台湾・国民党の党主席選挙まで残り3週間。地方派閥や党内重鎮の支持を広く得る元台北市長の郝龍斌氏が、『風傳媒』の単独取材に応じた。2020年と2024年の総統選で国民党が敗れた要因について問われると、総統候補と党主席の路線が一致せず、連携が崩れたことが大きかったと指摘。「最優先は勝利と政権奪還だ」としたうえで、政策の核心が候補者と一致していれば細部の違いは候補者を尊重すると述べた。さらに、党内で合意が得られるなら総統候補を副主席に起用し、自身は休職して党務を一任する選択肢に言及。「必要とあれば辞任して候補者に席を譲る用意がある」と強調した。
勝てる体制を最優先――必要なら主席を譲る
郝龍斌氏は具体例として両岸政策を挙げ、「自分が反台湾独立を掲げているのに、総統候補が台湾独立支持では成り立たない」と指摘。一方で、核心理念が一致しており、相違が細部にとどまるなら、党主席は国民党と候補者が勝つために“譲る”役割を果たすべきだと述べた。さらに、「2026年は地方選が先だが、その直後に総統選が控える。その時点で自分がなお党主席なら、前倒しで身を引くべきかという課題に向き合うことになる」と言及した。
歩調をそろえる具体策として、第一に「総統候補を副主席に任命し、自分は休職して党機構の全権を候補者に委ねる」案を提示。第二に「党内と候補者の合意が得られるなら、自ら党主席を辞任する」案にも踏み込んだ。後者は主席の再選出が必要で手続きは煩雑だが、「国民党が勝つためなら厭わない」と強調。自身が主席選に臨むのは私利のためではなく、「総統選に出馬しないこと、主席ポストを自己目的化しないことはすでに明言している」と改めて語った。
今後の意思決定体制については、「国民党を企業に例えれば、党主席は会長、中常会は取締役会。重要案件は当然、中常委に報告し、承認を得る」と説明。党主席の下に助言機能を置きつつ、ワンマンにはしない方針を強調した。具体的には、国会案件は韓国瑜・立法院長や会派幹部と協議し、地方案件は盧秀燕・台中市長、侯友宜・新北市長らと調整。合意形成ののち、自ら執行に移すという「チーム経営」の運用像を示した。
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