花俊雄の視点》誰が「台湾地位未定論」を煽っているのか

2025-09-23 12:30
1945年9月2日、マッカーサー将軍が東京湾のミズーリ号戦艦で日本降伏文書に署名する。(写真/AP通信提供)
1945年9月2日、マッカーサー将軍が東京湾のミズーリ号戦艦で日本降伏文書に署名する。(写真/AP通信提供)
目次

米国在台湾協会(AIT)台北事務所は最近、第二次世界大戦末期に米・中・英などの同盟国首脳が合意した《カイロ宣言》、その後の《ポツダム宣言》、そして戦後同盟国が日本と締結した《サンフランシスコ講和条約》の三つの文書について、いずれも台湾の最終的な政治的地位を決定していないと指摘した。続いて米国務省報道官も、AITが正確に情報を伝達したとし、中国が二戦期の文書を意図的に歪曲して台湾に対する威圧行動を正当化し、台湾を征服しようとしていると批判した。さらに国務省は、米国は台湾に対する中国からの軍事・経済・情報・法的・外交的圧力に対抗し続けると重ねて強調した。米国と国際社会のパートナーは台湾海峡の平和と安定を堅持し、特に武力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対すると明言した。

では、これらの歴史文書を改めて検証し、その真の意義を誰が歪曲しているのかを見てみよう。

《カイロ宣言》と台湾の帰属

1943年11月22日から26日にかけて、米国のフランクリン・ルーズベルト大統領、中国の蔣介石委員長、英国のウィンストン・チャーチル首相はエジプト・カイロで会談し、軍事・外交顧問を伴って《カイロ宣言》に署名、12月1日に公表した。宣言には次のように記された。

「三国の宗旨は、日本が1914年の第一次世界大戦以降に太平洋で奪取または占領したすべての島嶼を剥奪し、日本が中国から略取した領土、すなわち東北四省・台湾・澎湖諸島などを中華民国に返還することにある。その他、日本が武力または貪欲によって奪った土地からも日本を駆逐する。我ら三大盟国は朝鮮人民が受けてきた奴隷的待遇を熟知しており、適切な時期に朝鮮を自由かつ独立させることを決定する。」

《ポツダム宣言》の条項

1945年7月26日に発表された米・中・英三国の《ポツダム宣言》第8条には明確にこう記されている。

「カイロ宣言の条件は必ず実施され、日本の主権は本州・北海道・九州・四国および我々が決定する小島に限定される。」

日本の降伏と台湾の帰属

1945年8月14日、日本政府は《ポツダム宣言》を受諾すると発表。8月15日、昭和天皇は《終戦の詔書》を公表し、無条件降伏を受け入れる意思を示した。9月2日、日本の降伏代表団11名は東京湾に停泊中の米国軍艦ミズーリ号で《降伏文書》に署名し、正式に降伏した。

台湾の中国への返還は、第二次世界大戦勝利の成果であり、戦後国際秩序の重要な構成部分である。《カイロ宣言》《ポツダム宣言》《日本降伏文書》など一連の国際法上有効な文書はいずれも、中国の台湾主権を確認している。台湾が中国に属するという歴史的かつ法理的事実は揺るぎない。 (関連記事: 評論:米国務省とAIT、「カイロ宣言」巡る北京の主張を否定 台湾地位は依然「未定」と強調 関連記事をもっと読む

空投到台灣(時為日本殖民地)的宣傳,以開羅宣言勸降。(維基百科)
文宣は日本の植民地支配下にあった台湾に向けて空中投下され、『カイロ宣言』を通じて日本に降伏を勧告した。(画像/ウィキペディア提供)

中華人民共和国成立と主権継承

1949年10月1日、中華人民共和国中央人民政府が成立し、中国を代表する唯一の合法政府となった。これは中国という国際法上の主体が変化しない中での政権交代であり、中国の主権と固有の領土範囲は一切変わっていない。したがって中華人民共和国政府は当然、台湾を含む中国の主権を完全に享有し行使する。

