静岡市立芹沢銈介美術館は、型絵染の人間国宝・芹沢銈介の生誕130年を記念し、特別展「型紙 美しい染物への約束」を10月7日から12月7日まで開催する。芹沢が生涯をかけて探求した染色の技と、独自の美学が息づく型紙の世界を紹介する。
型染と芹沢の美学
型染は、渋紙を彫り抜いた型紙と防染糊を用いる間接的な染色技法であり、芹沢はこの手法を駆使して国内外で高い評価を得た。今回は東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館所蔵の型紙を中心に、芹沢の言葉「よき型紙は美しい染物を約束する」を体現する作品群が展示される。
特別イベント
10月13日には夜間開館イベント「光の館 ヒカリノヤカタ 2025」が実施される。建築家・白井晟一の設計による「石水館」と呼ばれる建築がライトアップされ、幻想的な雰囲気を演出。来場者に特別な体験を提供する。
さらに、11月23日には染色家・山内武志氏と東京造形大学名誉教授・大橋正芳氏を迎え、芹沢との思い出を語る記念講演会が開催される。いずれも先着順で、静岡市コールセンターで申し込みを受け付ける。
芹沢銈介の生涯と業績
芹沢銈介(1895-1984)は、柳宗悦や沖縄の紅型との出会いをきっかけに染色の道へ進み、色彩と模様への鋭い感性で新鮮かつ温和な作風を築いた。作品は着物や帯、のれん、絵本から装幀や看板にまで及び、創造力は国際的にも高く評価されている。1976年にはパリで大規模な個展を開き成功を収め、同年に文化功労者に選出された。
同館は芹沢の寄贈品を基に1981年に開館し、約1,300点の作品と6,000点以上の工芸品コレクションを収蔵。芹沢の芸術と思想を次世代へ伝える役割を担っている。館内の「芹沢銈介の家」では、世界各地の工芸品を飾った部屋も見学可能だ。
静岡市で広がる芸術の秋
秋の芸術シーズンに合わせ、静岡市内の各美術館・博物館でも多彩な展覧会が開催される。静岡市美術館では「柚木沙弥郎 永遠のいま」(10月13日まで)や「きもののヒミツ」(10月25日~12月21日)、静岡市東海道広重美術館では広重の代表作「東海道五拾三次」や関連作品を展示。さらに、静岡市歴史博物館では「しずおかの古仏たち」(10月25日~12月7日)が企画されている。
静岡市は、芹沢銈介の特別展をはじめとした文化イベントを通じて、来場者に多様な芸術体験を提供する。
編集:梅木奈実 (関連記事: 「静岡マラソン2026」が来春開催、10月2日からエントリー開始 家康公ゆかりの名所と富士山を望む絶景コースを走る | 関連記事をもっと読む )
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