チンパンジー研究第一人者のジェーン・グドール氏死去、91歳 霊長類学の巨匠が遺した「希望」と環境保全の精神

2025-10-03 11:20
霊長類学界の巨匠、保護活動の先駆者ジェーン・グドール氏。(写真/AP通信提供)
霊長類学界の巨匠、保護活動の先駆者ジェーン・グドール氏。(写真/AP通信提供)
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霊長類学の巨匠であり保全運動の先駆者であるジェーン・グドール氏が2025年10月1日、91歳で死去した。グドール氏が設立した「ジェーン・グドール協会」の公式声明によれば、米国での講演ツアー中にカリフォルニア州で安らかに息を引き取ったという。1960年代からタンザニアの森林で活動し、チンパンジーの世界に対する人類の理解を塗り替えた伝説的研究者であり、最期の一週間まで環境講演に登壇して気候危機への対応を訴えていた。今年6月には台湾を訪れ、若い世代に「希望を捨てないで」と呼びかけ、自らの場から影響力を発揮するよう促していた。

地球のために半世紀以上奔走したグドール氏は、動物保全と環境行動の象徴となった。生涯にわたり数多の栄誉を受け、その影響は世界各地に及んだ。訃報が伝わると、各界から追悼の声が相次ぎ、「この時代の保全の巨人」と称える声が広がった。氏が遺したのは科学研究の成果にとどまらず、人と自然の共生を促す精神的遺産である。氏は一貫して、誰もが日々世界を変え得ること、そして問われるのは私たちがどのような変化をもたらすのかであることを、社会に投げかけ続けた。

霊長類学界の巨匠であり保護運動の先駆者であるジェーン・グドール(Jane Goodall)は2025年10月1日に逝去し、91歳であった。(出典:ジェーン・グドール協会)
霊長類学界の巨匠であり保護運動の先駆者であるジェーン・グドール氏は2025年10月1日に逝去し、91歳であった。(写真/ジェーン・グドール協会提供)

熱心な保護活動に捧げた60年間、伝説的な霊長類研究者

ジェーン・グドール氏は1934年にロンドンで生まれ、若年期から動物への強い関心を示していた。幼少期にはニワトリの産卵を観察するため一日中鶏小屋に隠れ、母親が警察に通報する騒ぎになったと回想している。帰宅後、母親は叱るのではなく、発見を熱心に聞き届けたという。母親はグドール氏の夢を後押しする存在であり、女性の単独旅行が許容されにくかった当時、初の探検にも同行して支えたのである。

1950年代末、グドール氏は友人を訪ねてケニアに渡り、縁あってある考古学者の下で霊長類行動の研究を手伝い、その後ロンドンで研鑽を積んだ。1960年、20代半ばのグドール氏はタンザニアのゴンベ・ストリーム国立公園でチンパンジー研究を開始した。観察の結果、チンパンジーが道具を使用すること、完全な草食ではないことを明らかにし、従来「人間固有」と考えられてきた行動観を覆した。これにより動物の感情や社会性に対する理解が再構築され、グドール氏は広く社会の注目を集めるに至ったのである。

霊長類学界の巨匠であり保護運動の先駆者であるジェーン・グドール(Jane Goodall)は1960年代に霊長類研究に専念した。(AP通信)
霊長類学界の巨匠であり保護運動の先駆者であるジェーン・グドール氏は1960年代に霊長類研究に専念した。(写真/AP通信提供)

「長年にわたり、チンパンジーから私が学んだのは——彼らは実に私たちに似ており、人間と動物の境界を曖昧にする存在だということだ」とグドール氏は1997年に発言している。

これらの画期的な発見により、グドール氏の名は霊長類学と同義となった。1977年にはジェーン・グドール・インスティテュートを設立し、霊長類の理解と保護を進めるとともに、現地住民と協働して自然生息地の保全に取り組んだ。現在、同協会は世界25カ国以上に拠点を置いている。 (関連記事: 南国の台湾で「氷点下体験」!この夏限定の夢幻テーマパークが開幕 17m海賊船×氷の迷路×動物アートの楽園が話題に 関連記事をもっと読む

今年6月、台湾訪問で若い世代に影響力を発揮するよう励ます

80代、90代に達しても、ジェーン・グドール氏は執筆や講演の歩みを緩めなかった。ジェーン・グドール協会によれば、氏は年間平均300日を各地への移動に充て、各国の地方当局者と面会し、地域社会や学校団体と交流してきたという。生涯で成人向け・児童向けを合わせて27冊以上の著作を刊行。新型コロナ禍には環境活動家らを招くポッドキャスト番組「Hopecast(希望の声)」を立ち上げたのである。

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