イスラエル・パレスチナ衝突からまもなく2年を迎えるなか、戦火が続くガザ地区の状況は一層深刻化している。半世紀以上にわたる歴史的確執の和解への道は、ますます遠のいているように見える。龍應台文化基金会は本日(20日)、「台北国際平和フォーラム」を開催し、中正大学伝播学系教授の羅世宏氏、イスラエルの「Wehat al Salam–Neve Shalom平和学校」校長ロイ・シルバーバーグ氏、パレスチナの作家ハゼム・アルマスリ氏を招き、テーマ対談「残酷との対話──イスラエル人とガザ人が台湾で向き合う」を行った。両者の語らいを通じ、戦火に引き裂かれた異郷人二人が、台湾社会に平和への政治的行動をどう促すのかを探り、ガザからの戦争の傷痕、平和の条件、そして現実の残酷さに耳を傾ける場となった。
羅氏は冒頭の挨拶で、「龍應台氏から司会を依頼されたとき、即座に引き受けた。勇気があると言う人もいたが、今日ここでガザからの真実の声に耳を傾けることができる。倒壊した建物や厳しい現実の中で、今も多くの人々が戦争に苦しんでいる。死傷者は単なるニュースの数字ではなく、命と家族の物語である」と語った。その上で、「台湾もまた地政学的な緊張のただ中にある。ガザの状況を単純に置き換えることはできないが、本日のフォーラムを通じて台湾人が立場の違いを超えてつながり、たとえ安全が脅かされる中でも対話を選び、平和を追求できることを思い起こしてほしい」と訴えた。
イスラエル人であるシルバーバーグ氏は、長年にわたりパレスチナ人とユダヤ人の政治的対話や、戦争と構造的暴力に向き合う教育活動に携わってきた。自身の体験について「私は典型的なイスラエルの子どもとして育ち、パレスチナ人と接点を持たないまま過ごしてきた。しかし大学で偶然受講した授業をきっかけにパレスチナ人と出会い、親友となった。この経験が人生を変え、平和学校の教育活動に携わる契機となった。以来、イスラエルとパレスチナが共存できる対話を推進し続けている」と述懐した。
「宗教は国家の基盤にあらず」 ハゼム氏、イスラエル建国の論理を批判
ガザ出身の作家ハゼム・アルマスリ氏は、平和運動にどのように関わるようになったのか問われた際、「平和」という言葉の使用を拒んだ。ガザは占領下にあり、「平和」とは降伏し、自らの土地を差し出すことを意味するからだと語った。彼の政治的覚醒は子ども時代に遡り、街頭で暴力の現場を目撃したのちに、それがニュースで報じられる光景を繰り返し体験したことに始まるという。かつては「もしかしたら彼らが正しく、私たちが間違っているのか」と疑問を抱いたこともあったが、実際に現場の残虐行為を目にし、考えを重ねた結果、「彼らは私たちを傷つける必要などない。国際調査を拒み、国際法を無視する必要もない。もし本当に正しいことをしているなら、恐れる理由はない」と結論づけた。
ハゼム氏は、イスラエルの言説は「巧妙に組まれたマトリックス」のようだと指摘する。歴史や論理を歪め、教育を通じて「パレスチナ人は存在しない」と教え込み、パレスチナそのものを否認していると批判した。イスラエル人はエルサレムが祖先の土地であり、そこに生きる権利を持つと主張するが、彼の研究によれば現代のイスラエル人は必ずしも古代ユダヤ人の子孫ではなく、直系の継承ではないという。