がある。
9月30日夜の衛星写真では、福建号空母が海南・三亜港に戻り、2週間にわたる電磁カタパルト試験を終えた様子が確認された。隣には山東号も停泊し、護衛・協同訓練を終えて寄港している。大陸では今年、中秋節と国慶節が重なる「双節連休」(10月1~8日)が実施され、武警や各軍種が国境や沿岸、空域や島礁で警戒にあたっている。
一方で、台湾海峡では10月1日にも中国艦艇8隻、公務船2~3隻が展開。昨年も国慶節前後に艦艇数が増加し、10月9日には空警-500やSu-30など20機の航空機と艦艇9隻、公務船5隻による「聯合戦備警巡」が行われた。今年も「双十国慶」を前に、中国東部戦区が戦備警戒からさらに大規模な軍事演習へ移行する可能性が高いとみられる。
筆者が懸念するのは、昨年のように台湾側の発言が中国を強く刺激する場合である。2024年10月5日の国慶夜会で賴清徳総統が「中華人民共和国は建国75年、中華民国は113年。年齢的にも『中華人民共和国が中華民国の祖国となることは絶対にない』」と述べたほか、蔡英文前総統が国慶演説で「中華民国は台湾・澎湖・金門・馬祖に根を下ろしており、中華人民共和国とは互いに隷属しない」と発言。これが中国を刺激し、遼寧号空母を含む大規模演習「聯合利剣-2024B」につながった。今年も同様の発言があるかどうかは不透明であり、中国の神経を逆なでするリスクは残る。
福建号空母は昨年から艦載機の発着訓練を行っており、既に初期的な戦力を備えている。筆者は福建号の就役時期について予測せず、中国当局の公式発表を待つ立場を取る。専門家の一部は「中国は三空母体制に近づいている」と分析し、1隻を待機、1隻を航行、1隻を整備というローテーションが視野に入るとしている。しかし現状では必ずしもそうなっておらず、各艦隊が異なる戦略と任務を担っているのが実情だ。
南海艦隊は広大な担当区域を抱え、南シナ海の島礁を維持しつつ多国の接近に備える重要な役割を担う。東海艦隊は大型艦艇と他軍種との連携で、米日同盟に対処する能力を持つ。北海艦隊は防御を基盤に陸海空ロケット軍との合同作戦で領土を守り、遼寧号が必要に応じて東部戦区と連携する形を取る。 したがって、仮に空母2隻が整備中であっても、中国が「三空母ローテーション」に縛られることはないといえる。
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