最新ニュース
美中対立の中で台湾はいかに立つか 龍應台氏「和平推」を提唱:生死にかかわる議論は避けられない
世界初の「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」 茨城県境町で11月開催へ
B.LEAGUE 10周年シーズン始動へ TIPOFFカンファレンスで渡邊雄大と富永啓生が決意表明
独占インタビュー》李大壮氏「台湾独立は統一の始まり」 北京は戦争望まず、頼清徳への扉も閉ざしていない
天気予報》台風20号(ブアローイ)、最速で今夜発生か 専門家「今後48時間がカギ」、最新進路予測と日本への影響は?
台湾・政治大学に「安倍晋三研究センター」設立 頼清徳総統「台海和平の最大の功臣」と称賛、台日協力の新たなマイルストーンに
【東京六大学野球秋季リーグ】明大エース毛利が8回1安打12K零封 立大は法大に逆転勝利で白星発進
【東京六大学野球秋季リーグ】法大が立大を4―1で撃破 片山悠真が父に続く神宮アーチ、浜岡陸の代打打も光る
【東京六大学野球秋季リーグ】明大、15安打10得点で東大に快勝 久野悠斗が700日ぶり復帰登板 大室も無失点好投
ChatGPT利用者数、インドが世界2位に躍進 OpenAIがニューデリー進出へ
舞台裏》米国が突然「台湾地位未定論」を表明──林佳龍外交部長が密かに文書削除、賴清徳総統と会談も
自民党総裁選が告示 高市・小泉が存在感、5候補が立会演説会で決意表明
ファン殺到、グッズ完売続出 Perfume、東京ドーム20周年ライブで年内活動休止を発表「新しいPerfume」へ
ノルウェーシーフードフェス2025閉幕 ノルウェー大使館参事官「台湾市場に深い感謝」、今後の展望も語る
世界陸上東京2025:競歩金メダリスト・ボンフィム選手、レース中に紛失した結婚指輪、奇跡の発見 「日本を信じていた」感動の結末
カーク追悼式》「私は犯人を許す、憎しみへの答えは愛だ」未亡人が涙の訴え トランプ氏「自由の殉教者」と称賛
H-1Bビザ申請料が一夜で10万ドルに トランプ氏の急展開に企業と労働者が困惑
舞台裏》台湾総統と立法院トップの権力闘争 民進党・柯建銘氏が続投、頼清徳氏はなぜ敗れたのか
東京ソラマチ、「ノルウェーシーフードフェス2025」盛大開催 サーモン寿司40周年・サバヌーヴォー5周年で5,000食無料配布
独占取材》台湾・国民党主席選挙 盧秀燕台中市長が郝龍斌元台北市長と会談、「安定路線」を支持
自民党総裁選に茂木敏充氏が正式出馬表明 「最大の危機を突破する」と決意示す
台湾に今年最強クラスの台風18号(ラガサ)接近 10県市で休業・休校、東部と高屏に豪雨警戒
和平フォーラム》台湾で公開対談 イスラエル人とパレスチナ人が戦火超えて対話
自民党総裁選2025、最新世論調査で高市早苗氏が28%で首位 小泉進次郎氏が追随、林芳正氏は急伸の可能性
イスラエル猛攻に国際社会反発 ガザ危機深まる中、英・加・豪がG7で初のパレスチナ国家承認
自民党総裁選2025告示 小泉進次郎・高市早苗ら「五虎大将軍」が出馬、10月4日に次期首相決定へ
日本は核動力潜水艦を保有すべきか 専門家が提言、中国の海洋進出に対抗策を提示 最大の壁は費用と憲法
台風18号「ラガサ」強烈化 22~23日に台湾全域で豪雨予想、休校・休業は21日夜判断へ
早稲田大学政治経済学部、2027年度から新カリキュラム導入
インタビュー》イスラエルの生存は米国支援頼み──台湾在住パレスチナ学者「模倣ではなく平和を追求すべき」
台湾の老街人気ランキング 1263万人が訪れた「九份超え」の旧市街──観光客は「安くて美味しい」と絶賛
青森で輝く台湾人女性・凱西さん:非都市部で築く「架け橋」の生き方
「牙狼〈GARO〉」20周年記念映画「TAIGA」10月17日公開決定 渋谷で記念展「魔戒録」も開催
熊本市、ローカル旅で「自分だけの癒し」を発信
野田佳彦代表、FCCJで会見 参院選を「事実上の敗北」と総括 物価高対策・外国人政策・外交安保で具体策を提示
「普通の物語」としての13年──香港出身riko氏、日本で歩んだ仕事・子育て・写真活動の軌跡
日本から台湾への旅行者数が急増 妻夫木聡が語る「第二の故郷」の魅力
円が急反発し、株式市場急落!日本銀行が据え置く中に2つの「意外」が投資家を驚かす
夏珍のコラム:龍應台氏が語る「平和」の行方 机上演習では勝てず、台湾社会に広がる不安
Nothing、シリーズCで2億ドル調達 企業評価額13億ドルに到達
海上保安庁、過去最大規模の「第4回世界海上保安機関長官級会合」に参加
東京駅「グランスタ東京」「グランスタ丸の内」で初の“栗スイーツフェア”開催
13社が連携し「日本OOHメジャメント協会」設立
フェアモント東京、初のクリスマスシーズンを彩る
静岡市、秋の紅葉スポットとライトアップイベントを発表
タクシーサイネージ「GROWTH」台湾初進出 LINE GO・yoxi提携で3,500台に導入開始
TGS2025初出展『YAOYA THE GAME』 八百屋を舞台にした異色アクションシミュレーションが登場
Level Infinite、TGS2025出展決定 世界初公開『モンスターハンターアウトランダーズ』試遊が実現