幕後》中国の新しい空母「福建」、台湾の防衛想定を崩す 台湾軍に重い課題、米軍にも脅威

2025-10-01 16:16
中国空母「福建」は電磁カタパルトでJ-35など艦載機の離着艦を実施し、台湾軍を驚かせた。(資料写真/CCTVウェイボー)
中国空母「福建」は電磁カタパルトでJ-35など艦載機の離着艦を実施し、台湾軍を驚かせた。(資料写真/CCTVウェイボー)
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中国軍は9月22日、公式メディアの映像で、2024年5月から海上試験を続ける中国海軍3隻目の空母「福建艦」が、艦載電磁カタパルト(EMALS)を用いたJ-15T戦闘機、J-35ステルス戦闘機、KJ-600早期警戒機の発艦・阻止着艦試験を相次いで成功させたと明らかにした。九三軍事パレードで披露された3機種の実運用入りを裏付けるもので、中国の空母運用能力は大きく前進した。各国の軍・情報機関が一斉に注目している。

米軍事メディア「THE WAR ZONE」や米海軍協会(USNI)も即座に特集を掲載し、福建艦で異なる固定翼艦載機のカタパルト発艦と着艦が滞りなく行われた事実を、中国空母戦力の「驚くべき飛躍」と評価。台湾国防部も近年の「中国軍力報告」で、カタパルト搭載空母の配備が台湾海峡防衛に与える脅威を繰り返し指摘してきた。今回、福建艦が台湾海峡を通過する第9次海試の最中に電磁カタパルトの成果を公表した映像は、台湾側の情報当局にも衝撃を与えた。

2022年6月17日、中国第三艘航母、第二艘国産航空母艦「福建艦」下水。(美联社)
中国で3隻目となる空母「福建」は、2025年末の就役が見込まれている。(写真/AP)

建艦の試験進捗 台湾側の想定を上回るスピード

軍関係者によれば、台湾側は従来、福建艦の正式配備は2025年末と見積もり、過去の海試でも少なくとも1機種のカタパルト発艦に成功しているものの、それがJ-15TかJ-35かは不明としていた。しかし公開映像の日時表示や、甲板要員が防寒服を着用している点から総合すると、2025年3月時点で3機種の無人カタパルト発艦を初成功させ、その後はフル装備状態での運用試験も進めた可能性が高い。これにより、福建艦は就役時から一定の実戦力を備える見通しだ。

福建艦が米・日・欧の軍や台湾軍に注視されるのは、満載排水量約8万トン、最大60機搭載という戦力規模に加え、米海軍のフォード級と同様に先進の電磁カタパルトを備えるためだ。スキージャンプ(STOBAR)の遼寧艦・山東艦と異なり、福建艦の3本のカタパルトは発着効率と sortie 数を大きく引き上げ、搭載機種も戦闘機に限定されない。十分な燃料・兵装を積んだ各種任務機が発進でき、従来艦の軽装発進による航続・性能の制約を根本から改める。

軍関係者は、KJ-600のカタパルト発進成功の意味を特に強調する。スキージャンプ艦では固定翼AEW機が離陸できず、遼寧・山東は航続・探知能力で劣るヘリ型AEWに依存してきたが、福建艦はKJ-600のAESAレーダーにより海空域の探知・管制距離を数百キロ規模に拡張。空母打撃群の外洋での警戒・作戦能力は段違いに高まる。第一列島線を越え第二列島線内側まで踏み込み、高強度の作戦を遂行し得る基盤が整う。また、米フォード級のEMALSは設計上の課題からF-35Cのカタパルト発進が難航しているとされる一方、福建艦は第5世代機J-35の電磁カタパルト運用を先行させ、西太平洋での米海軍に対する圧力を一段と強めた格好だ。

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