米国で再び利下げの流れが始まり、主要株は総じて上昇基調。台湾加権指数はTSMC主導で2万6000ポイントに迫る。物色はAIサプライチェーンが中心で、高価格帯の主力が相場を牽引。PCB、メモリ、受動部品、防衛関連などが持ち回りで買われ、強気トレンドが続いている。
FOMCの結果はおおむね市場予想どおりで、FF金利は4.00~4.25%へ0.25%引き下げ。採決では、トランプ氏指名の新理事・Miran氏のみが0.5%利下げを主張して反対した。最近の指標では、上期の経済活動は減速、雇用の伸びも鈍化し、失業率は小幅上昇ながら低位を維持。成長モメンタムの弱まりが今回の判断材料となった。一方、インフレ率はやや持ち直し、目標をなお上回る。
ドットチャートでは年内にあと2回(10月・12月)の利下げを見込む見方が過半だが、見解は割れている。GDP見通しは24年が1.4%→約1.6%、25年が1.6%→1.8%に小幅上方修正。米国債・機関債・MBSの保有縮小も継続する。パウエル議長は今回を「リスク管理型の利下げ」と位置づけた。
NVIDIA、50億ドルでIntel株を取得 AI基盤で協業へ
英国メディアのフィナンシャル・タイムズによると、中国国家市場監督管理総局はGoogleのAndroidに対する独禁調査を停止。通商情勢の変化で、矛先はAI半導体の雄NVIDIAに向かうとの観測もある。年初来の中国市場では「DeepSeek」ブームを追い風にAI関連が急伸。かつてH20は対中規制の対象となったが、ジェンセン・フアンCEOの働きかけで条件付き解禁(売上の15%拠出)となった経緯もあり、中国側はNVIDIA製チップの調達抑制を強めているとの見方が出ている。フアンCEOは失望を示しつつ理解も示した。
一方で新たな動きも。トランプ米大統領の訪英に合わせ、黄CEOやOpenAIのサム・アルトマン氏らが英国入り。NVIDIAは英政府やNscale、CoreWeave、Microsoftと提携し、2026年末までに英国内でAI工場を整備する計画を発表、投資総額は110億ポンド。現地データセンターにBlackwell Ultra GPUを最大12万基規模で配備し、OpenAIの「Stargate U.K.」など先端案件を支える。NscaleのGrace Blackwell GPU 30万基のグローバル配備のうち、最大6万基を英国に置く計画も示された。
さらにNVIDIAは1株23.28ドル(約112円)で総額50億ドル(約240億円)を投じてIntel株を取得し、持分は推定約4%に。8月にはソフトバンクが1株23.00ドル(約110円)で20億ドル(約96億円)を出資、米政府も約10%相当を取得したと報じられている。先進プロセスで後れ、赤字が続くIntelは、CEO交代と官民出資をテコに再成長を図る。
NVIDIAはIntelとAI基盤・コンシューマの両面で協業し、NVLinkで両社アーキテクチャを接続。IntelはNVIDIA GPU内蔵のPC向けCPUを設計し、NVIDIAはXeonプラットフォーム対応も進める。CPU設計段階でNVLinkを組み込むことで、CPU系/Xeon系いずれでもNVL72システムを提供し、PCグラフィックス市場でのシェア拡大も視野に入れる。
メモリ値上げの波 サプライチェーンに追い風
データセンターのTAMは約250億ドル(約1200億円)、ノートPCは年1.5億台規模。黄CEOは「CPUとGPUの統合領域は収益性が高いが、NVIDIAは十分リーチできてこなかった」と語る。x86とARMは当面併存の見立てで、初期的にはAMDに逆風となる可能性も。ファウンドリーはIntelの活用を評価しつつ、当面はカスタムCPUに注力し、短期的にTSMCの優位は揺らがないとしている。
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