アジア最大級のコーヒー展示会「SCAJ ワールドスペシャルティコーヒーカンファレンス&エキシビション2025」が、9月24日から27日までの4日間、東京ビッグサイト東展示棟で開催された。主催は日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)で、今年は過去最大規模となる約450社・650ブースが出展し、来場者は7万人規模に達すると見込まれている。多彩な顔ぶれが揃ったSCAJ2025、『風傳媒』の現場取材を通じ、その熱気と多様性が鮮明に浮かび上がった。

展示会場では、世界各地の生産者、輸入業者、ロースター、バリスタが一堂に会し、最先端の技術や多様なコーヒーを披露。世界大会予選やセミナーも同時開催され、業界関係者と一般来場者が直接交流できる機会となった。今年のテーマは「Belong Together in Coffee(コーヒーでつながる)」であり、コーヒーを通じた国際的な連帯が強調された。《風傳媒》は現場で各ブランドを取材し、その声を報告する。

シェアリングコーヒーショップ「蜃気楼珈琲」を率いる田上凜太朗氏は、「蜃気楼珈琲はシェアリングコーヒーというコンセプトのもと、フリーランスのバリスタや菓子職人が日替わりで参加している。今日は20組のコーヒー屋と12組の菓子屋が集まり、約1000個のスイーツを販売している」と説明した。エチオピアやブラジルからのダイレクトトレードによる高品質豆を提供し、富士見が丘や日本橋幕路町の店舗には幅広い層の客が訪れるという。さらに「まだ自分の店を持たない若いバリスタや菓子職人たちが独立を目指して挑戦している。ここでは、将来有名になるかもしれない原石をいち早く楽しんでもらえる」と強調した。

台湾からは、雲林産のゲイシャコーヒーやプレミアム豆が日本で初披露された。出展は中華民国咖啡推廣協会(CPAG Taiwan)、雲林県咖啡協会、ローストマスター社、横浜を拠点とする珈琲問屋による共同構成で、台湾の生産者や焙煎士も現地に参加した。担当者は「日本での販売はまだ始まっておらず、今回が初デビュー。今後は需要に応じて輸出入を進めたい」と述べ、台湾コーヒーの可能性を強調した。

ローストマスター社の劉星良経理は、展示した最新焙煎機について「すべてデジタル化され、タッチパネルで簡単に設定できる。QRコードを読み込めば自動で焙煎が始まり、快速から専門的な調整まで幅広いニーズに対応できる」と説明。さらに「豆は農産物であり、季節ごとに特徴が異なる。そのため細かな調整が重要」と語り、10年以上の改良を重ねた浮風式焙煎機については「従来方式より不純物が少なく、クリーンな味わいを実現できる」と自信を示した。 (関連記事: 東日本橋に新カフェ「Azure Coffee」誕生 雲南豆と多彩なメニューで“自由なコーヒー”を提案 | 関連記事をもっと読む )

沖縄県石垣島を拠点とする「FUSHI COFFEE ROASTERS」は、松本光市氏が率いるロースターで、「JAC Roast Competition」2024年優勝、2025年準優勝の実績を持つ。松本氏は「優勝や準優勝に使用した豆はすでに完売している」としつつ、自ら買い付けるエクアドル産や、別の大会「コーヒーコレクション」で優勝したブラジル産ゲイシャを紹介した。「このブラジルのゲイシャは、これまでのブラジルの印象を変えてくれる素晴らしいコーヒー」と語り、来場者に試飲を勧めた。